OQTの悪夢と未来 -2-

バレーボール沼には何段階も深く落ちてきたのですが、ズブっと沼に落ちたのがOQTでした。東京オリンピックまでにこのチームがどんな形で出来上がってどんな結果を出すのかを見届けたい気持ちが生まれてきたからなのですけれど、そう思わせてくれたのは石川祐希という選手です。

彼はこんなところでは終わらない。新しい日本男子バレーの世界を見せてくれるはずと信じて疑いませんでした。なぜそう思ったのかは今は自分でもよくわかりません。
結果として、紆余曲折はあったものの私の予感は当たりました。2020年東京オリンピックでキャプテンを務めると聞いた時、タイミング的な驚きはありましたが彼が選ばれる未来はずっとイメージしていた世界でした。

あの東京オリンピックでは石川祐希キャプテンがチームを引っ張ってちょっとでも高みへ連れて行こうと戦い抜いたのではないかと思っています。
その象徴のようなシーンは今でも鮮明に思い出せるイラン戦での5セット目の出だしのサービスエースだったり、劣勢のブラジル戦の中でまだ終わってないとチームに言い聞かせるようなサービスエースだったり。いろんなシーンで石川祐希という存在を強く感じるオリンピックでした。

決勝トーナメントに進むも、ブラジルに敗れベスト8というポジションに止まったことで次のオリンピックではこれ以上の結果を残したいと渇望したのはキャプテンだけではなかったのではないでしょうか?
次の世代を担うだろう西田くんや藍くんも同じ思いで、海を渡って新しいチャレンジをし、新しい武器を手に入れてきたような気がします。

あれから2年。
このチームは一歩一歩、進んできました。
なかなか勝てなかったチームに勝てるようになったり、ガチのフランスと互角の戦いをしたり、今年はブラジルにも勝ち、VNLで銅メダルをとり、アジア選手権を優勝で飾りました。

見るたびに強くなっていくこのチームに大きな夢を期待してしまっています。この数年で世界との距離は明らかに縮まっているのだということを実感できます。
そんなチームが迎えるオリンピック予選。

ここでオリンピックのチケットが手に入れられなかったとしても、チャンスがなくなるわけではないですが、オリンピックでメダルを取ることを考えると、今年のこのタイミングでその出場権をとっておくことには大きな意味があります。

次のVNLやそこまでの道のりをパリオリンピックで勝つためのチームを作る時間として使うことことができるからで、来年のVNLまでその出場可否が分からない場合の過ごし方とはだいぶ変わってくるので、ブラン監督もチームもこのOQTで勝って、決めてしまいたいと思っているのだと思います。

もちろん楽な道のりではないですし、プールの中にはスロベニア、セルビア、アメリカのように強いチームも含まれています。苦戦するタイミングもあるかもしれません。

でも今まで彼らが歩み続けてきた道、残してきた結果、そして今、まさに成長中の選手たちを見ると、ものすごく高い確率で彼らが私をパリに連れてってくれるのではと信じることができます。

今でも思い出したくないような前回のOQT。
まるで悪夢を見続けているような1週間でした。

あの悪夢を上書きしてくれる体験が次のOQTでできることを心から願っています。新しい思い出は切符を手にして、あの時、辛そうな顔をしていた祐希くんがニコニコとチームメートとその瞬間を楽しんでいる顔が見れるのだと本当に思っています。

このチームは夢を見せてくれるチーム。
未来への扉を切り開いて、新しい明るい場所へ連れて行ってくれることを願ってやみません。

もう少し、続く。

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