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No.21 長女が機内で泣き通しの行き先はアトランタだった

結婚して1年と少し経った頃、夫と、6か月の長女と3人でアメリカのアトランタに行った。夫の家族達が義姉夫婦のところに集まり、皆でクリスマス休暇を過ごすことになっていた。
私にとっては初めてのアメリカ。それまで訪れたことはなかった。
都内で行った私達の結婚式に出席してくれた義両親と義姉以外、夫の家族に会うのも初めてだ。

長女はまだ6か月で、赤ちゃんを連れて飛行機に乗り、どのような旅になるのか、検討もつかなかった。とにかくオムツをどっさり持って乗り込んだ。
飛行機内にはバシネットという、赤ちゃんを寝かせる為の小さなベッドのようなものが壁についている箇所があり、私達はバシネットのある席を予約してあった。
長女が眠った頃にいよいよそのバシネットに寝かせてみた。
それには赤ちゃんを保護する為のカバーがついていて、長女を乗せると客室乗務員がそのカバーをカチャッとかぶせた。
と同時に「びぇーーーーん」という泣き声が機内中に響き渡った。
長女激怒。こんな狭いところに入れられて、おまけに上から何か蓋みたいなものをされて、何するのーーー! と言う感じだったのかもしれない。
怒る怒る。暫く泣き止まなかった。そして二度とバシネットの中には戻らずじまい。意志が強い。
ずーっと泣いて、夫が抱くともっと泣いて、結局アトランタに着くまで、私が抱き続けることに。その横で夫は熟睡。
仕方がない。赤ちゃんは母がいいのだ。

この旅では長女はよく泣いた。
機内が暗くなって人々が眠る時間も泣き続けた。
狭い機内で、しかも深夜の静かな時間に、長女の泣き声はうるさかったと思う。
アトランタに着いて乗客が飛行機を降り始めても、私達は子連れの為ゆっくりしていた。
横を通り過ぎながら、たくさんの方が声をかけてくれた。
ニコッと笑って「大変だったね」と言う白人カップルや、
長女に向かって「可哀そうだったわね。よく頑張ったわね」
と笑いかけてくれた日本人のご婦人など、その人達の言葉に救われた。
ずっと、あんなにうるさかったのに。

私は、長女や長男が赤ちゃんの時に、何度かアメリカ行きの飛行機に乗ったことがあるけれど、一度も嫌な思いをしたことがない。本当に一度も。
乗務員も乗客も、子供連れにに優しかった。
国内線でもそうだった。
私達だけでなく、お子さん連れの人に、皆が優しい。
優しくて気さくだ。
そんな場面を何度も見た。

飛行機を降りて手続きを済ませ、到着ロビーに出ると夫の家族が賑やかに迎えてくれた。
義両親と義姉夫婦、義妹と高校生のお嬢さんと大学生の息子さんとその彼女。あと誰だっけ?
ものすごく大勢で、もの凄く賑やかに、大きな笑顔で、私達を歓迎してくれた。特に、当時高校生だった義妹のお嬢さんは、日本人の私と赤ちゃんだった長女に興味津々のようだった。それを全身で伝えて来た。
超早口のティーンエイジャー英語で話しかけてきた。
聞きたいことが山盛りになっていたのだと思う。
「何を言っているのかわからない……」
夫に言うと、
「大丈夫。誰にもわからないから」と笑っている。
本人は「えー! ショック! これでも凄くゆっくり話しているのよー」と。
皆が大笑いだった。
「赤ちゃん欲しい~!」と言って、義姉の夫のジョンに、「大学を卒業してから」と言われていた。そしてまた、「私も赤ちゃん欲しい~!って。
夫の家族は温かくて、私はホッとした。
夫は五人兄弟姉妹の三番目。彼の家族は大家族なのだ。
私がファミリーに迎え入れられた初めての日だった。
でもこれが全員ではない。まだまだ集まる。

今日も幸せな一日でありますように!

Love & Peace,

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