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もう少し女の子でいるか
仕事も少しできるようになって、週五働いたって土日もしっかり充実しちゃって、それでいて好きなこともやりたいこともまだまだ追いかけて、そんなふうに、しっかりしたウーマンになっていくんだと思っていた。
資本主義の中で、楽しく生きるって、しっかり働いて、しっかり購買意欲を刺激されて、しっかり消費して、というサイクルを、素直に自信を持って回せることなんだなぁ、私はだいぶ遠回りしたなぁ、なんて思いながら。
たまに立ち止まったり、これでいいのか不安になりながらも、昨日とは違う今日を、今日とは違う明日を、追いかけることに慣れてきていた。
そんな最中の、体調不良と休職。最初はこの事実すらも、早く飛び越えて、乗り越えて、またより強くなった大人の女になる気でいた。
だけど、私の思惑とは裏腹に、体調は小手先の対処法ではよくならなかった。
だから、しっかり休んで、ゆっくり考えて、もっとじっくり過ごすことにした。
そうしたら、大切なことを沢山思い出せてきた。
そもそも人生なんて頑張らなくていいこと。一生懸命生きる必要も、何者かになる必要もないこと。
できるようになることを増やすのは楽しいけど、闇雲に増やすことが目的では意味のないこと。
そうやって強くて逞しい大人の女になった私は、多分いまの面白さを失ってしまうこと。
私の本当に大切な部分を守るためには、何かを手放しても良いこと。諦めてもいいこと。だらしないほうが魅力的なこと。
もう少し体力があったら、私はこの事実に気づくことはなく、気づく期間を与えてもらえず、ずっと走り続けていたのかもしれないな。そして、私の大事な部分を、たくさん振り捨てて、足し算ばかりして、気づいたら出来ることの多い、何の面白みもない大人になっていたかもしれない。
そう考えると、体力がなくて、だらしがなくて、よかったな、私。
私の大切な部分を捨てなくて済むように、
寄り道を楽しめる、ショートカットを一向に覚えられない私を愛せる、人生を歩みたいなぁ。
もうすこし、女の子でいてみるか。もう三十歳になりますが。何歳まで、在りたいように在れるか。
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