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【全曲紹介と回想文】aiko「桜の木の下」

2ndアルバム「桜の木の下」
大ヒットを記録したアルバム。発売は2000年の春です。高一の時の文化祭で、僕のクラスは喫茶店みたいのを出してました。店内BGMとして小さなラジカセで一日中かかっていたのが、発売されて間もない「桜の木の下」のCD。女子の誰かが持ってきたのです。リピートするたびに流れてきた「愛の病」のイントロを聴くと、女子とチャラチャラ校内を回ることもなく真面目に店番した日を思いだします。その頃、僕はまだaikoをあまり聴いていませんでしたが、今はCDを持ってきた女子よりも聴いているはず。

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1.愛の病
ドラマチックなイントロから、ブレスとともに低く歌い始めるのが大変格好良い。ライブでは「まとめ」のバージョンのように速いテンポで演奏されるので、それに慣れると「桜の木の下」のテイクはゆったりして聴こえます。共感を得られなさそうな例えですが、繰り返し出てくるオルガンの「て~れ~~」というフレーズに、おばけが出るようなイメージがあります。人を好きになることの不安と切なさ。これぞaikoな一品。
収録ベストアルバム:「まとめⅡ」(※新録)

2.花火
令和初の紅白でも歌われた3rdシングル。クロマキー合成する前みたいな部屋でaikoが歌うPVが大変有名。有名すぎてaikoのイメージ=オカッパ+オーバーオールと化していた時期も。
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.1)」

3.桜の時
カルピスウォーターな5thシングル。父親と電器屋さんにテレビデオを買いにいった時、スカパーの映像が映ってて「桜の時」のPVが流れてたのを覚えています。テレビデオって。
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.2)」

4.お薬
ただそれーだけ、ただそれーだけ。楽しいイベントが始まりそうなイントロですが、別れた人の家に忘れ物を取りに行く、という決して楽しくはない状況。恋愛と別れを経験した人には「後ろめたい事」が一つくらい思い当たるものなのかもしれない。aikoの曲としては珍しくアウトロがゆっくりフェイドアウトして、やがて次の「二人の形」がフェイドインしてきます。こういう演出はアルバムという形式ならでは。

5.二人の形
にぎやかな「お薬」がフェイドアウトしたのちに、やがて暗闇からぼんやり浮かびあがるようにドラムとピアノの音が聴こえ、息を呑むバラードが始まります。「あなたにはあたししかいないなんてそんなことは到底言えないけれど」まで聴いて、控えめな子なのね、と油断していると「今のあたしにはあなたしかいらない」と直球が飛んでくる。受け止めてやんなよ男子。歌詞カードの「二人の形」のページの左側に載っている、壁際で眠るaikoの写真。人形みたい。

6.桃色
緊張感のあるなんだかホラーな雰囲気で始まりますが、歌いだすと途端に可愛くなる。大好きな曲です。アンケートで好きな曲を書く時は必ず「桃色」と書きます。高校の時、クラスの友達とカラオケに行く機会があり、好きな子に「桃色」を歌ってほしかった僕はこっそり選曲したものの、言えるはずもなく自分で歌いました。全然うまく歌えずにいたら、途中からその子が一緒に歌ってくれてとても嬉しかった思い出があります。覚えてねえだろうな。この詞のように女性に思われたいなと願っていますけれど、どっちかというとこんな風に思うのは私。
収録シングル:「カブトムシ」

7.悪口
「いきまーす」という声が最初に小さく聞こえてカウントがコールされる。夜のテラスか、または焚火でも囲みながら演奏しているかのような、アコースティック編成の静かな曲です。詞には「前歯を無くした兎」「両ひげ切られた親猫」と出てきますが、想像すると痛い。「死んでゆく」という誤魔化しのない言葉も耳に残ります。ライブDVD「15(LLR5)」の演奏ではブラスの入ったジャジーなアレンジに。あたーしのなきーごとすき~いい~いい~?

8.傷跡
こちらもアコースティックな編成ですが、リズミカルで艶やかな曲です。ドラムス佐野康夫さん大活躍。最後のサビの盛り上がりで、息も切らさず言葉を畳みかけて歌いきるところは、いわゆるロックナンバーとは違った快感がある。ライブDVD「15(LLP15add)」では衣装チェンジ後の1曲目として、この曲で登場。妖精か道化師を思わせるような、赤と緑を基調とした衣装で舞い歌う姿は曲の雰囲気にぴったりですね。あの衣装のaiko良い。

9.Power of Love
好きな人のことが好きで好きで仕方ない歌。「海をハサミで切ってラブレター書こうかな」って、めちゃくちゃ浮かれてないとそんな発想でんぜ。aikoは明るい曲でも暗い部分を感じることが多いですが、この曲はずっと幸せな印象です。でも、ちょっと考えてみてください。片想いの相手がこの曲を好きと言っていて、その人に恋人がいると思って聴いてみてください。この幸せな詞の世界のどこにも自分はいないのです。そんな風に聴くとこんなに切ない歌もない。ギターでも簡単に弾けるコード進行で、弾き語りにおすすめ。
収録アルバム:「astral box」

10.カブトムシ
言わずと知れた4thシングル。当初はカップリングになる予定だったとか。……え、当初はカップリングになる予定だった? 「カブトムシ」がっ? ええっ??
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.3)」

