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#7days100tanka

8/11からの一週間でTwitter上で発表した100首をまとめました。

001.よく喋る猫 あまりジャンプしない猫 スズメにめっちゃ馬鹿にされる猫

002.脱衣所に積み上げられた硬貨たち たぶんこのまま朽ちてくんだね

003.新涼の(24時間テレビってもう終わったの?)君の首筋

004.少年のうなじを破って伸びていくアケビの蔓の美しいこと

005.カーテンを閉め切った部屋で考える月のこと霧のこと君のこと

006.扇風機もつけずにリビングで眠る君はもしかしてミズクラゲなの

007.はつあきのバスロータリーが眩しいね大学病院行きを待ってる

008.生物感(シャツの皺とか寝癖とかBCGの跡)が愛しい

009.今夜これは素晴らしい熱帯夜極彩色の鳥小屋で寝る

010.坂道の園児の群れを抜かしつつ攫いやすそうな子を見つめる

011.歳をとることの幸せ不幸せ 作業みたいにお寿司を食べる

012.かわいいね 牙を抜かれたインド象産まれたばかりの横浜市民

013.おはよう、私が女神だよ では君に完璧な日曜日をあげます

014.すみません、女神というのは嘘ですが美味しいパスタを茹でられますよ

015.この家にトマト缶とかありますか?あっ、ない?ないかー… あっいいんですよ?

016.自作でもたいして味は変わらんが他人と食べる昼飯は美味い

017.秋の日はなんたら落としと言いますが(すごい速さで転がる師匠)

018.奥さんが醤油とみりんで味付けた枕 そうこれは枕なのである

019.屈強な男が守る豪邸のガラスケースに入った枕

020.先生に聞きたいことが 先生は72時間働けますか

021.朝焼けの出窓の上の白黒の猫背の猫を抱きしめている

022.重そうなまぶたの上の軽そうな眉毛をなぞる 春はまだかな

023.春眠は如何の斯うのと言いますし、14時だけど是非もないよね

024.兄がほしい 貴方は兄にはなり得ない 肩甲骨に両手をあてる

025.ともだちって言われても困る アメンボとミミズとオケラに対する冒涜

026.イカの血が青いところを見たことがない 鉄を口に含んだことも

027.ま昼間のお前を殴打するためのホームランバーシャキッとバニラ

028.死ぬときは大へびの胃で死んでみたい カーブを描く線路が好きだ

029.目が醒める 何かの音で目が醒める なんの 回覧板が落ちる音

030.フナムシが折り重なって死んでいる 夜の浜辺はずっと空っぽ

031.青春が美しすぎて逃げられない 安さが売りのうどんを食べる

032.もう五日勇者がこない伏すことに飽き始めている伏兵(ヒンターハルト)

033.あと何キロ歩けばミシンに届くのか 無限に膨張する被服室

034.君だって愛されたいって言ってたしホルマリン漬けにしてもいいよね?

