ひとくちサイズ

『ここはジゴクではないんだよ』
『やさしいひとになりたいよね？』

君からもらった
有難いことばに
僕の心は
ちょっとずつ
盛り上がりをみせると

鼻歌も
ハミングも
近所でさえずる小鳥たちも
ヘタクソだった僕の歌さえも

空を
宙を
いまなら
飛べそうな気がして

ホントのことは
自分に聴いたらよかったのだと
説明書には載っていない
ことばと正解
まるで最初にみつけたように

得意げな顔
自慢する表情

他人はそんな僕をみて
気持ちよくはならなくても

凸凹のパズルを
テーブルの上に
散らかしてはみたけど
片付けるのは
やっぱり僕の手で

そんなこと考えながら
君の歌
風のように聴いていた

勘違いなのかも？
もしかしたら？

『それでもいいよ』と

君が差し出した
手を手繰るように

明日は
決して
君が考えるような
悲しい未来とは違うから

いまが
満たされるだけで
僕の気持ちは
また柔らかくなる
不思議なくらいに

誰でも食べやすい
ひとくちサイズで
僕らは
生きていける

きょうも
なにひとつ
色褪せることなく

ここは
ジゴクではなかった
あなたがいうとおり

そうね
僕も
やさしいひとになりたい