アルキ・スマホ

公園の傍にある
歩道のカタワラ
歩行者優先道路

その場に
断ち停まって
足下を観ると
蟻が其処に在る

而も
ナチスの軍隊のような大群で
昨日よりもデカくなった姿を
精一杯に誇示している

ボクの爪先よりも
その足取りは実に力強い
ヒトの一歩
君の歩幅よりも拡く観える

或る匂いがした
ガソリンの匂い
目の前には
ただ、国道が走っているだけ

自動車は
ホントに自動?クルマ?

此処からは
チットモ
Automaticには観えないけれど
とても安全だと言えない乗り物

多分に
自由ではなくて、束縛なんだ

互いに
排気ガスを
撒き散らすだけ
巻き散らしといて
君たち、ヒトの自由は
ホントに高くツイたもの

何処に向かっているかを
ボクはよくは知らないし
当然、興味も在り得ない話

其れ其れの物語の背景
今流れているBGMは?

漫画一(万が一)
君の人生と
ボクの人生の重さが
もしも、等しいなら
そんな事を考えただけで
ボクは不機嫌になるから

思考のトビラは
たった今、閉じてしまおう
細やかな希望が
この眼で観えなくなる前に

たった今
ボクは
歩きながらの
スマートフォンの操作を止めた

知らない小学生たち
祝日に市民プールに向かう
脇を通った数台の自転車

幼稚な挫折感と
君の舌打ちが
耳の一番奥
鼓膜に
谺(こだま)するのを

カタツムリの殻の模様
ウズマキみたいな
君の傍(かたわら)で

ボクは
静かに聴いていた

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