婚活アプリのひと。 「男様」の精神

半年に一度くらい、登録したまま放ってある婚活アプリを思い出して使ってみている。
この9月、久しぶりに時間ができたので何人かにお会いしてみた。
今年のお正月に母と初詣に行った際に、母がとても真剣に縁結びを叶えるという金色のうさぎの神様にわたしに良縁があるようにと祈っていたことも心に残っていた。2023年も残り少ない。身を結ばずとも努力くらいはせねばならないだろうと思った。

そして結論、婚活は仕事で受けるストレスなど比ではないストレスを受ける! できることならやりたくないです。以下、みんながどう思うのか知りたいのでご意見ください…

婚活アプリはそもそも変な人も多いので、メッセージのやりとりでまともそうな人に会ってみることにしている。気が合うとかはメッセージのやりとりだけでははかりかねるし、おかしな人に会って犯罪に巻き込まれるのがいちばん怖い。

さて、そんな感じでお会いしてみた方のうちのおひとり。とてもきちんとした人でした。同年代。清潔感があり、真面目に働いているし、会話も成り立つ。俺が俺がと俺話に終始して、こちらの話を聞かないなどの迷惑行為もなかった。
ものすごく楽しい!という感覚にはならないけど、バッググラウンドも知らず、共通の思い出や体験などがない初対面なのでそれはそうだと思うし、相手もそのような感覚でいると思う。
婚活アプリを介した出会いで、今後仕事で関わるわけでもないので、余計なしがらみはないし、短時間でいかに自己開示できるか、が重要ポイント(なんとなく信用して自分のことを話せるかどうか)で、つまりは相性という、ふわっとした感覚に頼ることになるのだと思っていた。
そういう意味では、今回、良い出会いになるかもしれないと感じた。

そう感じていた。そう、次の瞬間までは。

婚活ではなんとなく過去の恋愛の話や、いま現在の出会いの話などをするのがお決まりだ。このときもこう聞かれた。

「婚活パーティーなどには行かれたことありますか?」

わたしは正直に答えた。
「何回かあります」
「マッチングしましたか?」
「しましたよー。何人かの方とは」

彼はうなずいて、こう言った。
「それで、まだいけるな、て思ったんですね」

…………。

どういう意味だろうか?
その歳で、まだいけると思ったのね、という意味か?

婚活では、男性は年収で、女性は年齢で選ばれるというのが令和のいまでもまかり通った価値観だ。結婚相談所でもいまだにそう諭されるらしい。
女性は20代にこそ価値があり、アラサー以降、落ちていくばかりだと。

そのオーソドックスな価値観を持っている男性が、日本にはとても多い。ほとんどと言っても良さそう。
それはわかるのだけども、、

わざわざ本人に言うことかなあ。
それなら、あなたはどうなのか? 
俺は男だから年取るごとに渋く味が出るけど、女はダメだよね、てことなのかな?悪くとりすぎ??
いわゆる「男様」という概念が頭をよぎる。性別が男であるだけで、女の価値をジャッジする立場にあると思っている人種。

これを40歳を過ぎてなお、みずみずしい存在感と、美しい肌を保つ向井理さまから言われたなら、グッと堪えるところだけど、
え???

だがわたしはそこは飲み込んで、笑顔で会話を続けて帰宅した。わたしが「校閲ガール」の石原さとみ様ならきっと、悦子ばりに「若い女が好きならそもそも会うなよ!」と啖呵を切るところだ。でもわたしは、さとみではない。

その翌日。

朝目覚めると、どんよりと、重苦しい気持ちになっていた。ああ、何もやる気が起こらない。今日は低気圧だったかなと頭痛ーるアプリを開くも、何のマークも今日は出ていなかった。

PMSでもなさそう。。
あ、、、昨日のことを思い出す。かなりストレスになってしまっている。

こういうのは犬に噛まれたと思って忘れるしかないんだろう。いちいち他人様の言うことに傷ついていたら、命がいくつあっても足りない。
でもね、咬み傷だって治るのに時間がかかるのと同じように、心の傷も、治すまで引きずるものなのだ。

「男様」の言葉は喉に引っかかった小骨のように私の心をチクリと刺し、数週間たったいまもそれは取れないままだ。

自分も相手も完璧な人間ではないので、わたしがその人に嫌な思いをさせた可能性だってある。
お互いさま、精神でいなければ人間関係は築けないよね。そう何度も自分に言い聞かせるも、小骨は刺さったまま。

人にはどうしても、許容できないことはあって、わたしにとってのそれは、男尊女卑、なんだと思う。

ほかのことは、ひとには長所も短所もあるんだしと流すすべを、長く生きれば身につけられる。
でも、、
男尊女卑だけはどうしても無理だ。

ギャンブルやDVをしない、とかちゃんと働いていて常識がある、といった、わたしが気にしていた「まともな人」の概念の中に、「男様」精神のない人、というのが含まれていたことに気づいた。

ああ、やっぱり婚活は向いてない。
あてもなく、大海原の中から、愛し愛される人を、しかも異性を探せるなんて、奇跡に近いよ。

世の中の結婚していたり、恋人のいる女性たちは、こういう些細な相手の発言を流せるから、独りではないのかもしれないけれど。

今日も自分ひとりの部屋を掃除して、好きな仕事をして、ジムに行って、帰宅して、ドラマを観て、お風呂に入り、ストレッチをして寝る。

誰かに心を乱されることのない生活のほうを選んでしまう。
その繰り返しで今年も終わるのかな。

おかあさん、ごめんね。
娘は今日も元気です。





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