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イギリスでInnovator Visaを取得する方法

誰か1人くらいの役には立つ気がするので書いてみる。忘れないうちにここまでに得た知見をまとめておこうと思う。

Visa取得までの流れ

大きな流れは以下のようになる。最も肝になるのはEndorsementを受けることで、これがないと申請ができない。そしてEndorsementを受けるためにはBusiness Planの作成が肝。

1.起業ネタを思いつき、申請を決意する
2.資本金(最低£50,000を用意する)
3.Endorsement bodyに申し込む
4.Business Plan(事業計画)を作る
5.Endorsementを受ける(Endorsement Letterを受け取る)
6.Visaを申請する(UKVCASに行くアポを取る)
7.UKVCASに行き、写真や指紋を取ってもらう
自分の場合は色々勉強などで忙しかったこともあり4ヶ月ほどかかったが、時間がかかるのは3で、ここに3.5ヶ月ほどかかった。全集中して3が1週間で終えられる人なら1ヶ月で完了するかもしれないが、何が起こるかわからない(後述)し、Visaに関する要件などは頻繁に変わるので余裕は見ておいた方が良い。また、実際にVisaを取得するまでにはここから状況によるが1-2ヶ月ほどかかる。

各プロセスの詳細は以下。

地味ではあるが2は忘れてはいけない。6で申請するタイミングで、資本金を3ヶ月以上銀行口座に保有していることをBank Statementで証明しなければならないため、申請の3ヶ月前には準備しておく必要がある。

3では、自分の起業ネタに基づいて、Endorsement Body(Endorsement Letterを発行してくれる組織)を選ぶ。リストはここ。
https://www.gov.uk/government/publications/endorsing-bodies-innovator/innovator-endorsing-bodies
決めたら着手金を支払う。料金はEndorsement Bodyによって異なるが、合計で£15,000くらい、着手金で£7,000くらいだと思われる。

4で、事業計画を作るが、ここは粛々と作る。これもEndorsement Bodyにも寄るが、途中でアドバイスをしてくれるところもある。そのフィーは料金に含まれている。

事業計画が完成したらEndorsement Bodyに提出し、5でEndorsementを受けることになる。ただし、当然出せば良いというものではなく審査が行われる。審査は書類(事業計画)と面接。面接は30分ほど(予定では1時間)。穴があった場合、事業計画の修正が求められたり、追加の情報を別途提出する必要が出てくる。私が依頼したEndorsement Bodyは、面接の結果は1日で出してくれた。

無事Endorsementが受けられたら6の申請手続きに移る。6は、書類の準備→オンラインでの申請・費用の支払い・UKVCASのアポイント予約、という流れ。知人のアドバイスを受け、ここは弁護士(Solicitor)に依頼した。費用はお友達価格で格安にしてもらったが£1000以上はかかった。自分で申請することもできるが、最新のルールやガイドラインに対応するには、お願いしておいた方が安心。また、こちらで用意しないといけないもの以外、入力やアポの予約もやってくれるので助かる。2021年2月時点では、28営業日後のアポ(しかも郊外で車で1時間以上かかるところ)しか取れなかった。

7については、コロナの影響かアポの数を制限しており、当日の待ち時間はほぼなし。家族ごとに呼ばれて写真や指紋を取ってもらう。弁護士に書いてもらったレターも含め、申請書類を一通り印刷して持っていったが、何も提出しないし、コピーも取らなかった。作業もスムーズで30分もかからず終了。シンガポールからイギリスに来る際はコロナがなかったこともあり、当日子連れで2時間くらい待たされかなり辛かった。しかもシステムが正常に作動しておらずアポすら取れず当日のWalk inしかなかった。

Endorsementを受けられる事業計画を作るには

フォーマットはないので、普通にExecutive Summary、市場、競合、サービス、Financial forecast、などの章立てで作れば良い。ただ、このEndorsementを受けるための事業計画として、Innovativeness、Viability、Scalabilityについてしっかり書く必要がある。使うのはパワポではなくワード。ボリュームには意味はないと思うが、表紙を含めて30ページになったので参考にしてもらいたい。

Innovativenessについては、その度合いが難しいところではある。流石にイギリス政府もそれは認識しており、新しい市場を作るような完全に新規のビジネスアイディアは要求されない(もちろんそのレベルのアイディアであればそれに越したことはない)。ただ、既に市場があり、差別化する、という程度ではInnovativeとは判断されない。何らか他社が使っていない新たな技術を使って、他にないサービスを提供する事業計画になっていることが求められる。

