イロドリミドリ

遠くに
耳を澄ますと
夕焼けと溜息

木漏れ日の奥から
君の足音が
聴こえた気がして
その場に
たちどまると

足音を手掛かりに
足跡を探した
みつからなかったと
小声で呟いたら

足音は
さっきよりも
大きくなって
そばに近づいてきた
足元のすぐ近くまで

感覚でいうなら
ちょうど2㍍手前で
足音はしなくなった

すぐ前に
君は立っていた

それを
深く感じるように
深呼吸をすると

君も
僕の顔の前で
ハアっと
深呼吸の息を吐きだした

二人の息が
静寂のなかにあって
混じりあった
交わりあった

その瞬間に
公園の木々の色は
真夏のような新緑となり
その二秒後に萎んで
茶色い枯葉となって
僕の足元に佇んだ

気がつけば
時計の針は
すでに帰る時刻を
遠く過ぎてしまった

かつて
遠いと想った
君の存在を近くに知り
その反対に
時間の感覚は薄れて
夜になる

暗さも
なにも感じないような
その闇は
僕が感じていた孤独とは違い
真っ黒とは
異なる色彩を宿している

すべての色彩
自然界の彩りは
僕の足元を明るく染めて
また元の形に戻った

君が僕に
会いにきてくれたお陰で
昔のカラーテレビのように
僕の記憶のなかに在る
君の色は彩り鮮やかだった

決して
モノクロームではなく

青、赤、黄色、緑、黄緑、橙
紫、藍、群青

原色のような
光の煌めきと
ハートの時めきが
君と僕だけの世界を

キラキラと輝き
ずっと
そこに
いつまでも
君の足音は佇んでいた

遠くの宙を
夜空の惑星(ほし)を
眺めるように

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