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『猫を拾いに』川上弘美

ほっこりしたくなるとき、昔のちょっぴり切ない思い出がふとよぎったとき、胸の奥底を少しだけギュッとするような、ザワッとするような事があったとき、そしてお腹の底が温まるような、くすぐったい思いをしたいとき、私は川上弘美の小説を手に取る。

私が川上弘美の小説を初めて読んだのは『先生の鞄』だった。これも好き。

それまで彼女の描くような穏やかで静かだけど体の奥の方がザワザワしたりホクホクしたり体感的にとても不思議な、近眼での世界の見え方みたいな感覚?表現難しいけどそんなかんじ・・・語彙力!!!泣

久々に彼女の本を手に取ってみた。

『猫を拾いに』は短編集である。

ちょっと不思議で、ちょっと切ない。

よし!読むぞ!!って意気込む感じじゃなくてふとした時、そっと手にとるような。

この短編集の中で私は『九月の精霊』が好きだ。

お盆に帰ってくる死者とその家族の話。

死者たちは特段なにをするでもないのだがその時期だけその家は賑やかになる。

死者が登場する話で最初こそドキっとしたが(私は怖い話が苦手なもので・・・)死者たちはただひっそりとそこにいるだけでなにをするでもない、しかも主人公の知っている存在(祖父母だったり叔父叔母であったり)で怖い話ではなかった。

ただただ不思議。しかしそれも最初だけだった。

この物語を読んでいると「家族」とか「死ぬということ」というようなことをぼんやり考えたりする。

あぁなんだかこういう風に思えたらいいな。

寂しくて、心細くなるけど、こんな風にただ居るだけの死者たちのように自分もなるのならそれはそれでなんだかほっこりしてくる。
死者たちと話すことはできなくても死者たちの静かだけど、ぼんやりしているけど、それが感情かどうかはわからないけど穏やかな温もりのようなものを感じる。

私には死者は見えないし、なにも聞こえない。

このお話のような事はないけれど、見えないだけでそうだったらいいなぁと思う。そしてそうなんだろうな。とも思う。

ざわざわして私を見失ってるなと思ったここ最近。
足の裏に感じ地に立っているという重力を確認できるような、そんな感じ。

また全く分からん感じになってしまった…まぁいいや。

あと最後に、川上弘美と村上春樹は私の中でご飯がとても美味しそうな作家1位と2位です!!

ご飯が美味しそうな小説あったら紹介してください!!!

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