Viabilityについては、法律や技術、自分の経験などから記載すればOK。

Scalabilityも普通に書けば良い。ただ、これを書かないといけないため、個人で新たなコンサルをやる、というような事業ではScalabilityがあるとは判断されない。顧客数は毎年倍以上、数年で£1mil以上の売上になることが求められるので、そのようなビジネスを選ぶ必要がある。

面談は、作った事業計画を元に行われる。質問は、
・事業の概要
・どこに新規性があるか
・競合とどう戦うか
・マーケティングをどのように行うか
など、事業計画を見てもらえばわかるようなものなので、内容を頭に入れて簡潔に回答すれば良さそう。誰かから入れ知恵されてやっていないかを判別しているのではないかと思う。

1回目の面接の感触は悪くなかったが、結果はダメで、上に書いたInnovativenessで引っかかった。その後1週間で友達やらEndorsement Bodyと議論して事業計画を修正して、翌週提出&再度面接。2回目は修正点にフォーカスしたので20分ほどで終わり、結果もその日のうちにもらえた。こういうケースもあるので、やはり時間には余裕を持ちたい。

手続き上気をつけるべき点

書類としては、Endorsement Letterに加えて、パスポートのコピーや住所の証明、UKに滞在している人であればBRPカードのコピーが必要になる。今回ヒヤッとさせられたのは、英語の結婚証明書と子供の出生証明書。事前に知らなかったので用意していなかったが、以前何かの手続きで取得したものが残っており、助かった。必要な書類も数ヶ月単位で変わるようなので、余裕を持った手続きをしたい。

英語力の証明は必要なものリストに入っているので忘れる人はいないと思うが、イギリスの大学や大学院を出ていない場合、IELTSなどで証明する必要がある。IELTSを受ける場合に注意したいのは、UKVI用のものでないといけないという点。大学院出願時にIELTSは受けていたが、UKVI用ではなかっため使えず、再受験しなければならなかった。通常のIELTSと内容は全く同じだが、セキュリティレベルが異なり、試験会場で指紋を取ったり写真を撮るところが違うらしい。ただ、シンガポールで通常のIELTSを受けたのと同じだったのでいまいち違いはよくわからなかったし、料金も大差ないのでUKVI用で受けていなかったことが非常に悔やまれた。

2021年2月時点では、coronaの影響からかアポがかなり取りにく、1ヶ月後に車で1時間くらい走らないといけない郊外のセンターの予約がようやく取れた、というレベル。28営業日後までの予約が取れるようになっているが、その日のうちにロンドン市内、近郊からBirminghamまでの予約がなくなる。翌日になると、新たに28日後の予約が取れるようになるが、朝10時くらいのタイミングでは、私が予約できたところ以外、28日後全てのセンターの全ての時間帯の予約が埋まっていた。事業を始めるタイミングや、Visa取得のタイミングが重要な人はこの点にも要注意。

申請のルールは本当によく(数ヶ月単位)変わる。今持っているVisaはTier 4の学生Visaだが、2020年11月時点ではイギリス国内からInnovator Visaへの切り替えができず、帰国しなければならなかった。しかし2020年1月時点にはイギリス国内から切り替えの申請が可能になっていた。今はCoronaの状況が刻々と変わるので、その影響が特に大きそう。

申請に関する費用

かなりかかった。リストアップ(したくなかったが)するとこうなる。
・資本金:最低£50,000
・自分と家族(妻1人子供2人)を養うお金がありますよ、と示すために銀行に置いておくお金:約£2,000
・Endorosement Bodyへの申請費用:$15,000
・Visa申請の弁護士費用:£1,000以上
・家族4人分のVisa申請費用:約£7,200
・家族4人分3年分のNHS費用:約£6,600

用意しなければならないお金は£80,000以上にななる。資本金は事業が上手く行けば戻ってくるし、自分と家族のためのお金は用意するだけで支出にはならないので、実際の支出としては、£30,000ほど。でかい…。

因みにNHSへの支払いにより、病院での診察料や手術代になるので、日本で健康保険に入ることを考えれば格安だと思われる。処方された薬もタダにはならないが、1000円くらいにはなる。

あとは無事Visaがもらえることを祈るだけ。今日は雪が降るほど寒いのでHaidilaoの火鍋をデリバリーしたい。

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