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【回顧】2022年見たもの

2022年も終わってしまったので、1年間で行って見たものについてなるべく簡素な感想(激寒)を思い出せるだけ書いていきたいと思います。オチもヤマもないです。

『ああ これはなんという美しい憂鬱だろう ムットーニのからくり文学館』(前橋文学館)

年一発目は前橋市の町中にある前橋文学館だった気がします。お友達の塵くんが教えてくれて一緒に行きました。
箱庭というかジオラマというか、空間を切り取ってカラクリにしたような作品を作る方で、初めて知りましたが実際に見るとこれがとっても面白いものでした。中也や朔太郎の詩がモチーフになっているものもあり情緒があります。


『奇想のモード
装うことへの狂気、またはシュルレアリスム』(東京都庭園美術館)

変わった服飾がたくさん展示してあってなかなか見ごたえがありました。こういった展示内容だと見に来ている人の服装も気合の入ったものが多い気がします。見ていて楽しいな。

『旅と想像/創造 いつかあなたの旅になる』(東京都庭園美術館)

同じく庭園美術館にて。グランドツアーと称して朝香宮夫妻の100年前の旅先での記録を展示していました。個人的には3セクション目の現代アーティストのコーナーで(後述しますが)さわひらき さんの映像作品を40分近く見続けられたのがよかった。コラージュ的な映像と音作りが癖になります。

ブルー・アイランド版オペラ 
『うりこひめの夜』/『あまんじゃくとうりこひめ』(あうるすぽっと)

豊島区のあうるすぽっとにて林光作曲のオペラ『あまんじゃくとうりこひめ』と諸星大二郎原作・青島広志作曲・台本の『うりこひめの夜』の二本立公演。
「うりこひめの夜」原作は単行本『瓜子姫の夜・シンデレラの朝』に収録されています。民話では天邪鬼に騙されてえらい目に遭う瓜子姫を神の衣を織る巫女という解釈をもとに(出典は柳田國男らしいですが)描いた短編で、ラストがなかなか切なくアレンジされています。瓜子姫を題材にした話は「妖怪ハンター」の『天孫降臨』でも書かれていましたね。


青島広志氏はコミカルな演出や台本作りをされる印象を持っていましたが、今回も例に漏れずという感じでした。諸星漫画は独特の不気味な造形、奇妙な空気感・緊張感が魅力である一方、ギャグをやらせたら読み手の気が抜け切ってしまうようなユルいボケをかますギャップも魅力だと思うので、演出との親和性はあったように思います。異界とシュールギャグは紙一重なんですね。
あうるすぽっとのページを見たら今年は『蝶々夫人 宇宙編』らしいです。宇宙編。
物販で譜面を購入したら青島氏にサインをいただきました。学生時代ガッツリ作品に触れたことがある作曲家の先生だったのでかなり嬉しかったです。

とてもうれしい

氏は漫画好きで有名で、手塚治虫の火の鳥「ヤマト編」でもオペラを作っています。チョイスが渋すぎる。


『冨樫義博展 -PUZZLE-』(森アーツセンターギャラリー)

チケット取るのが地味にキツかった…
冨樫作品の黒てトーンとかじゃなくて全部塗ってるの知らなかったです。
会場の人間全員ハンタか幽白の話してて奇妙な空間でした。


1点残念だったのは物販で自分が幽白で一番好きなコンビのグッズが売り切れていたことです。

一番好きなキャラは「闇撫の樹」なんですけど(自分が仙水を変えたわけじゃないなんて嘯いていますが、結局自分が仙水忍の人格に影響を与えることができたのは出会った時の戸川純のくだりだけ、くらいに思ってそうじゃないですか?誰よりも側にいながら一方通行の歪んだ愛情に身を灼かれてそうなとこが好き)、一番好きなコンビは蔵馬、というより南野と海藤。
蔵馬は人間としての暮らしを大事にしているので、正体を知りながら(といってもどこまで性格に把握してるのかは分かりませんが)「南野秀一」としての彼と対等に接することができる海藤との関係性はあの作品の中でも特別なものがあると思う。
グッズのキーホルダーは禁句(タブー)戦終盤の蔵馬が海藤を脅かしてる1コマ。名勝負で大好き。

『水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた』(東京シティビュー)

漫画を読んだりこういった展覧会で触れることのできる水木しげるの思想が好きです。気張らず生きていたい。

『ものがたりの予感』(県立館林美術館)

群馬に居てながら館林の美術館に行ったことがなかったので、行きました。
土地を広々と使っていて、天気もよく心地よかったです。
企画展も「物語」にまつわる美術で構成されていてなかなか見応えがありました。

良い天気で最高の休日でしたが、この2日後くらいにコロナにかかります

『アルフォンス・ミュシャ展 美しき時代の女神たち』(高崎市美術館)

