虎(William Blake ‘The Tyger’の翻案訳)

虎、虎
鬱蒼とした心に
赫赫燃える
不滅の目
不滅の腕が
没個性の文明を
築いた

天空も深層も
虎の眼差しに
燃やされて
空を狙う翼と
太陽を掴む掌の
遊び場になった

全身の力瘤に
吹き溜まる
絶え間ない悲しみに
締め付けられた心臓が
泣いていた
命の鼓動を
怪物の手脚と
技術の虚しさに
陵辱されて
泣いていた

脳が
鉄鎚になり
鎖になり
鎔鉱炉になり
鉄床になり
恐怖が
形を与えられて
把握されて
現実になって
しまった

星々が槍になり
夜空の隅々に
引っ掻き傷を
おわせて
滲みだす涙の日
彼の人は
己の傑作に
微笑んだのか
子羊を造り
お前さえも
造ったのか

虎、虎
鬱蒼とした心に
赫赫燃える
不滅の目
不滅の腕が
没個性の文明を
築いた

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