ヒーローを目指す道Ⅴ/なりたいもの

僕は小さいころ、漫画の中のヒーローが大好きだった。恐れ知らずの笑顔でみんなを助ける大きな背中のヒーローが。
そんな存在に、なることができる権利をようやく与えられた。でも、与えられただけだ。
あのあと、基礎的なトレーニングとこれからの予定についての説明が、長いようであっという間に過ぎた。
皆が描いていく青春とは違うかもしれない。それでも、これは僕なりの生き方。高校の代わりが、ここなんだ。
でも、今の僕は言っているだけ。何かをやれるほどの力は無い。
そのために、ここでその力を付けるんだ。成績はあまりよくないかもしれないけど、学力の話しはあんまり好きじゃない。
ここにいさせてもらえる以上、全力で頑張らなきゃ・・・!
誰かを助ける力はまだ足りないけど、それは当たり前だって教えてくれた。
僕はまだ、スタートラインに立ち始めたばかり。始まってもいない。いきなりできないことをやれと言われても僕は天才じゃないからできない。
だから、同じ夢を追う者同士気が合った。
小隊の全員とは顔合わせは済んでいて、さっと自己紹介も済ませておいた。
座学の後は待機。と言われているけど、暇。
やることがない・・・。
時間つぶしを考えたら、荷物の整理を始めていた。
本を並べ替えてみたり、リュックの中身を見て忘れたものが無いか3回目の確認をしたり。

何か、誰かに憧れて一歩を踏み出すのはいいと思う。
僕は、自分が変わりたいって思ったところからがスタートラインじゃないかと信じているから。
夢を見ているだけじゃ変わらないけど、何か一つでも行動を起こしてみれば絶対に昨日の自分より成長できる・・・と思う。
と、突然けたたましい警告音が耳を刺した。
「わぁぁぁぁぁ!!!何だぁぁぁぁ!!??!?!」
慌ててドアを開けて廊下に出た。他の人たちもびっくりしている。すると、アナウンスが。
「諸君、緊急出動だ。No.2と書いてある段ボール箱の中の服を着て建物前に集合!プレゼントが入っているぞ。でも、頑張って早く来いよ。それじゃ、駆け足!」


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