【映画】空白(2022年2月1日)
前半の細かいエピソードの積み重ねが後半でぐっと動き出すけど、店長の行動と後半の父親の改心がよくわからず。片岡礼子さんが画面に出るだけで説得力が増すのは何なんでしょうね、すごい。
漁船のシーン大変そうだなあ、と思いました。気を抜くと手指をなくしたりすると聞くし、俳優さんが一朝一夕にできるもんでもないと思うのですごいなあ、と。
しかし、思春期の女子中学生がお父さんと二人暮らしって、なかなかきついだろうな。成長期だけど自分でもわからないから不安だろうし友達に相談できない子も少なくないだろうし。下着とか生理用品の購入をどうしていたんだろうか。本当に必要だけど買うのが恥ずかしいから万引きしちゃう、っていうケースも有るのかな・・・。
といいつつ、最後のイルカ、家族ってああいうことあるんだよね~。あ、家族なんだな、っていう。血筋なのか環境なのか両方なのか。
自分の写真が嫌で破損しちゃうのはよくあることだし、三者面談を言い出せなかったとか、学校で誰も存在を覚えていないくらい影が薄い子だったとか、っていうエピソードは、いじめられていたとか恋愛で悩んでたとかいうよりもむしろ普通というかよくある話。
一方で、店長がなぜ弁護士や警察にかたくなに相談せずに閉じこもってしまうのかイマイチ見えて来なくて、ずっと引っかかったまま、寺島しのぶの存在がただ際立ってしまっていた。松坂さんのこの不穏な感じの役柄が続いていて「またか・・・」というか。悩んでるけど誰にも説明せず周りに気を遣わせるイマドキの若者、っていうステレオタイプ?な感じ・・・?従業員抱えたスーパーのオーナーがあんなに簡単に倒産しちゃうっていうのもなあ。仕入れ先も多いだろうし銀行とかといろいろ交渉もあるだろうしあんな感じでグダグダしててどうやったんだろう、っていうのが気になって気になって。うっとうしいパート従業員の一人もいなせなくてどうするんだよ~。
たしかに実際の人間が行動するとしたらそうなんだけど、父親を「モンスター化」してからその後心が変化していく様子と馴染まないというか・・・。まあ、平行線の立場なのでそれでいいのかもしれないけど、てっきり、「加害と被害のボーダーラインって曖昧だよね」みたいなテーマの映画だと思っていたので、期待が違ったのかもしれない。
妊娠中のおなか、ちょっと大きすぎないか?登場直後で臨月かと思ったらまだまだ生まれないし。
とか、いろいろ細かいところで引っかかっちゃって映画に没頭できなかったけど、それをぐっと引き戻してくれたのが片岡礼子さん。運転中女性の母親役で出てきた瞬間に「お?」と何かをにおわせてしまうのはそういう役目なのだろうけどやっぱり後半のキーパーソンで、なんだろう、声がいいんだよな。あんなの、モンスター父親も改心しちゃうよな、っていう説得力。役者ってすごいな。
最後に話しかけてくる焼き鳥弁当青年、ああいう善意の他人に人生を助けられるケースって、エンタメ作品に欠かせないよね。あの青年のおかげでオーナーの描き方にちょっと色が出てきた感じでホッとした。
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