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地盤改良を河川で行う事例と留意点

地盤改良を河川で行う事例と、施工に際しての留意点について説明します。橋梁の架け替え工事に際して地盤改良した事例と、河川周辺の液状化対策として実施した事例を紹介しています。地盤改良が河川周辺の安全対策として有効だとおわかりいただけると思います。

河川の地盤改良
河川の地盤改良工事

ケース1 構造物の安定のため

橋梁の架け替えにおいて、橋梁周辺の地盤改良を行った事例を紹介します。橋の架け替え工事の範囲内における地盤が非常に軟弱である場合、工事によって掘削した法面が崩落したり、盛土の影響で地盤沈下が起きたりすることが予測されます。このようなケースでは、橋の架け替え工事の前に、地盤を安定させるための対策を講じる必要があります。
軟弱地盤を安定させる方法としては、地盤の性質を変えずに荷重を軽減させる方法と、地盤改良があります。地盤改良でよく用いられるのは、浅層改良・中層改良混合処理や深層改良混合処理などセメントを用いた改良工法です。地盤を強化することで、工事現場と橋梁の安定が実現します。

ケース2 液状化対策として

河川の周辺には、地盤の強度が小さく、液状化しやすい場所が珍しくありません。例えば、河川が運んだ土砂が堆積して宅地となった場所や、かつて水域だった土地を人為的に埋め立てた場所は、液状化しやすい傾向があります。これらの土地は、地震が起こった際に地盤沈下したり地盤が移動したりする可能性が高くなります。地盤沈下や移動すると、構造物が沈下や傾斜を起こした・埋設管が損傷したといった問題が起きます。
このような場所においては、河床下の地盤改良が対策として有効です。

地盤改良の施工手順

配合試験:まずボーリング調査などの地盤調査によって地盤の強度や土質を把握します。現地の土を採取し、室内配合試験を実施して、設計強度に達するようセメントの配合量を決めます。腐植土など特殊な土質の場合は、特殊土用セメントを用います。
施工管理:浅層改良・中層改良混合処理や深層改良混合処理など、地盤の状態に応じた改良工法を選択します。セリタ建設ではアナログ管理でなく管理装置によるデジタル管理を行っています。施工情報は車載モニターで同時に把握できるため、効率的に作業することが可能です。また、施工時は河川汚濁や地盤変位が起きていないか、随時測定します。
品質管理:品質管理のために改良体の一軸圧縮試験を実施し、目標の強度を達成できているか確認します。
原状回復:施工後は工事現場の原状回復に努めます。特に耕作地域の場合、耕作シーズンが始まる前に元の状態に戻せるよう作業を進めます。

地盤改良を河川で行う際の留意点

河川を汚すと周辺地域や下流に大きな影響を及ぼすので、河川における地盤改良では厳しい施工管理が必要となります。例えば、施工時に発生した泥土は河川を汚す恐れがあるので、河川に広がらないよう対策します。
河川における地盤改良においては、工事現場の地盤の強度が極端に小さいことがあります。地盤の強度が小さいと、現地に乗り入れた地盤改良の機械が沈んで走行できないことさえあります。このような場合、当該機械の移動の範囲内において浅層改良・混合処理を行い、建設機械が支障なく走行できるように地盤を強化しておくという仮設工事を行います。工期やコストは、仮設工事の期間やコストまで見込んでおかなければなりません。
また、河川内での工事は渇水期間中に完了させるなど、工期に制約が設けられることもあります。工期を見積もる際は養生期間も考慮します。
もし周辺が耕作地帯だった場合、耕作への影響を最小限に抑えるような工法が選択されなければなりません。汚濁や地盤変位を防ぐなど、環境面への配慮はもちろん、工事のシーズンや施工期間も、耕作に影響が出ないよう検討する必要があります。
工事期間中、河川側道の通行規制を行ったり、河川に隣接した土地を借地したりすることもあります。いずれの場合も、近隣住民への影響をできるだけ小さく抑えること・施工後は原状に復することが求められます。


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