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女は過去を上書き保存するというけれど実は

女は過去を上書き保存するというけれど、
もはや上書き保存もしていないのでは?と思う。

過去の男性、付き合った人、好きになった人、遊んだ人、
どれも今の私の糧になっていると思うんだ。
だからね、彼らは上書き保存されたんじゃなくて、
私というストーリーの言葉の一部になっているんだ。

〇〇さんという名前で私のストーリーにいるのではなく
抽象的な私にしかわからない言葉で書かれている。

例えば、ハタチの頃、上京して寂しかった私がすがった男は
「初めて東京の雪を一緒に見た人」。ベッドで目覚めたら外は雪景色だったが、東京の雪はどこか窮屈でグレーだった。そんな話を早朝からし
あぁ私は今東京にいるんだなと改めて気がついた。
そんな瞬間を一緒に過ごした男。

23歳の頃、付き合っていた人は事あるごとに私に花を買って来てくれた。
大きな花束ではなく一輪挿しにさせるような小さなブーケ。
誕生日には季節外れなのにチョコレートのいい香りがするチョコレートコスモスを青山にあるフラワーショップまで買いに行ってくれたのだ。
私の学生から社会人にかけて大人になる時に花を添えてくれた男。

彼らは思い出として箱にしまって押し入れの奥にしまうのではなく、
いつまでも私の脳裏にいて、
東京のグレーな雪を見れば、
チョコレートコスモスを見れば、
蘇る懐かしい記憶なのだ。


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