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河川のそばで地盤沈下が発生したら

河川のそばで地盤沈下が発生したらどのような被害が起きるのか、特定の事例をもとに説明します。この記事で紹介するのは、軟弱地盤に築いた堤防の重みで地盤沈下が起きた事例です。構造物を築く前に地盤をよく調べるなどの対策が必要です。

河川の地盤改良 攪拌状況

地盤沈下が起きると回復は困難

地震が地盤沈下の引き金となることはよく知られていますが、他にも様々なことが発端となって地盤沈下が起きています。

自然現象が引き金となる例としては地震の他に、大規模な地下空洞が形成されたことで地盤が沈下することがあります。

地盤沈下を人為的に発生させてしまうのは、例えば、地下水の大量くみ上げです。目には見えませんが、地中に沁み込んだ川の水・雨水などが地層の間隙を満たしています。この水が地下水です。地下水は私たちの日常生活および農業・工業などの産業で多く用いられています。しかし、くみ上げ量が多すぎる場合、地層の水分が失われて地盤沈下を引き起こします。その他に、地下資源を採取するための掘削が引き金となることがあります。

地盤沈下が起きると、地表と河川の高低差が等しくなってしまうことで排水しにくい土地となり、浸水被害が発生しやすくなります。その他にも、平らだった道路にでこぼこが生じたり、つながっていた建物と地面に空間ができたりして、生活が脅かされることになります。

残念ながら、ひとたび地盤沈下が起こると、回復はほぼ見込めません。

堤防の重みで地盤沈下が起きた

地盤沈下が周囲の住民らに悪影響を与えた事例として、堤防の重みによって、20年という長期にわたって地盤沈下が続いたケースを紹介します。堤防を建設したものの、想定以上の軟弱地盤だったために堤防の重量を支えられなかったのです。

住宅などに被害が出ていることは20年ほど前から認識されていたものの、地盤沈下の原因を特定できず、対策を打てませんでした。その間に、住民の間では次のような被害が起きました。

住宅の壁や柱と、基礎とのつなぎ目に亀裂が入る/住宅が傾く/壁のコンクリート部分が細かくひび割れる/扉の開閉が困難になる

被害を受けた住宅への補償は随時行われたものの、根本的原因である地盤沈下が続いている以上、本格的な補修に着手することもできない住民が多くいました。被害を受けた住宅の範囲は右岸4.7㎞・左岸2.8㎞、百数十戸に及びました。

この他にも、道路橋に段差が発生するなど、公共の構造物にも大きな影響が出ました。場所によっては50㎝以上沈下が起きていたり、毎年1㎝以上の沈下が続いていたり大きな被害が確認されています。

地盤沈下の原因が堤防の重みにあると判明した後も、対策を決定するまでは時間を要しました。沈下を引き起こした粘土層が地中の深くに存在しているため、対策工事が技術的にたいへん難しかったのです。地中45mに鋼矢板を入れ込むという試験工事を実施した結果、有効と確認されたため、20年ちかく続いた問題解決に向けて具体的に進展することとなりました。

不便にさらされてきた住民からは、地盤沈下がこの先発生しないように願う切なる声が聞かれたといいます。

工事費用は膨大で、大型の改修工事となる見込みです。

地盤沈下対策としての地盤改良

先ほどの事例は、堤防を築いた場所が非常に軟弱な地盤だったことが背景としてあります。築堤の際に地質の調査を綿密に行っておくべきだったとの専門家の意見も出ました。

河川の近くの地盤は軟弱で、構造物を支える十分な強度がないことがしばしばあります。構造物を築く前に、n値など地盤の強度や地質を周到に調べてリスクを検討することが住民や通行者の安心につながります。地盤の強度を上げることで安全が確保できるのなら、地盤改良はひとつの選択肢となるでしょう。効率良く効果の高い地盤改良を実施するセリタ建設にご相談ください。


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