インターネット広告業界の健全な発展への取り組みとセプテーニグループ 【前編】
こんにちは。セプテーニグループnote編集部です。
インターネット広告業界の健全な発展。グループのCSR活動でこのテーマに取り組みはじめて、4年が経過しました。不正請求問題、メディアによる特集「ネット広告の闇」で取り上げられたアドフラウドやフェイク広告、ブランドセーフティ。この4年の間で起きたこと、なされた問題提起は数多く、業界に身を置く一当事者として、課題解決にむけた取り組みが求められています。
そこで今回は、セプテーニグループとしてどのような形で業界の健全化に向けて取り組んできたのか、そしてどのような変化があったのか、デジタルマーケティングを担当するみなさんにお集まりいただき、お話をお伺いしました。
本間さん (写真:左)
2007年セプテーニに新卒入社。長年運用型広告に携わり、現在はコンサルタント組織とメディア対応の責任者を務める。社内アワードであるセブンスター賞にてマネージャー賞を受賞。CSR委員会/インターネット広告業界の健全な発展分科会の責任者。
高野さん (写真:左から二番目)
2006年にセプテーニに新卒入社。入社1年目にジョイントベンチャーの立ち上げに参画、その後取締役として同社の成長に貢献、2013年よりセプテーニ・クロスゲート代表取締役。2018年1月よりグループ執行役員に就任。
甲斐さん (右から二番目)
2011年にセプテーニに新卒入社。様々な業種のクライアントを営業として担当。社内アワードであるセブンスター賞にてプレイヤー賞、プロジェクト賞を受賞。CSR委員会/インターネット広告業界の健全な発展分科会メンバー。
山崎さん (写真:右)
2011年セプテーニに新卒入社。入社以来営業として様々なクライアントを担当し、近年は大手広告主向け組織の責任者を務める。社内アワードであるセブンスター賞にて、プレイヤー賞、マネージャー賞を複数回受賞。
─ インターネット広告業界の健全な発展について、まずはこれまでにセプテーニグループでどのような取り組みを行ってきたのか教えてください。
本間さん:
最初に取り組んだのは、業界の発展のために自分たちが大切にしてきたことは何で、これからも大切にしていくべきことは何なのかをポリシーとして明文化したことです。「セプテーニグループ 3つの約束」として、社内外に公開しています。
─ 明文化したことで、何か変化はありましたか?
本間さん:
このポリシーが示されたから何かが変わった、ということはないです。もともとグループの中では「損得より善悪」の考え方は大切にされていましたし。毎年、デジタルマーケティングに関わるグループメンバーたちに対して、この考え方をどれくらい意識しながら日々仕事をしているかを問うフィッティングアンケートを実施していますが、その回答を見ていても、ポリシー策定時から直近まで、高いレベルで意識をしてくれているのがわかります。
─ 本間さんご自身は、何か変化はありましたか?
本間さん:
僕個人としては、明文化して社内外へ広報する流れの中で、「インターネット広告業界の健全な発展」に取り組む意義を、より強く感じるようになりました。
─ 何かきっかけがあったのですか?
社内には多くの案件が同時に走っていて、それを対応するメンバーも数百名いるので、中には「これはどうなんだろう?」と不安になる事象は、過去には正直あったんですよね。明らかに良くないことというわけではないけれど、ちょっとスッキリしないみたいな。クリエイティブ表現、クライアントへの報告方法など、ジャンルも様々でした。ポリシーの広報前に担当役員だった武藤さんや部門責任者で集まって、そういった個別の事例の是非や考え方をすり合わせる会議をしたんです。「その方法は今後は無しにしよう」「それはクライアントに説明できるなら問題ない」、そんな議論を繰り返して、社内がいっそう健全化の方向に進むのを目の当たりにして、自分の中に少しあった後ろめたさのようなものが完全にクリアになっていくのに感動して。ちょっと大げさですけど、インターネット広告業界の健全な発展のための活動、僕はライフワークだと思ってコミットしています。
─ ライフワーク!そういえば外部の業界団体にも委員として参加されていますね。
本間さん:
JIAA(※)にはデジタルプラットフォーム委員会の委員として、JAAA(※)にはインターネット委員会の委員として活動に参加しています。また現在設立に向けて準備が進んでいるJICDAQ(※)にも、それぞれの委員の立場から積極的に関わっていきたいと考えています。
(※)
JIAA・・・一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会。インターネット広告ビジネスにかかわる企業が集まり、インターネット広告の健全な発展と社会的信頼の向上に取り組んでいる。
JAAA・・・一般社団法人 日本広告業協会。広告を通じて企業とメディアと生活者を結び、人々の生活を楽しく豊かにすることを目指している。
JICDAQ・・・Japan Joint Industry Committee for Digtal Advertisement Quality & Qualify。企業や広告プロダクトの監査や認証を担うアドベリフィケーション組織。米、英での業界の各プレイヤーが連携した活動に続き、日本でも世界基準の仕組みと環境を整備していく。
甲斐さん:
