統計でウソをつく法
こんにちは、丹野です。仕事柄、定量データ分析をすることが多いのですが、その時の土台となる知識が統計学です。統計学と聞くと何だか小難しく感じるのか、避ける人も多い気がします。(なお、ここでは社会科学(人の心理や行動)で使われる統計を対象にしています)
広告で使われるコピーや社内資料など、さまざまなところで統計を使った数値が出てきます。よく使われるのが売上高や利益などを平均値で表した値や、満足度95%などの割合でしょうか。
今年の4月に、消費者庁が12社の"No.1を謳う広告"に対して、景品表示法違反(優良誤認)に基づく措置命令を出したニュースがありました。
わずか2週間で12社が摘発されたとありますが、尋常ではない事態だと思います。消費者側として"統計値の背景を知ることの大切さ"を改めて振り返ることが必要なかと感じた次第です。
この点に着目したのが「統計でウソをつく法」という本です。
1968年に初刊が発行されて30万部以上、50年を超えるベストセラー作品です。私の手元にあるのは2011年の87刷なので、おそらく100刷を超えていると思われます。
表紙の見返しには、英国の政治家であるディズレーリが語ったとされる次の一文が記されていいます。
ウソとみえすいたウソの違いがなかなかわかりづらいですが、統計をウソに含めていることにびっくりしました。確かに、統計はウソをつくためのツールになり得るからです。
この本の著者であるダレル・ハフは、"騙されないようにするには、騙す方法を知ること"という意図を持ってこの本を書いたようです。まさに世のための本ですね。
この本の構成は次のとおりです。
1章:かたよりはサンプルにつき物
2章:"平均"でだます法
3章:小さい数字はないも同然
4章:大山鳴動 ネズミ一匹
5章:びっくりグラフ
6章:絵グラフの効用
7章:こじつけた数字
8章:因果はめぐる
9章:統計操縦法
10章:統計のウソを見破る5つのカギ
どれも大事なことばかりですが、個人的に特に大事だと思っているのは1章です。人を対象とする以上、どうしても偏りは生じます。この偏りがどのように起こっているのかを理解しようとしないと、数値を読み違えてしまいます。つまり、騙されてしまう可能性があるわけです。
看板やネット、電車内で見かける広告の中にも統計を使って騙そうとする広告がたくさんあります。これらの広告に騙されないように、少しでも統計を学んでみませんか。