《カリン様》

甘くない。

人生は
そんなに甘くはないのです。

誠に残念ながら……。


たった今、
僕が頬張ったヨーグルトには

無数の生命の息吹が

目には見えなくても、
確実に宿っている。


それらを
すべて対等に感じとることなど

到底できやしない。

最後の一匙までは
とても味わえないだろう。


君と僕の気持ちが等しくなる。

いつの日か
同じ長さになったとしたら。

たぶん、僕の心は
持ち堪えることができないからね。


今、目の前にある
感情を抑えられなくて

すべては、なにもかもが
水の泡となって

一瞬で消え去ってしまうんだ。


だから、誰一人として

そんなことを
望んだりはしていない。


今夜、僕が
神様にお願いすることは

たった一つ。


そこの甘ったるい
無色透明のシロップから

ハチミツだけを取り出して。

寝ている僕に
そっと舐めさせてほしい。

どうか。


だって、泡糖(カルメラ)の甘さは

永遠に変わらないでしょう。


あなた自身に僕が伝えたいのは

まっすぐな『糖蜜』でありました。

甘いのは僕自身。

つまり、そういうことでした。


ご存知のとおり。

人生は甘くありません。
砂糖は入っておりません。

おはなしのイントロから。
一滴として。

微塵もございません。

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