桃感(モモカン)

はじめて
君に出在った時から

ボクは
君のことを考えると
今まで考えていた
昨日までやっていた事も
探し忘れたみたいに

缶詰のなかに在る
たった一つの真実について
ふと想いだす

その缶詰は
とってもいい匂いがして
ミックス・ジュースにして飲むと

最高に
甘酸っぱくて、瑞々しくて
ホントは糖度も高くて
ボクの気持ちも清々しくて

混ぜ合わせた
色々な果物と一緒に
冷蔵庫からだしたての
新鮮な凛を教えてくれる

当の本人は
そんな気が全くなくても
もうちょいで届きそうな
君への想いを
後押ししちゃうように

空気中を漂うその馨は
世界中をコップ1杯に充たす
どんな雰囲気よりも偉大で
ボクの心を
きれいに美しく解いていく

君は
姿も、フォルムも、形も
好みのタイプだったから

時間はやわらかく
気持ちをやさしく、温かく
自然な甘さと
残り時間の切なさをともなって

別れることの
なくなることへの未練を
ボクの心に授けてくれる
新しい生命を宿していく

それなのに
君は全く悪気もなくて
ちょっぴり意地悪な悪戯を
ボクにする様に

冷蔵庫に冷やしてあった
桃の缶詰
ボクに黙ったまんま
100円ショップで買った缶切り
使い方を試すように
毎日、セワシそうに動いてる

だから、ボクも
君を見習って
新しい生活を始めたよ

今、ここに在る
ボクの幸せは
間違いなく、君との幸せ

君に
一つだけ伝えたいのは
慌てなくても、ボクは
桃の味が一番スキで

その缶詰は
淡白い桃は
かわりに君にあげるから
新しいのを
黄色い光を
今から買いに行ってくる

新しいのはボクだけのために

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