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Resultsのライナーノーツ

■はじめに

この曲はアルバムのリード曲&1番目のトラックにしようと決めていました。そのため最も派手で、最も聴かれるように作らなければならないという信念のもと、自分の中にあるデジタルJ-POP/歌モノのノウハウを全て注ぎ込みました。

細かな部分は各項目で解説しますが、Sentimental2,3のScar of travelとRevival Phaseと同系統の曲調の中では、今のところ一番良い出来になったのではと感じています。


■作曲/編曲ついて

・【イントロ】
この曲のイントロは2段構成になっていて、ピアノリフから始まり、その後バキバキのシンセリフが始まります。ピアノリフの段階ではベル音やループ音が徐々に入ってきて、シンセリフの段階でギターなどうるさい系の音が入り、一気に世界が広がります。

この「徐々に音数を増やして盛り上がりを演出」する手法は歌モノの定番で、自分も良くやります。というか音楽のみならず、何かを徐々に足して盛り上がりを見せるのは、演出のスタンダード手法じゃないかな...?

コードもあまり展開することなく、6→4→5の繰り返しですが、最後の1小節だけ3にしています。これは次のAメロへの展開を予感させるために変えています。この「繰り返すコード進行の一部分を変える」手法は、過去の曲でもよくやっていました。

ピアノリフでもシンセリフでも共通していることで、ただの繰り返しでは単調でつまらないので、特に2小節目と4小節目に変化をつけることを自分はよくやっています。


【Aメロ】
イントロが終わってAメロに入ると、また音数が少なくなり、キックとハットの最小限のリズム隊と、付点8分音符のシンセバッキングが始まります。Aメロではクラップやスネアの2拍目・4拍目のノリを消すことで、音を最小限にして、4つ打ちのノリを強調させて踊らせたい意図がありました。

ベースもルートを刻む程度で極力動かさずに単調にして、「ダンスミュージック」を意識して作りました。

アレンジの動きがない一方でメロディに動きをつけることによって、ギャップでより一層メロディが際立ちます。でも1小節目と5小節目はほぼ2音しか使っていないんですけどね...

そこを3・4小節目と6・7小節目でまた動くメロディにすることで、1小節目・5小節目とのギャップで、メロディを際立たせています。この感覚わかりますかね...メロディ内でギャップを生んでいる感覚です。

コード進行はデジタルJ-POPの作り方でも紹介しているAm→Em→F→G→C進行です。これもそのまま使うだけではつまらないので、最後の16小節目だけCをEに変えています。音楽理論に詳しい方はピカルディ終止という名称でご存じかと思います。

2番のAメロはシンセではなくピアノバッキングになりますが、これもよくやります。1番と2番を同じアレンジにするのはなんとなくJ-POPオタクとして許せないのです(笑)



・【Bメロ】
Aメロが終わってBメロに入るとギターとベル音が入ってきます。コードも前半4小節が王道進行、5小節目に転調して、6小節目で元の調に戻ってきて、7・8小節目で2→3の進行にしています。勘の良い方はお気づきかと思います(笑)。そうです、fripSideのあの進行です。

実はまだこの進行は使ったことなかったのですが、今回使ってみてやっぱりメロディのつけ方が難しく感じました。メロディ先行で作った場合、王道進行後の後半4小節のメロディは、自分からはまず出てきません。完全にコードに引っ張られたメロディです。

Bメロでギターとベルを入れることは結構な頻度でやるのですが、ベル音はストリングスと同じように、メロディと乖離する時、ハモらせる時、ユニゾンさせる時のバランスを大事にしています。

サビ直前のキメ部分はいつもどんな風にしようか考えるところで、曲調によって本当にいろいろなやり方をします。今回はスピード感とサビ始めのインパクトを出したかったので、付点8分のリズムのキメに、シンセバッキングを3段階転回させて、最後の1拍だけ16分で刻みました。



・【サビ】
Bメロが終わってついにサビに入りますが、ここで各コード1小節分使った小室進行で、壮大な感じを出します。使っているシンセの音色もサステインが長いか、リバーブの深いものを使っています。

シンセだけだとペラいので、迫力を出すためにギターを入れます。デジタルJ-POPにおいてHR/HM系のかなり歪んだギターは、ほぼ必須と言ってもいいかもしれません。

メロディはAメロBメロとは対照的に細かくせず、4分音符を中心に長めの音を取るようにしています。1音当たりの尺を長めにとることで、壮大なオケの中で飛んでるような感じを出して、歌詞をハッキリ聴かせるようにしています。

