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No.31 二人目の妊娠期。思いもよらないこともある

二人目の妊娠。
この時は上の子もいて、それなりに大変な妊婦生活だった。
一人目同様つわりもあり、あの動けない日々再び……
特に朝が、午前中が、気分が悪くきつかった。
起き上がれずソファに横たわっている私の目の前で、
小さい娘が遊んでいる。
母の様子がそれまでとは違うことがわかるのだろう。
そばから離れず、いつも私の横で遊んでいた。
ごめん。外に連れて行ってあげられなくて。
部屋の中でずっとひとりで遊んでいる娘を見ると不憫だった。
食事の支度もその匂いに気分が悪くなり、あの頃はどうやって娘の食事を作っていたのだろう。全く記憶にない。
週末になり夫が帰宅するまで、娘は私と籠城状態だった。
当時は定期宅配で日用品を購入していて、
買い物はほぼそれでしのげることがありがたかったなぁ。
私は本当につわりに弱かった……

つわりが落ち着き普通の生活に戻ってからも、
体がキツイなぁと感じながら過ごしていて、とても疲れやすかった。
まだそんな時期でもないのにいつも息切れをしていた。
ある日、用事のため娘を連れて一日外出をしたことがあり、
全て終わって自宅の最寄り駅に着いた時は夜。
はぁ疲れた。もう少しで家だ。座りたい。
駅から外に出た時に、突然頭がグラリとして、すごく気持ちが悪くなった。
娘を乗せたベビーカーを押して、やっとの思いで家に着いた途端、
目が回った。
目眩ではなくて、立ちくらみでもなくて、目が回る。
目が回り立っていることができない。
頭の上で天井がぐるぐる回る。気持ちが悪い……
つわりとは全くタイプの違う強烈な気持ちの悪さだ。なにこれ……
何度ももどしてしまった。

右耳の後ろが痛くて、聴覚がこもったような感覚があり、
耳鼻科を受診したら「メヌエール症候群」かもしれないと言われた。
これは知っている。私が高校生の時、母がこの病気で入院したことがある。
けれども、もしそうだとしても妊娠中なので投薬はできないと。
私がこんなに体調が悪くて、お腹の子は大丈夫なのだろうか? 
それが気がかりだった。
一週間ほど先が定期妊婦健診の予定で、
「その時に医師に相談をしてみよう」そう思いながら過ごしていたけれど、
突然襲ってくる、目の回るあの症状には参った。

妊婦健診でも「メヌエール症候群」という診断だった。
医師に「妊娠中は通常の薬は飲めません。しばらく入院治療をしますか?」と提案をされた。
出産予定日までは残り三ヶ月半。
あと三ヶ月半、そのままの体調で日常生活を送る自信がない。
医師と相談をして入院をすることにした。
とにかくお腹の中にいる赤ちゃんのことが心配だった。
絶対に無事に出産まで辿り着かなくてはならない。そこを一番に考えたい。
投薬はせずに養分点滴か何かをしながらの一週間の療養入院だった。

この一週間が私を心身ともに休ませてくれた。
家のことをする必要がなく、自分のことさえ、食事やら何やら考える必要もない。役割もない。することもない。
ひたすら自分のペースで、横になったり歩いたり、本を読んだり昼寝をしたり。
夫が休みをとり、娘のことは見てくれている。
家のことも考えない。本当に何も考えずに過ごすことが出来た。
看護師さんが優しくお世話をしてくれて、
こんな、一切、全く何もしなくてもいい生活は初めてだ。

一週間療養をして私は復活し、メルエール症候群は治まった。
右耳の後ろに硬いしこりが残り、今でも押すと痛いのだけれど、
その後、目が回るようなことはない。
夫と娘には申し訳なかったが、あの時休養をとれて良かった。
思いもよらない症状にみまわれ、思いもよらない入院までしたけれど、
出産まで残りの三ヶ月は体調もよく、安心して過ごすことが出来た。

妊娠中の体は、自分であって自分ではないとつくづく思う。

今日も幸せな一日でありますように。

Love & Peace,




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