他人に向けられた関心の大きさは、会話力のバロメーターだと知った
先日、会社の女の子たちと新宿で食事会があった。
忘年会シーズンだというのに2日前になってもお店が決まらず、AちゃんからこんなLINEがきた。
「Bちゃんがセリカさんお洒落なお店知ってるって教えてくれたので是非聞きたくて。」
なんて聞き上手なんでしょう。
わたしは職場がある新宿ではあまり飲まないけれど、職場に近いほうが喜んでもらえるような気がしてこちらのオシャレな焼き鳥屋さんを提案した。
以前、彼と二件目にふらりと入ったことがあるお店だ。
その時は串焼きを少しとハイボールを2〜3杯飲んで出たけれど、一軒目が思い出せないぐらいにここの印象が強く残っている。
また来ようと思っていたのに、彼からの断酒宣言で機会を失っていたところだった。
今回集まった4人のうち、2人は初対面。
わたしは31歳、他のみんなは20代半ばである。
わたしが一番乗りでお店に入り、5分ほどしてAちゃんがやってきた。
Aちゃんとは、2ヶ月間だけ本社で同じ業務を担当していた。
向かいに座ると「勝手にセリカさんのことが好きだから嬉しい」と、両手をほっぺに当てて言う。
男の子がいない席でもこんなにあざといセリフを言えるのかと感心しつつ、素直に照れているわたし。
みんな揃ったあと、突然始まった自己紹介は名前と年齢だけというシンプルなものだった。
わたしは、とりあえず名前を言って、年齢は非公開としておいた。
最年長を気にしているわけではないけれど、できるだけフラットに接してもらうには隠すほうがいいと思ったからだ。
短い自己紹介のあと、ひと仕事終えた気分で切り分けられたつくねに手を伸ばした。
他の子たちはおしゃべりしながら冷えたお肉を串から外したり、お料理の写真を撮っている。
この子たちにとって、美味しい食事よりもおしゃべりの方が重要みたいだった。
私が会社に入籍報告をしたことを知っているAちゃんが「入籍おめでとうございます」と言うと、みんなの視線が一瞬でわたしに戻った。
ずっと前から友達だったかのようにみんな祝福してくれて、いろんなことを聞かれた。
出会いのきっかけ、付き合った日、入籍予定日、彼の名前、、、
彼のことはSNSに度々登場させているし、隠す必要もないので赤裸々に話すととても盛り上がってくれた。
学生時代の「恋バナ」のノリで、わたしが話したんだから次はみんなだよ と繋げようとしたら、あんなに盛り上がっていたのに急に黙りこくってしまった。
若者の恋愛離れといわれているのも頷ける状況だった。
10代 20代と、1番盛り上がる話題の種だったのに寂しいな。
とは言え、みんな他人には興味があるのだ。
わたしからすればどうでもいいと感じるようなことを、根掘り葉掘り聞いておしゃべりを楽しんでいた。
それぞれに他人に向けられた関心の矢印が何本もある。
だから会話が途切れないし、初対面同士でもすぐに打ち解けられていた。
一方、わたしの矢印は一本も生まれていなかった。
学生時代から会話力を身に付けたくて、関連する書籍をたくさん読んでいる。
最近はそんなのわかってるよと思うことも多くなり、知識を得ても実践できるかは別問題だということに気付いた。
会話力は知識で補うものではなく、他人に関心があれば自然に上達するのではないだろうか。
「あなたに興味があります」と言葉で伝えなくても伝わる表情や素振り。
友情だって、恋愛と同じだ。
こんなふうに、コミュニケーションの視点が変化した食事会であった。
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