サビの各音色に共通することですが、16分音符のフレーズが非常に多いです。これもAメロのギャップと同じで、メロディとコードの尺は長めに、アレンジのフレーズは細かくして、壮大な感じとスピード感を両方出しています。トランス系の曲では定番の手法ですね。

ベースは前半8小節はルートだけを刻む動かないベース、後半8小節はフレーズに動きを入れた動くベースにしています。前半はサビに入りました!小室進行です!おまけに明らかに転調してます!というハッキリインパクトを持たせたかったので、コード感が伝わる動かないベースにしました。後半はただ繰り返すのはつまらないので、動くベースにしました。



・【間奏(ギターソロ)】
2番サビ終わると間奏に入り、ギターソロが始まります。自分のほぼ全曲でギターを弾いてもらってるイマダ君には、今回も自由に弾いてもらいました。いつもありがとう!

というのもこちらが細かく指示しなくても、彼はもうわかってるかのようなギターソロを送ってくれるんですよね。この曲に限らずです。ホントすごいです。なんでも聴きます!アニソンからメタルまで!!!は伊達じゃないね!(ネタだけどね)

間奏の構成はBメロと同じです。



・【落ちサビ】
間奏が終わって落ちサビに入りますが、リズム隊を消して、ベル音とパッドとアルペジオだけにして、一気に静かな世界にしています。さらにキーを-1させて落としている感を強くしています。

J-POPやアニソンでは定番の演出でしたね(過去形)、でもやっぱり好きなんですよね。ホント好き。嵐の前の静けさ、最後の盛り上がりに向けての準備パートという感じです。また、静かになるので歌詞やボーカルの声の表情が伝わりやすく、勢いのある今までの曲調とのギャップでさらに際立ちます。



・【ラスサビ】
落ちサビから復活してラスサビに入ります。落ちサビ後のラスサビは聴くたびに「もう物語も終盤に向かってるんだな感」がすごくて、いつも憂鬱になります。J-POPやアニソンは歌詞だけがストーリーを作ってるんじゃなくて、楽曲構成自体がストーリーになってるのがまた良いんですよね。

1回し目は1・2番サビと同じで、2回し目からキー+1させて最後の盛り上がりを強くしています。音が高くなるので、毎回ボーカルの方には申し訳なく思いつつも頑張ってもらっています。

この「高い音を歌っている時に出る、本当の心の叫び」のような声がいつも心に響いて目頭が熱くなります。ギリギリだからこそ脳裏に焼きつくものが、心に響くものが出ると思っているんですよね。

なのでサビではいつもボーカルの地声とファルセットの境目を突く音が、楽曲中1番高い音になるようにしています。そうするとその音は、ラスサビ転調+1後に自動的にファルセットの音域になりますよね。

ボーカルにはいつも伝えてないですが、ファルセットの音域をミックスボイスで出してもらいたい意図があるんですよね。伝えると意識されてしまうので、あえて伝えずに聴いて感じ取ってもらいたいのです。ナイショだよ!



・【アウトロ(ギターソロ)】
ラスサビからの流れでその勢いのままアウトロのギターソロが始まります。ここも信頼のイマダ君のギターが光るので、ほぼ自由に弾いてもらっていますが、ソロの始まりをメロディと同じで弾いてもらったり、メロディを崩したソロなど、多少リクエストすることもあります。


■作詞について

作詞についてなのですが、この曲は自分の歩んできた人生が、選択が、間違ってないと信じて、未来を生きていきたいという、信念と覚悟の曲なんですよね。

昔はみんな純粋に生きていたと思うんです。(中にはニヒルな人もいたと思うけど)でも時が経るにつれて、人それぞれ人生は枝分かれしていく。

自分の好きなように生きたい、でもそういう風に生きられなくなった人もいる。楽しいことばかりじゃない、嫌なことも当然あったと思う。常に物事には裏表、プラスマイナスの側面がある。

いろいろなことがあって「あの時、あーしてればまた未来は違っていたかもしれない」と、過去をやり直したいと思うこともあるかもしれない。

人生は選択の連続だというけど、悩みに悩んで選び抜いた選択は正しいはずだ!正しいと思いたい!そうじゃなければやってらんないという人もいたりする。

そんな自分と過去を受け入れつつ、自身を鼓舞するように、正当化するように、自分の人生は、未来は、これで良かったんだ、間違ってないんだと思いたいという吹っ切れなんですよね。だから「選び抜いた私の未来に、正しさの欠片を探している」のです。

