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9月号座談会「ポスト・トゥルースとデザイン」(前編)

瀬下:今月の特集は、ポスト・トゥルースとデザインです。すでに知られているものと思いますが一応教科書的な解説をすると、ポスト・トゥルースは、2016年にアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選し、イギリスでは住民投票でEU離脱が決まるという流れのなかで出てきた言葉です。

同年このキーワードを「今年の言葉」に選んだオックスフォード英語辞典では、「客観的事実よりも、感情や個人としての信念の方が世論形成に大きい影響を及ぼすような状況を指す」と定義されています。アメリカ大統領選のなかで、Facebookやtwitterにフェイクニュースやプロパガンダが多数流れたことを思えば、テクノロジーやメディア、デザインとポスト・トゥルース的な状況の関係性は明らかですね。

太田:そうした問題意識で活動しているグループに、オランダを拠点として活動するグラフィックデザインのグループMetahavenがあります。彼らは近年行っている映像プロジェクト「The Sprawl」(2015-2016)で、次のような問いを提起しています。

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