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映画、という旅の途中で

棄てられたアナログの山を見て

2ヶ月前に引っ越しをして以来、よく大型のリサイクルショップを訪ねて回っている。手狭だった以前の部屋よりちとばかりスペースが広くなると、新品ではなくても形ばかりの家具や家電が欲しいかな、と車であちこちを回ってはチマチマと揃えてきたのだが、つい目が行くのは映画のソフトやレコード、CDの山で(笑)、
これ以上は増やしたくない!
と、思いつつも、何か掘り出し物はないかな、と棚を眺めて見る。

それにしても、時代の変化は早い。
私がまだ少年の頃、家にビデオデッキがあるなんてのはまさに夢の様な話だったのに、今やビデオテープは廃れ、レーザーディスクなんて束の間の贅沢、DVDがメジャーになったかと思いきや、ブルーレイへ、今やそんな物は不要とばかりに配信やサブスクが主流、だという時代。レーザーディスクで定価で買ったディズニー「ファンタジア」が今や、DAISOで100円だものなあ(泣)

そんな映画やレコード、CDの山がそんなリサイクルショップの片隅に眠っているのを見て、切ない想いにかられるのは私だけ、だろうか?
それをお宝の山、と見るか、時代に棄てられた山と見るか。
レコードは最近、小さなブームも起きてお宝の様だけど、DVDやビデオテープに関してはもうゴミにしか見えない程の扱われ様。中には価値のあるソフトもあるんだろうけど、あくまでもそれはマニア向け。テレビで映画も流れない今、録画用のデッキも不要なのかもしれない。

そんな時、越してきた隣町にあるTSUTAYAが閉店、のニュースが。一度は行かなくちゃ、と思っていたのに8月には失くなる、なんて。
「トップガン」の新作やマーベルもの、特撮やアニメなどで映画館は一見盛況の様に見えるが、足元では映画館に足を運べない人たちのオアシスだったレンタルビデオ店が消えていく。名画座が消えたのと同様、映画という媒体は、既にフィルムからデジタルへ、そして大型映画館からスマートフォンへ、こぼれ落ちた中身はリサイクルショップの片隅か、ゴミへと消える運命なのか。

そんな映画の山の中に、ジョン・ウェインの「駅馬車」があった時、脳裏に今は亡き淀川長治先生の名台詞が浮かんだ。
『また会いましょうね、サイナラ、サイナラ、サイナラ』

その映画は誰かの家で再生される事はあるのだろうか?

今回の映画。
「ファンタジア」
「駅馬車」

追記
今朝、スマホで大友柳太朗版「丹下左膳」を見た。画面は小さくとも、その迫力はまさにあの時代の東映時代劇、こんな映画を知らぬまま、人生を終える世代が嘆かわしい(笑)
映画はあっちからやってくるわけではない、旅もまた自分が動かない限り、楽しみは掴めない。
山に埋もらせているうちは人生も豊かにはならない、まさに映画は旅そのもの、だ。



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