本当に様々な出来事が、人それぞれ十人十色にありますよね。自分もなんだかんだいろいろありつつ生きてきました。自分が歩んできた過去を受け入れて、自分が選んだ選択の、未来の、Results(結果)を信じたい。だから「誰も知らない道なき道に、答えがあることを信じてる」のです。Answerではないのです。Resultsという強い答えが欲しいのです。

その選択した時の覚悟が崩れそうな時、なんで生きてるんだろう?って思うこともあるかもしれない。そんな時に過去を振り返って「あぁ、意外と悪くない歩みだったな」と思えることができたら、それは間違ってなかった!じゃなくて、間違いじゃないような未来にあなたが修正したのです。そしてまた強い答えを求めて探し続けていくのが人生。

...今はもうこういうことはクローズドな場所でしか言えない時代になったので、歌詞にして伝わる人に伝わればの感覚でいます。


■ボーカルについて

この曲、実は当初は戸叶悠莉菜さんにお願いしようと思っていました。前作、前々作と同様、こういうアルバムのリード曲はおまかせしたいと思うほど、悠莉菜さんには絶大な信頼を置いています。

ただ3作連続で同じような人選のアルバムにするのはおもしろ味がないな~と思ったので、他のボーカルを探すことにしました。

いつもリード曲は、アルバム楽曲中でも比較的高いメロディをサビで使っているので、高い音域を歌いこなすとまでいかなくても、ある程度歌唱力のある、かつ高い音を歌った時に感性を揺さぶる声になる、自分の感性にマッチする声(重要)でなければならない。

そんなエゴい基準があるので、なかなか難しいかな~と思っていました。特に最後の感性にマッチする声=自分の曲にマッチする声と考えているので、ボーカル人選はとても重要で慎重になります。

今回Resultsのボーカルを月乃さんにお願いした経緯ですが、2018年くらいですかね?月乃さんの存在自体はツイッターのRTで回ってきたサンドリヨンの歌ってみたで認知していました。

今回ボーカルを探すにあたって、例に漏れずいろいろ聴いて回っていたのですが、たまたま久しぶりに名前が目に止まり、そういえばSakamiyaさんも伊藤さんも月乃さんに歌ってもらってたな…じゃあ自分もデジタルJ-POP歌ってもらいたい!と思ってお願いしました。

ただそれは理由の1つにすぎず、1番の理由はやっぱり声の良さで、あともう1つ、月乃さんの世代です。

自分のやっているデジタルJ-POPはもう20年以上も前の曲調で、使ってる音色は現代verになれど、その本質は全く変わっていません。ただ間違いなくJ-POP、アニソン、エロゲソングに多大な影響をもたらして、脈々と続いてきたものが、同人音楽でまた花開いているのが今。

彼女の正確な年齢は存じ上げませんが、おそらく20代前半またはそれ以下で、直撃世代ではないはず、そんなボーカルに自分の好きだった音楽を今の時代に代弁してほしい、という思いがありました。

本人もデジタルJ-POPが好きと言っていた気もします。それがなにより嬉しい…本来その世代はもうデジタルJ-POPを聴かない&知らない世代なので。

また歌詞はボーカル人選時には既に完成していて、彼女がどうかはわかりませんが、月乃さんの年代は、人生で最も悩みや葛藤を抱える年代だと思うので、その世代が生きてる意味や未来を問う歌詞を歌うことに、大きな意味があると思ったんですよね。

M3当日、直接月乃さんにご挨拶しましたが、大変落ち着きのある方だなぁという印象でした。みんなが天使というのもわからなくもないです(笑)


■さいごに

以上がResultsのライナーノーツでした。もうほぼ楽曲解説と変わりない内容になりましたが、楽しんでいただけましたでしょうか?ちょっとボリューミーすぎて二郎感ありましたよね!自分もそう思います!

ただ普段こんなことを考えて作曲したり作詞してるんだな〜ってことが少しでも伝わっていれば、これ幸いでございます。

次回はWinter Ghostのライナーノーツという名の楽曲解説を書きますので、たぶん来週の…また土曜ですかね、公開したいと思います!

本当に長文になってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。そしてお疲れさまでした!

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