MAD MAID WARRIORS/装備

ケイリィさんが渡してくれたのは、長い丈の給仕服でした。
「可愛い・・・よくお似合いですこと」
そういえば、気になっていた事がありました。ヴェンティルさんとケイリィさん以外、ほぼ腰に帯剣しているのが見えますが、それはなぜでしょう。
「付いていらっしゃい」
「はい?」
速い足取りに頑張って付いていきます。
「好きな物を取ってくださいませ」
ずらりと並べられた色々な武器。最初に不思議に思ったあの部屋です。
「護身術って言っていましたけど、どうすればいいですか?」背の高いケイリィさんを見上げて聞きます。
「今は気にする必要はありませんわ」
「わかりました」
少し言い方に迷ったように感じましたが、ひとまず気にしない事にしました。

壁に立てかけてある綺麗な銀色の剣を見つけました。
「綺麗・・・素敵です」
好きな物、と言われたのでこれを選びたかったのですが、白銀に輝く刃には名前が掘ってありました。
「あら、気に入りましたの?」
「はい・・・でも名前があって。駄目、ですよね」
仕方ないです。
「いいですわ、持ち主は辞任した際にその剣を望む者に渡すように言われていますから」
大丈夫みたいです。
持ってみるととても重いのです。でも、なぜか懐かしい感じがして冷たい感触が心地いいです。それって変な事かもしれませんが。
剣の上の高い場所にも違う色の似た剣が飾ってあったので取ろうとしたのですが、手が届かないのでケイリィさんに取ってもらう事に。
その時、ケイリィさんの綺麗な腕に深い傷が見えたのですが、なんとなく知るのが怖いような雰囲気があって聞けなかったです。聞かない方がいいかもしれませんけど。
「はい、これでいいですわね?」
「ありがとうございます」

広い廊下を歩くケイリィさんを小走りで追いかけて行きます。「ここが貴女の私室ですわ。お好きに使って頂いて構いませんわ。なにかわからないことがあれば遠慮なく聞いてくださいませ」
扉をくぐると、机と椅子、ベッドと本棚、いくつか蝋燭がある広い部屋でした。
「私が使ってもいいんですか?」
「当然ですわ」
嬉しさが溢れてきていまいますが、落ち着いていなければ。
「立て札に名前を彫ってくださいませね。お忘れ無きよう」
「わかりました」
大きな荷物を置いて、早速ベッドに座ると気持ちいいので横になってしまいます。「慣れない場所で頑張りましたわね」
優しくなでなでしてくれたような。
新しい生活が始まります。楽しみで不安ですが、頑張っていきま・・・

「あら、可愛い寝顔ですわね」

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