満州からの手紙#6~#10
満州からの手紙#6 お父さん。
後五ツ寝たらお正月ですネ。
『もう五ツ寝たらお正月だよ。』
幼い頃よくそう言われたお父さん達のあの声を今なお懐しく懐しく思い出します。
お父さん。僕達もお父さん達も又ーツ年をとってお爺さんに近づくのですネ。僕も今度の正月を向かえば明けて二十四才の春を向かえる訳です。
昔、紫野の大徳寺に一休と言う非常に名識の高い坊さんがありました。その人はお正月を歌いよんで、
『門松は三途の川の一里塚 めでたくもありめでたくもなし』
と言われて、元旦早々人間