035.遠い国からやってきたエビ型の機械に滅多刺しにされる俺

036.初雪が屋根たちを濡らす おんぼろの塔で静かに白い息を吐く

037.思いの外笑顔で死んだ あいにくの雨で流れていくあなたの血

038.父さん母さん いつか殺してあげるから 仲よく地獄で待っててほしい

039.あたし別に世界で一番美しくなりたいなんて言ってないじゃん

040.色白で確かに一度死んでいてワインの香りがするお姫様

041.嘘つきも大概だけど継母もちゃんと死んだか確認しろよ

042.ブスだったら王子も素通りだったろう やっぱ世の中顔なんですか

043.ブスだったら命も狙われなかったし やっぱ人生クソゲーですね

044.世界二のキレイな足が焼き切れるまで踊ってて、ママとてもキレイ

045.ぽろぽろと夏の光が零れ出す破れたサンダルの隙間から

046.あるでしょう?故意に落としてしまうこと ガラスレンズが粉々になる

047.秋は近い 紅い紅いペディキュアがされたつま先にレンズが染みる

048.デートでもラーメン屋ばっか連れて行くような人でした 好きでした

049.電車から降りれば暑くてじめってて 靄った視界が腹立たしいや

050.梅雨は去る(例え私が一人でも)曇った眼鏡を綺麗に磨く

051.浮浪者と虫しかいない公園のペールに腰掛け頬張るアイス

052.子どもらは歩みを止めず一列で終わりの見えない通学路を行く

053.月の夜白髪の独居老人が裸足で売り歩くチョコレート

054.願わくは貴女の細胞(セル)になりたくて きっとそこには自我もなくって

055.僕のこと見てくれないから何回も遺言みたいに話しかけるよ

056.初夏の水道管から少しずつ漏れ出している水とかその他

057.栗だろうがヒトデだろうが大抵の火中のものは拾いたくない

058.残熱のあいすまんじゅうの凹凸に舌を這わせる少女の睫毛

059.月はいいね 浮いてるだけで貴方から見てもらえるし嫌われないし

060.トーキョーの人の多さに本物のいくらみたいに潰されていく

061.虚しさも蹴飛ばしていくファンファーレ ハズレ馬券の吹雪の中で

062.母さんの見舞いに行った帰り道萎びたレタスと電車に乗った

063.伸びをするのも億劫な夏にいて深海調査船的自室

064.顔のない母親たちが月並みな言葉を売り連ねているバザー

065.ミサイルが縦横無尽に飛び回る下であなたと眠る夢を見た

066.コンビニの駐車場にて宝船のブレーキを踏み誤る弁天

067.眩しい 西日が差して深海のように静かな理科準備室

068.からからと預金通帳が枯れていく 君は険しい顔をしてるね

069.爪切りから溢れる爪が美しい 朝焼けの街が目覚め始める

070.寝て起きて寝て起きて寝るような日々(曜日感覚完全破壊)

071.根岸線大宮行きに揺られつつなんて素敵な呉越同舟

072.弟も寝付いた夜に丁寧にプリングルスの筒を切り開く

073.世界史的視点から見る短パンと少年少女の関係性とは

074.肌寒い夜だったんだ 川べりの家出少女のデニムスカート

075.海鳥がゆっくり地面に落ちていく 小児性愛者の指は細い

076.君ん家のエレベーターの行き先階ボタンを全部押してから降りる

077.ドイツ語の問題集についてきたCD全部ライターで炙る

078.空色の旅行カバンを出した部屋は修学旅行の匂いで満ちる

079.先生に愛してもらえない僕は粘土細工の子犬みたいだ

080.父親とゼンマイ仕掛けの母親と僕と犬とで暮らしています

081.お盆だし継接ぎだらけの制服を仏壇の前で見せびらかすの

082.引きずって運べるように赤い糸をもやい結びにしておきましょう

083.美しい上体起こしの青少年 強い夕立が校庭をうつ

084.遠い国(女性はみんな両耳に切れ込みを入れる国)から来たの

085.百日紅の幹の艶めく薄明に涙を落として囓るジャムパン

086.yeah トレンドはファッショナブルにポリガミー ネズミ講式に増える恋人

087.多幸感 愛の証明になるのなら小指の骨も折れてしまえよ

088.目が覚めたときには全部手遅れで ねえ泣かないでよナルコレプシー

089.calling you,(電子音声)calling you 誰でもいいから声を聞いてよ

090.ひたひたと工事現場が濡れていく 各駅列車の車輪が廻る

091.帰る場所もないんだろうよ月が沈むまでは踊ろうかジプシーキャット

092.先生もお元気そうで 輝ける鯛とかぼすの冷製パスタ

093.踏襲とスティッキーパン 愛ゆえに目を見れないのは人の性だよ

094.女であるだけであなたに嫌われる 愛されるために枕を洗う

095.何度目の恋なんだろう バニラアイスを舐めつつ思う

096.小数点以下第三位<0 なんて幸せ家族計画

097.どうかどうか耳をふさがず聞いてほしい 長い夏からあなたを救う

098.月明かり 老いてしまったカモシカはくゆりくゆりと眠りについた

099.駅深しみんな行きたい場所がありみんな帰ってくる場所があり

100.魚屋の魚みたいに愛されて綺麗に死ねるなら本望だ

#tanka #jtanka #7days100tanka

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