僕の個人的な話をすると、業界の健全さについて重要性が腹落ちしたのは、ブランドを非常に大事にするお客様を担当する代理店さんと協業した時でした。そのお客様の、ユーザーへの真摯な向き合い方、プロモーションの前部分の工程を綿密に設計されている代理店さんの姿を間近で見たことが、「デジタルマーケティングの分野でお客様のブランドを守り、ユーザーに良い印象を持ってもらうためにできることはなんだろう?」そう深く考える契機になりました。もちろんそれまでもアドフラウドの危険性やブランドセーフティの重要性については理解していたつもりですが、より自分ごととして課題認識するようになりましたね。
山崎さん:
確かに僕も、クライアントとの関わりの中で健全さについての意識が高まっていったように思います。以前、特定の領域のみを任されご予算をお預かりしていた頃は、正直なところ「いかに求められているターゲットを達成するか」が大きな注力ポイントだったんですよね。でもクライアント側のチームの一員として全体戦略に関わらせていただくようになってからは、もちろんターゲットである成果の獲得効率も大切だけど、それ以外にもっと意識しなければいけないものがあると、より強く考えるようになりました。「ここに掲載されるのは良いことなのか」「この表現はユーザーにとってメリットになるのか」等、同じ目線で議論してくださったクライアントには本当に感謝ですね。
─ クライアントからセプテーニに対して求められていることも変化しているのでしょうね。
山崎さん:
知識や運用力、オペレーションの緻密さや制作力などのテクニカルな部分はもちろんですが、ブランド系のクライアントとお付き合いする上では、ブランドの理解が必須ですね。真摯にクライアントと向き合って、いかに同じ目線でブランドのことを考えられるか。
高野さん:
僕はアフィリエイトASPの立場ですので、これまでの話とは少し異なるのですが。セプテーニ・クロスゲートはインターネット広告業界の健全な発展の取り組みがスタートする前から「クリーンアフィリエイト」を掲げて事業を展開しています。アフィリエイト業界の中では、かなり厳しいルールで運用をしているASPなんです。掲載先であるメディアさんにとっては、「この程度であれば見逃してほしい」「そんな申し出をするASPは御社だけです」ということも多いようで、お叱りをいただくこともあります。でも業界のことを長期目線で考えている方々からは、当社の姿勢を支持するよ、と激励いただくこともあって。
─ 嬉しいですね!
高野さん:
もちろん「クリーンアフィリエイト」を貫くことで、当社提示の条件が劣っていても競合さんに勝てる、という話ではないんです。ただ「複数社が同じ条件で競っていたら、クロスゲートを選ぶ。クリーンさは、その最後のひと押しになっているよ」と言って応援してくださる方がいるのが心強いですね。アフィリエイト業界もどんどん健全化の方向に舵が切られているので、追い風も感じます。何より当社の社員は非常に真面目で、今の方針に誇りをもって運営してくれているので、少しルールを緩めてはどうだろうかと僕が相談しても、ものすごい勢いで却下されますね。
─ そうなんですか!
高野さん:
文化なんでしょうね。さきほどポリシーの話がありましたけど、セプテーニグループにとってあのポリシーは「これがあるからグレーなことをやりたくてもできない」というものではなく、「社員の価値観を言語化したもの」ということなんだと思います。
─ なるほど。インターネット広告業界の健全な発展の取り組みが始まり、ポリシーができたことでグループの何かが大きく変わった、というより、ポリシーという形で私たちの考え方が明文化されたことによってプラスαの価値が出た、と考えるほうが良さそうですね。
高野さん:
そうですね。例えば新たに入社したメンバーにはグループのスタンスとして提示できますし、それはクライアントやパートナー企業に対しても同様です。また、社内で何か議論になったとき、判断する際の共通言語になることもあります。最後のひと押しというか。
本間さん:
明文化されたことで、ポリシーに沿わない行動がこれまで以上に目について、問題提起されやすくなりましたよね。それから僕の立場としては、グループとしてインターネット広告業界の健全な発展に取り組んでいるということ自体が、後押しになることがありました。たとえばアドベリフィケーションツール導入を検討するにしても、必要性について周囲の理解が早かったように思います。代表の佐藤さんがこの活動をサポートしてくれているのも大きいですね。ところでさきほど社員が真面目、という話が出ましたけど、社外から何か言われることってありますか?
高野さん:
クライアント側の担当者でもあるグループのアルムナイ(※)からは「いろいろな会社さんとお付き合いして改めて思いますけど、セプテーニって真面目ですね」と言われましたね。「ギリギリアウトな抜け道のような施策ほど広告効果が高くなりやすいんですけど、そういう内容はまったくといっていいほど提案してきませんよね」と。
(※)会社を退職したOB/OG。セプテーニグループでは「セプテーニグループ・アルムナイネットワーク」を構築し、キャリア開発サービスを提供するほか、ビジネス面におけるパートナーシップも築いています。
山崎さん:
僕たちもクライアントから似たようなコメントをいただくことがあります。ありがたいですね。でも「真面目」の中には、反省すべき要素も含まれているんじゃないかと個人的には考えていて。ポリシーの3つ目に「可能性への挑戦」がありますけど、ある程度遊びの部分を持たないと、チャレンジングなことってできないと思うんです。もちろん法令やルールはしっかり遵守しつつも、クライアントと一緒に、もっと意識的に新しい試みに挑戦していきたいですね。
後編へつづく
※本インタビューは、セプテーニグループが在宅勤務に移行する前に行ったものです。
#CSR #インターネット広告業界の健全な発展 #デジタルマーケティング