シリコンバレー バンク(SVB)その後

シリコンバレー バンク(SVB)経営破綻騒ぎからおよそ5ヶ月経った。その後、シリコンバレーでは生成AIブームが盛り上がり、この騒ぎがえらく遠い昔に感じられる。

シリコンバレーのスタートアップ業界との強固なコネクションと、テクノロジーに対する深い知見。それがSVBの最大の特長だったと言える。

SVBのリサーチャーがテクノロジーの最新動向についてウェビナーをよく開催していて、最近だとクライメートテックに関するものは私もよく参考にしていた。SVBと実際に取引をしていたスタートアップファウンダー曰く、SVB行員はいい意味で銀行員ぽくなく、スタートアップ業界の慣習を熟知、プロセスもスピーディーだったとのこと。

スタートアップ業界との強固なコネクションがあるというのは、例えばこういうフローが出来上がっていた。現地VCがアーリーステージのスタートアップに投資する → そのスタートアップがのちにSVBに融資を依頼しに来る → SVBがそのVCに、そのスタートアップの信頼性・将来性について確認をとる(もっとも既に付き合いのあるVCが出資しているという時点で、既に信頼性は担保されたと言え、融資が焦げ付く可能性は下がるので、融資プロセスのスピードは他銀行より速かった。そのあたりがシリコンバレー インナーサークルの強み)→ SVBがそのスタートアップに融資する、といった流れである。実際スタートアップへの融資で焦げ付いたケースは非常に少なかったと聞く。

すったもんだの末、SVBの主要事業は地方銀行のファースト・シチズンズ・バンクが引き継いだのだが、最近は、優秀なリサーチャー・行員が他行に引き抜かれることも増えたと聞く。破綻騒ぎの時は経営やオペレーションのずさんさが露呈されたSVBだったが、経営母体が変わった今、スピードが命のスタートアップに寄り添う銀行というカルチャーを改めて育て直していってほしいと思う。

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