市内でミュシャの企画展をやっていたので行きました。ミュシャの企画展は2017年に国立新美術館でもやっていましたが、そちらはスラブ叙事詩メインだったと記憶しています。当時、ミュシャ作品こんなデカかったのかとド肝を抜かれました。
日本で親しまれているミュシャのイメージに近いのは今回のような展示な気がします。ポスターや装丁、お菓子の箱や切手など、商業芸術家としての色合いが強い作品が多かったです。インターネッツではミュシャ風の二次創作は(展示でも言及がありましたが)根強く人気なので、いろんな所に溢れていて個人的にはもうわりと陳腐化してない?感があったんですが、実際のミュシャの手掛けたモノを見るとやはり女性は魅力的だし商品は可愛らしいしで、ひとつ優れたフォーマットを確立するくらいにはすごい芸術家なんだと改めて思いました。

瀬戸内国際芸術祭(香川)

「夏の瀬戸内海はよい」という天啓があったので、8月に高松の島巡りとしゃれこんだってワケ。
巡った島は
・小豆島
・直島
・男木島
美術館は
・香川県立ミュージアム
・高松市美術館
・ベネッセハウスミュージアム
・李禹煥美術館
+瀬戸芸の屋内/外の作品って感じでした
地中海美術館は事前予約をしていなくていけませんでした。コロナ入って都心の方では既に主流になりつつあるとはいえ、未だに美術館に予約を取っていくという行動に慣れない。
香川でみたアートの中で一番ぶっ刺さったのは高松市美術館の、上で少し触れたさわひらきさんの映像作品「Eight Minutes」でした。ヤギが列を作って川や洗面台をひたすら渡っていくという内容(?)。全体的にコラージュっぽい映像づくりで不思議と目が離せない作品を作られる方でした。You Tube等に公式で上がっている動画などなさそうだったので貼れませんが、どこかで一度見ていただきたいです。

しかし高松、行った島はそれぞれ毛色が違って楽しかったですし、何より観光客に親切だった気がします。展示の説明してくれる島の人とかもフレンドリーだし。全行程天気が良いのも幸いでした。うどんが美味い、骨付鳥が美味い。シンプルにもう一度行きたいぜ。

『Immersive Museum』(日本橋三井ホール)

これ行くまではどういう展示なのかよく分かってなかったんですが、形態としては広めの多目的ホール(長方形)の空間の四方の壁に映像を映して中から鑑賞することで没入感を演出する、って感じの映像作品でした。鑑賞者は床に置いてあるクッション(でかい)に寝転がったり座ったりして観る。内容は印象派の絵をテーマにしたものだったんですが、モネの絵を動かしてみたりだとか、ゴッホの絵の要素を分解してみたりだとかそんな感じでした。自分の好みにあまり刺さるタイプの展示ではなかったですが(会場の空間があまりにデートっ気が強いというのも多少あったかもしれない)、没入感があったので同じフォーマットで他の内容でも見てみたいなんて思いました。予約制2500円で、「この展示の設備でこの値段はけっこうええ商売してはりますな」と一緒に行ったマイルドニキくん27歳男性はボヤいていた。

『展覧会 岡本太郎』(東京都美術館)&『展覧会 タローマン』(NHK放送博物館)

岡本太郎の作品、これだけ一度に対峙したのは初めてだったんです。しかし難しい。作品ひとつひとつに理詰めで向かっていこうとするとすぐに行き詰まる感がありました(じゃあ他の現代美術に限らず世の作品に対してお前は理性で咀嚼できてるのかよ、って話なんですが)。エネルギーはビンビコビンに感じます。太郎の思想的にはこのディスコミュニケーションも生きる力なんでしょうか。
一方タローマン展、これもなかなかでした。広くない放送博物館の展示室にタローマンの衣装やグッズなど存在しない当時をでっち上げて(はっきり言うのは興醒めかもしれませんが、ここでは敢えて言います)並べて陳列していました。
「タローマンって何?」と親に尋ねている子供がいました。俺も知りたい。親御さんはなんと答えたのか気になります。
会場には「タローマンという番組が当時存在したと思っているひと」あるいは「タローマンという番組が当時存在したかのように振る舞っているひと」のどちらかしか存在しなかったように思えました。はっきり言って異常な空間ですが、ここ最近の盛り上がりも含め、コンテンツの仕掛け人の意図がバチっとハマっている感覚があって見事だと思いました。


とりあえず思い出したやつを書きましたが、例年に比べるとだいぶ少ない気がします。他にもプリティーシリーズのイベントにはたくさん行ったし、金属バットの単独ライブ配信とかも見ました。来年は何か見たらもっと言語化する努力をします。

以上





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