読書リスト(2019年12月, 2020年1月)
年末年始分を一気にお送りします。このところ読んだ本はどれもおもしろかったから、振り返れてよかった。それでも二ヶ月分だと本当につらい気持ちになるので、絶対に毎月まとめなければならない……。
黒岩比佐子『編集者国木田独歩の時代』
タイトルに偽りはなく、編集者としての国木田独歩に思い切りフォーカスを当てている本。独歩については、作家としてなかなか評価されず、その食い扶持というかつなぎみたいな感じでテキトーに編集もやってたみたいなイメージを持っていた。しかし本書を読むと、編集者としてもたくさん業績があり、それを評価するべきだと思わされる。
たとえば、ビジュアル主体のジャーナリズム誌(グラフ誌)を日本で展開した草分けのひとりであったり、誌面に直接関わらないところでも、いろいろな会を開いたり、おもしろいやつを会社で遊ばせたり、ネットワークをつくるような活動もたくさんやっている。こういうひとの話をもっと読みたい。
山本芳明『カネと文学―日本近代文学の経済史―』
日本の近代文学は、経済的な価値が高い時期と超低い時期とを、何度も行ったり来たりしている。要するに、原稿でガッツリ食える文学者がいる時代と、全然いない時代がある。どの業界だって景気が良くなったり悪くなったりするけれども、読むとその極端さを感じられる。とりわけ、第一章(大正)と第二章(明治)のギャップはすごい。大正期の作家の経済的安定は、その作風とも関わっているのではないかな(著者はこういう安易な邪推を避けているが)。
森山至貴『LGBTを読みとく:クィア・スタディーズ入門』
「クィア・スタディーズ入門」として購入したので、紙幅的に若干その部分が少ないことが気になった(著者もそう書いている)。けれども、入門書として研ぎ澄まされた構成と文章だし、トピックは広範に渡っているので読んでよかった。おもしろかった。
望月優大『ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実』
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