見出し画像

ネコ取り

昭和の時代、表題の職業が存在したことを自ら隊当時聞いたことを思い出しました。

犬取りというのは、子どもの頃、見たことがありますがネコ取りは見たことも聞いたこともありませんでした。

自ら隊の別班の同僚に聞いた話。

語った同僚は同期でもあり、ホラを吹くような性格ではありませんとお断りしておきます。

ある町の田畑が広がる郊外、夜間街灯もないくらいエリアでその時はもやもかかって何か気味悪い感じがしていたようです。

深夜警ら中、白い商業用バン1台が付近の市道を行ったり来たりと徘徊するのを確認、同僚二人、不審に思い、同車両を追尾。

停車を求めたところ、素直に停車。

職務質問をしようと運転席窓ガラスを開けさせたら、車内からニャーニャーと猫の鳴き声、不審なと思いながら、免許証をと告げ、運転手の顔を見たら、「ネコだ。」と思う位猫の顔に似た男の顔。

同僚二人ビクッとして、「出たな、妖怪変化」と怯みながらもすぐに気を取り直して、車両にライトを照らして車両後部荷台を見たところ、荷台にはネコ一匹を入れる金網かごが多数積まれ、中に数匹の猫が入れられた状態だったとのこと。

男の申し立て状況、県外から来た猫を捕獲する業者でこのあたりで猫をさがしていた。

猫を捕獲してどうするのかと聞いたところ、皮革は三味線を作るのに必要だそうです。

一枚革に鞣すのでしょう。
聞けば、野良猫を捕まえるのかと思いきや野良は野生に近いため、身体中に傷が多く、一枚革にしても金にならないそうです。

良いのはかわいがられた飼い猫で皮革にしても傷一つなく高く売れるそうです。

肉や骨は本当かどうかわかりませんがラーメンの出汁用に使うらしく、豚骨より旨いそうです。
いかにして猫をおびき寄せ捕獲するのかは企業秘密で言えないとのことでした。

当時でも何らかの犯罪を構成しそうな怪しい職業ですが、同僚二人、気味が悪くその場から離脱すべく、早めに職務質問を打ち切ったそうです。

車両が立ち去った後も当分の間、現実じゃなく物の怪に誑かされたのではないかと悩んだようです。

実際、化け猫の類か狐狸にでも騙されたのかもしれません。

嘘のような本当の話。

有り得ないと思われる職業ではありますがあっても不思議ではない昭和の時代の話でした。

現在では動物愛護の観点から業者の存在自体が許されないでしょうし、動物虐待も違法となります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?