11.恋愛ジャンキー
aikoファンを指す時もある「ジャンキー」の名の由来の曲。アルバムの曲目に「えせボーナストラックちっく」と銘打たれ「カブトムシ」が終わったあと1分待つと、ぎゅわんぎゅわんしたギターが鳴り響きRock全開仕様のaikoが歌いだす。サブスクでは独立した曲になっているので、フィジカル音源(言ってみたかった)ならではの遊びですね。ライブの最後にぶちかまし、会場全体をもみくちゃにして颯爽と去る印象がありますが、ライブDVD「15(LLR5)」では1曲目が「恋愛ジャンキー」という攻めセトリ。
収録アルバム:「May Dream(初回限定仕様盤C)」(※新録)

3rdシングル「花火」
初回盤にはケースにいい匂いのする玉が入っている。これは5色バリエーションがあるそうです。ちなみに今でもまだ匂いがします。

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1.花火
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.1)」

2.親指の使い方
ストリングスにオリエンタルな雰囲気を感じる。「会えなくなってからー」あたりの、つぶやくような歌声が印象的で、ガツンと歌い上げるだけが歌の魅力じゃないんだなとaikoの表現力の豊かさを知れます。何に親指を使うかといえば歌詞で言うところの「光る醜いあたしの水」を拭き取るため。16連射のコツを語る歌ではないです。ライブで歌う姿はDVD「aiko 15th Anniversary Tour『ROCKS』(LLR0)」で見られる。このライブは他にも「夏にマフラー」「犬になる」などツボをつく選曲が楽しめますので、買い。

3.相合傘
ハイテンポな8ビートのアレンジ(汗かきmix)が後のアルバム「秋 そばにいるよ」に収録されており、そちらの方がなじみ深いかも。「aiko bon」のご本人のライナーノーツに寄れば本来想定していたアレンジはそっちらしい。こちらは180度雰囲気が違い、わらべうたのような趣きです。淡々と鳴る物悲しげなピアノは、雨の滴が落ちるイメージと重なります。「右傘」って熟語は大発明だ。辞書に載せましょう。
収録アルバム:「秋 そばにいるよ」(※別アレンジ新録)

4.花火(Instrumental Version)



4thシングル「カブトムシ」
カラートレイの歴史が幕開けたシングル。初回盤の歌詞カードの裏では、貴重なスモーキングaikoも見られます。

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1.カブトムシ
収録アルバム:「桜の木の下」
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.3)」

2.桃色
収録アルバム:「桜の木の下」

3.恋人
伴奏はピアノとストリングスのみ。タイトルは「恋人」ですが、もう恋人でない関係の相手に向けて綴る詞です。時を経て意表をつくアレンジで夕暮れ度の増したロックバージョンが誕生。「LLP21」ではライブ前半の締めとして歌われ、窓のような意匠が落ちてくる演出がありましたが、これが映像なのか物体なのかで混乱しました。正解は映像だし物体です。この模様は最新ライブDVD「My 2 Decades 2」にも収録。
収録アルバム:「泡のような愛だった(初回限定盤『aiko's Radio side A』)」(※別アレンジ新録)

4.カブトムシ(Instrumental Version)
「カブトムシ」を上手く歌えるように練習しようと思ったらインストを流しますよね。そして「わーすれるー」のあとの「こーとーはないでーしょう~」を歌うタイミングとドラムが入ってくるタイミングが合わなくてぐちゃっとしますよね。



5thシングル「桜の時」
生産限定シングルでした。ジャケットも中に挟まっている歌詞カードも和紙でさわり心地が良い。歌詞カードにはライブツアー「LLP4」のスケジュールも記載されています。

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1.桜の時
収録アルバム:「桜の木の下」
収録ベストアルバム:「まとめⅠ」「aikoの詩。(Disc.2)」

2.アイツを振り向かせる方法
この曲はaikoが初めて作った曲とのこと。世に出るきっかけとなった「TEENS' MUSIC FESTIVAL」で大賞を勝ち取りました。苦い恋の思い出を明るいリズムとメロディに乗せて楽しそうにカラッと歌う。最初から真骨頂が発揮されていたのでした。10代には途方もなく未来に感じる「十年でも二十年でも」という時間、うかうかしていると気づけば過ぎているものかもしれません。「ダイヤルまわして」なんて言葉も伝わる人が限られてしまうほどに。

3.more&more
こちらも黎明期の曲。aikoさんがまだ学生の頃に参加した自主制作のコンピレーションアルバムにも収録されています。「Power of Love」と肩を並べるハッピーな歌ですね。さて、歌詞を見ずに聴いたあなたに質問です。サビは「とぅったらったらったったー」と歌っていると思いましたか? 残念でした。歌詞カードを見てみましょう。この部分の詞は「?! ⚹◇☆△♀#♧」です。確かに「?! ⚹◇☆△♀#♧」って言ってますね。うん、言ってる。

4.桜の時(Instrumental version)
心地よいスライドギターはDr.strangeLoveの長田進さん。奥田民生さんのソロ初期などでギターを担当していた方です。「お薬」も長田さんによるギター。

※シングルコレクション「aikoの詩。」収録曲についてはリンク先にも記事があります。