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世界中古童話堂23ヘクター博士


 ノルウェーのオスロから鉄道に乗って7時間、、
ジンはやっと親しみがある港町ベルゲンに着いた。
 港の朝は早いけど、1月のマイナス2度の海辺は昼間になるまで人影は少ないんだ。

 いつ着替えたのか、、
丈が膝までくる、グレーのムートンコートを着ているジンは、スマホを出して沈黙船発掘調査員のリーダー、ヘクター博士とのメールを確認していた。
 マリンが眠ってからジンは、いろんな人間とのやり取りが一気に増えた。
 その際ジンはパソコンとSNSを使わざるを得なかった、もう彼は現代人並みだ。


 待ち合わせの場所、停船している船の前にたったジンは長年借りて使ったこの船をみてうるっと来た。
 氷海でも運航に問題無い砕氷船、
その中でも、半年刻みで乗船ができる設備の船は中々無くて…探すのは凄く大変だったなぁ、、
なによりも莫大なお金が毎年巻き上げられた!
 愛着がある船との別れとかじゃ無く、
もうこれ以上は金を払わなくて済むと思ったら、
   ジンは安心してうるっとした…。

砕氷船(さいひょうせん、Icebreaker)は、水面の氷を割りながら進む船のこと。 北極海や南極海、凍結河川など氷で覆われた水域を航行するために、構造の強化や砕氷設備など特別に設計・建造されている。 砕氷船の多くは軍用、あるいは探査用であるが、一般の商船や観光用のものもある。



 その時、船をみていたジンの後ろから誰かの気配を感じた。振り向いたジンの前には顔の半分がひげで埋もれた、大男が満面の笑みで立っているのでは、

 ジンは彼を見て珍しく笑顔つくり、
両腕を上げてヘクター博士との熱いハーグをした。

ベルゲンの露天カフェ、ランブル


 ジンはヘクター博士と港からすぐ面してる露天カフェに入った。
 まだ日が出てない寒い朝は混んで無いからもあるがベルゲンで1番美味しいチェリーブランデーがあるからだ!

 温めてもらったマグカップの中から甘い匂いが漂って赤くなったジンの鼻をむかえてくれた、
ジンはこの感覚が懐かしかったのだ。
 寒くても暑くてもビールだけ頼むヘクター博士とジンは久々の乾杯をした。ジンは

 「 あーうまい!生き返ります…」といい
ヘクターの真っ直ぐな目をじっくりみた、ヘクター博士はシンと座っているテラス席の周りを見渡した、外の席には誰も居なかった。

 ヘクター博士はジャンパーの内側に手を入れて、コルク栓で閉まってる15センチぐらいのガラスの瓶を差し出して、ジンに渡した。

 ジンは手に入った瓶を綿密に見つめた。

誰が見ても古くてぼろい瓶だが普通の者では開けることができないマグリビーの瓶だ。外からは内側が見えないけど、瓶を軽く揺らしたら液体の音がした…

 ( この中に、あの人魚姫の美声が入ってるのだ! もしも、
人間がこの声を借りる事ができたら、歌で人々を魅了した、マリア・カラス見たいな
 世紀のディーバになれるんだろう )

マグリビーのガラスの瓶

かつて、人魚姫の声を入れてた道具。蓋を開けたら、どんな魔法の能力でも吸い込んでしまい安全に保管もできる優れもの。だが普通の者ではコルクを抜くことができない。



 「ヘクター博士、本当にお疲れ様です!
これで私達の任務は全て終わります。契約書とおりに、これからは本来の研究も続けるように、サポートします。」ジンの話が終わってから博士は残ったビールをぐびぐびの飲み干した、、

 博士は、瓶の中の液体の正体に関して疑問だらけだった。でも、質問は契約の違反になり、今まで一緒に働いたチーム苦労が全て泡になることを自分に言い聞かせて我慢を通した……。

 10分も経たずにカフェから出たふたりは、
別れの挨拶をした。

 ヘクター博士はジンとハグをする代わりに、
手話で挨拶をした後にその場を去っだ。


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