本を読んでいたら2

本を読むときに何を聴けばより集中出来るのか、これがなかなか難しく答えが出ない。

割と音楽が好きな自分は、本を読むときにまずこれにぶち当たり、スムーズに読書に取りかかれない。もちろんいろいろ試した。
ロックやポップスといった、自分が好きなジャンルの音楽を聴こうものなら、すぐに耳に集中力を取られてしまう。昔、村上春樹の「海辺のカフカ」を読んだ際に、その中でレディオヘッドの「キッドA」が出てきたものだから、なんとなく読書といえば「キッドA」を聴くようにしていた時期があったが、口ずさんでしまうし、「キッドA」のイントロの秀逸さで高揚して聴き入ってしまうし…どれだけ落ち着いた曲調でもロックに読書は勝てない。
クラシック、ジャズのような比較的あまり興味がないジャンルの音楽は心も落ち着き邪魔はされない。しかし、気持ちが乗らず何故かはかどらない。
邪魔しない、なおかつ気持ちも乗せてくれる曲が、自分においてはまさに読書に最適な音楽。いろいろ試した結果、答えが出た。はっきり言って意外だったが
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
という結果になった。
まあ何回も聴いてるということもあるが、ハードな縦ノリ系、実は邪魔しない。そして気持ちはもちろん乗せてくれる。
そんな発見をし、今回読んだ本は

「読みたいことを、書けばいい」
田中泰延/ダイヤモンド社

著者のことは全然知らないが、帯を見る限り16万部も売れている。本屋さんで立ち読みした末に購入したが、とにかくあまり大人が読む本では見たことないぐらいに字が大きく、行の感覚が広い。恥ずかしながら正直そこに惹かれてしまい購入した。
しかし読み進めていくと、
急にちょっと違ったテイストの細かい字の部分が出てくるわ、
すんごいたくさんのQRコードが本文内に貼られているわ、
で、これ結局なかなかの分量になるじゃないか…やられた。騙された。そしてまたこの細かい字の部分がより為になっておもしろいし、QRコードを開くとそこの文章もおもしろくて読んでしまう。
16万部を購入した何人かは自分と同じように「やられた」と思った人もいるに違いないと思う。いなかったら、それはもう本当に恥ずかしいことだが。
しかし良いプロモーション方法だと思った。書籍の作り方として成功している。著者の方がそこまで考えたのかはわからないが、元電通社員みたいだ。悔しいとしか言いようがない。

まずタイトルにもあるが、
「読みたいことを、書けばいい」
ということを大前提に、著者田中さんの経験からくる文章術について論じられている内容。
この「読みたいことを、書けばいい」というのは、自分が読みたいことを自分のために書けばいい、ということだ。確かに大人にもなって、仕事関係なく文章を書く、という行為をする人間は、まあ一概には言えないが、きっと野心がある。そういう方はおそらく、文章を書くためにいろいろなことを考えないといけなくてすごく苦悩しているだろうから、この考え方を知ることで文章に対しての向き合いを変えることが出来て、気持ちが軽くなるのではないかと思う。自分も大人になって仕事でもないのに文章を書いているので、野心があるということになるが、それは違う。自分は先日読んだ樺沢紫苑「読書脳」によって取り入れた、内容を忘れないためのアウトプットをしているのだ。まさに自分のために書いている。

文章の定義について特に考えたことはなかったが、ある程度明確な定義を知ることで文章は作りやすくなる。
世の中に溢れる文章のほとんどのが【随筆】と呼ばれるジャンルで、この【随筆】について著者田中さんの定義が
「事象と心象が交わるところに生まれる文章」
ということで、非常にしっくりくる。この1行だけでもある程度文章の書き方が理解できる、すばらしくわかりやすい定義だと思った。文章を書く上で定義をしっかり持つことの重要さを感じた。

文章を書く人は「調べる」が9割9分とのこと。確かに自分の心象を書くには、それ相応の事象が必要。しかし9割9分もなのかと驚いた。文体が割と自由な著者からそういう内容が出てきたことが意外だったが、確かに読み返すとそれぞれの話題の節々に事象部分が入れられている。またその「調べる」対象についてもなんでもいいわけではない。ネット情報や後発の書籍などではなく、その情報の出所でもある【第一資料】を使用することも重要。第一資料は大きい図書館などで借りられるらしい。もし何か依頼されるようなことがあるかしれないから念頭に置いておきたい。

自分は文章を書いているが、特に野心はなく自分のために書いているだけだが、この本の内容がまさに

それでいいんだよ
自分が読みたいことを自分のために書けばいい

という内容で、また著者もそのスタンスで書いていたら脱サラして物書きになったぐらいの話だったので、どちらかというと逆に野心が湧いてきてしまった。文章書くことに対して野心なんかなかったのに…

そして僕はずっとレイジを聴いている。レイジは文章書く方もいける。

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