異世界の戦友たちⅠ

そこには、世界中の仲間がいた。同じ目的のために違う世界からやってきた者たち。

英雄が実在する世界で、深い森で、また別の世界で。
私もその一人だ。ありったけの勇気を握りしめ己を奮い立たせていたら、急に眼がくらむような光に包まれ、ここにいた。一体何事か。
元の世界に戻ることはできるのだろうか。
気付けば、広い部屋に寝ていた。すぐに私に駆け寄ってきた少女が「あなたもですか。私たちも突然ここに飛ばされたのです。理由を教えてください」私も突然飛ばされてきたのだが。原因はわからない。
辺りを見回すと、様々な風貌の人たちがいて、部屋の中心には大きな水晶玉があった。
「なんだろうな、こいつは」特殊な装備を身に着けた男性が大げさに水晶に触れてみると、声が響いた。「ようこそ。唐突な招待で戸惑っているとは思うが、君たちにはこれから、こちらが編成し育て上げた最強の兵士たちと戦ってもらう。そのために異界からの強力な者たちを呼び寄せた。信じがたくはあるだろう。だが規定は単純。全ての敵を、君たちで協力して倒してもらう。君たちには物足りない相手かもしれないが、数で勝負しよう。理不尽で結構。一致団結して、大いに戦場を駆けてくれたまえよ。健闘を祈る」
「え・・・」全員が固まった。私は必死に考え、その概要をみんなに伝えようとする。
「みんな、聞いてください。意味が解らない状況で突然戦えと言われましたが、相手はすでに動き出していることでしょう。まずは辺りを見て回りましょう。話はそれからです。漫画でよくある感じで」
大多数がわかったような、少数がわかっていないような。
「いいですね。刺しましょう」少なくとも隣の少女は賛同してくれた。
最初は、3、4人で一つの塊を作ることにした。動きやすいように。私は少しの間彼らと話し、互いの事を知った。
次に、鍛冶の技術を持つ人がいることも判明し武具の手入れや生産も視野に入れられる。しかも、必須の道具一式も持って。

状況を整理する。現在我々は、使われなくなった軍事基地に固まっている。保存食が残されており、仲間の一人の特殊能力によれば安全な物。
とにかく、食材、居住、環境の土台をしっかりと整えなければならない。
顔も名前も全く知らない新たな仲間たちと、奇妙な世界で生き残らなければいけないらしい。
だが、不思議とこのメンバーならできると感じていた。
さて、どこまでやれるか試してみよう。

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