無自覚な自分のOS

(著作家・経営コンサルタント山口周氏のnoteやvoicyから得た学びを自分なりに解釈してアウトプットしています。私の解釈と意見が主で、要約ではありませんのでご了承ください)

#今回の学習元:
Voicy「ウラヤマグチシュウ:0030アンラーンの個人的経験」

山口氏は知識獲得のプロセスを以下のように定義されていましたが、最後に④が来るというのがミソだと思いました。大人になった我々が陥る落とし穴の多くは④にあることが良く分かります。

〈知識獲得のプロセス〉
①「知らない」ことを知らない
    ↓
②「知らない」ことを知っている
    ↓
③「知っている」ことを知っている
    ↓
④「知っている」ことを知らない(知っていることが当然のことになって無自覚になってしまう)

この④の部分は、単なる知識やスキルというよりも、その人が過去の経験や学習によって身につけた「ものの見方」や「価値観」、あるいは「信念」のことで、その人が世界を見ている時にかけている「メガネ」のようなものです。それがあまりにも体に馴染んでしまうと、つけていることを忘れてしまうわけで、それが無自覚になっているということです。
(こういうお話をするとすぐ「バイアス」(先入観、偏見)という言葉を使う人がいますが、「バイアス」と言ってしまうとちょっとネガティブな印象が強すぎる気がしますので、ここでは「バイアス」という表現は使いません)

どうも仕事がうまくいかない、人生がうまくいかないという時は、この④の「メガネ」、別の言い方をすればパソコンの「OS」のように自分の考えや意思決定の後ろで常に駆動しているものが悪さをしている可能性が高いと思います。それに気づかず、必死に③の部分、パソコンで言えば「アプリ」のように機能的な部分を必死に増やしたりパワーアップしても、OSの問題は解決できないですし、場合によっては事態を悪化させてしまうことが多いと思います。

ですので、壁にぶち当たってどうにもそれを越えられない時は、無自覚化してしまっている自分のOSをもう一度「自覚化」させて見直し、必要に応じてそれを書き換える、あるいは完全につくりなおすことで、新しい自分を生み出すことが必要だと思います。そもそも「学ぶ」ということは「自分が変わる」ことだと言われています。それは自分のOSを書き換えてアップグレードすることに等しいと思います。

では、この「無自覚化してしまっている自分のOSを自覚化して書き換える」ことをどう実現するのか。それには自らが体験する「きっかけ」が必要だと思います。

よくあるケースとしては、人生のあるタイミングでかなり劇的な「ショック」を体験することによって、無自覚になっていたOSを強制的にアップグレードせざるを得なくなったというパターンです。例えば、仕事における大失敗や、恋愛における大失恋や離婚、あるいは大きな病気や怪我など、自分にはコントロールしきれない外的要因で大きなショックを味わうことによって、半ば強制的に自分について深く内省する機会を与えられ、考え方が大きく変わるというパターンですね。ちなみに私もこの「ショック」でOSを書き換えた人間です。

一方、「ショック」と違うパターンとして、人との「出会い」がきっかけになる人もいると思います。自分とは住んでる世界や価値観が全く違う人と出会うことで、その考え方や生き方に大きく触発され、相対的に自分を見つめ直す機会を得るパターンです。一生の師と仰げるような人との出会いや、海外を旅した時に価値観が全く違う人と出会い、衝撃を受けて自分が変わったという人は多いと思います。本を通じて過去の偉人の生きざまに出会って変革したという人もいると思います。あるいはメンターのような存在との対話を通じてOSのアップグレードを実現した人もいるかもしれません。いずれも「出会い」がきっかけになっています。

以上、無自覚だったOSを書き換えるきっかけについて2つのパターンを挙げましたが、この「ショック」や「出会い」はいずれも意図してその機会を得たというよりは、偶然の産物に近いと思います。意図してその「ショック」を起こした訳でも、その「出会い」が自分のOSを書き換えるものだと知っていて出会った訳でもないと思います。あくまで結果としてそうなったという類のものだと思います。

では、敢えて意図的に「無自覚化してしまっている自分のOSを自覚化して書き換える」術はないのか、と考えたくなるのが人間の性だと思います。実際、いろいろな取り組みや手法が開発されていると思います。例えば、性格分析や行動特性分析などもその範疇にあると思いますし、内省を促進するためのさまざまな手法も同様の目的を持っていると思います。「無自覚な自分のOSに気づく」という面では占いもその目的を果たしているのかもしれません。

このように、「自分のOSを自覚化」する方法については様々なアプローチと手法があり、唯一絶対の方法というものは明らかになっていませんし、今後も明らかになることはないと思います。ただ、私的には、「自分のことは自分の体に聞いてみる」のが一番良いやり方のような気がしていて、自分の「手」に聞いてみるという手法を実践しています。

なぜなら、無自覚になっているのは「脳」であって、「無自覚」の状態というのは、体に染みついてしまった知識を脳が引っ張り戻せなくなっているだけで、「体」にはその知識(自分のものの見方がどうなっているかを示す情報)がしっかりと残っているんではないかと思うんですね。ならば、体の中でもっとも細かい動きができる「手」を使ってその体に埋もれた知識(身体知といったりもしますね)を引っ張り出してみれば、「無自覚になってしまっている自分のOS」について知るための大きなヒントが得られるのではないか、という考え方です。(この手法については過去のnoteをご覧ください)

いずれにしても、仕事や人生がうまくいかない時は、「無自覚になっている自分のOS」が悪さをしていないかと、一旦足を止めて考えてみることがとても大切だと思います。

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