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3分で読める読書感想文#10 「ロウソクの科学」が教えてくれること

今回はこの本を紹介いたします。


本書は、昨年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が読んでいたということで有名になった「ロウソクの科学」をベースに再現実験の図解を交えて分かりやすく解説されているものとなります。

先日、図書館で原書の「ロウソクの科学」を発見して少し読んでみたところ、難解で読める気がしなくなってしまいました(個人的な感想です)。その隣に本書が置いており、「これなら読めそうだ」ということで読んでみました。
↓ちなみに難しかった原書の方はこちら

「ロウソクの科学」は化学・物理の世界で偉大な功績を残し、定数の名前までになっているファラデーが、青少年のために行った全6回の講演をまとめられたものです。ロウソクはなぜ燃えるのか、という問いから始まり、燃焼とは、空気とは、そして人体では何が行われているのか、という様々な現象を自宅でもできるような簡単な実験を通して教えてくれます。
この様々な化学を分かりやすい演示実験を通して解説していく様は痛快です。この講演だけでもファラデーは偉大な科学者であることが分かります。

さて、本書ですが、この講演をベースに描写が分かりやすく付け加えられています。また、原書にはないカラー写真も掲載されています。そして最後にはきちんとそれぞれの実験で起こった化学反応が解説されています。
私はこの本を「この現象はこの化学式かな」と想像しながら読み進め、最後に答え合わせをして楽しみました。実験が出てくるたびに解説を読むのもありだと思います。また、読み進めていくと「ロウソクってなにでできてるんだろう」「空気ってなぜ分離しないんだろう」といったように素朴な質問がどんどん浮かんでくるため、その度に調べることで賢くなれます。

余談ですが、最後に本書の監修であるノーベル化学賞受賞者の白川英樹氏のあとがきにこんなことが書いてありました。

”世界的な名著との評判だったので、学生の頃に何回か完読に挑戦したが果たせなかった。例えは悪いが、この本は硬いスルメのようで、口に入れる前は美味しそうな匂いで食欲をそそるが、歯ごたえが強くてなかなか噛み切れず、口の中でもぐもぐしているうちに次第に柔らかくなり、滋味に富んだ味わいを楽しめる。”

つまり、原書はノーベル賞受賞者ですら難しいと言っています(笑)。そこで、分かりやすくキャッチ―に解説されている本書はオススメです。

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