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荘厳な南極のドラマ     11月の南極に陽は沈まない

南米の最南端の街 ウシュアイアから
タイタニックのような大型客船で南極を目指す

ディナーを終えて部屋でくつろいでいると
船長からのアナウンスが流れる

「間も無く夕暮れの時間です。
デッキからは美しい光景がご覧いただけるでしょう♪」

時計の針は既に22時を回っている
外はまだ明るい

デッキには厚手のダウンを羽織り
カメラ片手のギャラリー達がその時をじっと待っている

私も五感が研ぎ澄まされていくのを感じながら
どんなパノラマが訪れるのかを静かに見守る

怖いほどの静寂…

視界を遮るものも、そして音さえない世界
誰も一言も発することはなかった

大自然のパノラマの中
ぽつんと佇んでいる私たちは全くの無力だ

やがて翳りゆく太陽のオレンジを氷たちが照り返し
昼のブルーの世界から
オレンジへと大海原を染めていく

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南極 11月の夕景
photo by Guido

そしてその時が訪れた

水平線に沈みかけた太陽は
蓄えた光を放ちながら静かに…
再び威風堂々と昇り始めた
辺り一面を黄金に照らしながら

11月 南極 23時
photo by Guido

もはや思考はどこかへ姿を消して
圧倒的な光景に畏敬の念すら覚える

無力なまま
私達は地球の荘厳なドラマの
ただただ傍観者となっていた

人間なんて
なんてちっぽけな存在かと思い知る

南極 23時 
11月の南極に陽は沈まない

極地でも温暖化の影響が懸念されているが
この南極の海と空を
この地球の軌跡を
一体誰が侵せるというのだろう…?

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