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視覚系難病の一覧〜症状や治療法など

 視覚に関する難病の一覧です。
 いわゆる「視覚障害」には単なる「視力低下」だけでなく、視野が狭くなっていく「視野狭窄」や、色の判別ができない「色覚異常」など、様々な種類があります。
 また、生まれつきのものや、突然発症してどんどん視力が低下していくものなど様々で、病気の進行度合いも人によって異なります。

網膜色素変性症(RP: Retinitis Pigmentosa)

■概要
 指定難病90。網膜の遺伝子以上によって起きる進行性の疾患。
■患者数
 27,000人程度。
■症状
 夜盲(暗いところでものが見えにくい)、視野狭窄(視野が狭い)、視力低下の3つ。
■治療
 根本的な治療法は確立されていない。
■予後
 進行の早さは個人差が大きい。60代でも中心に視野が残り視力良好例もある。ただし、視野狭窄のため歩行などの動作が困難となり生活に支障を来す。

中隔視神経形成異常症/ドモルシア症候群(SOD: Septo-Optic Dysplasia)

■概要
 指定難病134。視神経とホルモン分泌不全を伴う先天異常。
■患者数
 500人程度。
■症状
 眼の症状は、視力低下眼振(眼の揺れ)。それに加えて成長障害が見られる。
■治療
 根本的な治療法はないが、低身長などのホルモン分泌不全症状は、足りないホルモンを補充することによって軽快する。てんかんを合併した場合は、抗てんかん薬による治療を行う。
■予後
 非進行性である。

眼皮膚白皮症(OCA: OculoCutaneous Albinism)

■概要
 指定難病164。メラニン合成の先天異常により、生まれつき皮膚、毛髪、眼の色が薄くなる。
■患者数
 5,000人程度。
■症状
 眼の症状は羞明(まぶしさ)、眼振など。眼の症状だけのものは非症候型と呼ばれる。これに加えて、出血傾向、免疫不全、神経症状などを伴う場合があり、症候型と呼ばれる。
■治療
 根本的な治療法はない。皮膚癌の発生率が高くなるため、幼少期からの紫外線対策が必要。
■予後
 症候型は予後不良のケースもある。

黄斑ジストロフィー(MD: Macular Dystrophy)

■概要
 指定難病301。遺伝学的な原因によって網膜の黄斑部がゆっくりと障害され、両眼の視力低下や視野異常を生じる進行性の疾患の総称。
■患者数
 1,000人程度
■症状
 徐々に進行する両眼の視力低下色覚異常中心視野異常羞明
■治療
 根本的な治療法はない。
■予後
 次第に視力低下が進行し、矯正視力が0.1以下となることも多い。このため、特に書字・識字において著しい困難を生じるが、周辺視野は保たれるため完全な失明には至らないケースが多い。

レーベル遺伝性視神経症(LHON: Leber Hereditary Optic Neuropathy)

■概要
 指定難病302。エネルギー産生を行うミトコンドリアという細胞器官の遺伝子異常により、網膜の一部の細胞が障害される病気。男性に多く、10〜30歳代に発症の大きなピークがある。
■患者数
 10,000人程度
■症状
 発症すると数週間から数ヶ月の間に、急性的に両眼の視覚以上が進行する。視力低下中心暗点(中心部の視野欠損)、光視症(光が当たっていないのに視野の中心や端に光が飛んで見えたり、チカチカ・キラキラする光を感じる)、羞明など。
■治療
 根本的な治療法はない。
■予後
 視力低下や視野欠損が進む。しかし、完全に失明することは非常にまれ。

前眼部形成異常(ASGD: Anterior Segment Dysgenesis)

■概要
 指定難病328。眼の前方に位置する角膜や虹彩などが、発生段階でうまく形成されないことにより生じる先天性疾患。角膜の濁りや白内障、緑内障などが生じて視力障害が起こる。
■患者数
 6,000人程度。
■症状
 視機能の発達異常(角膜の濁りによって視力が育たない)による弱視、羞明。白内障や緑内障を合併するケースが多く、その場合さらに視力の低下を招く。
■治療
 白内障、緑内障の合併リスクが高いため、視機能の維持のため生涯にわたって、眼圧の管理、緑内障の治療を行う必要がある。治療は点眼での治療が中心になる。
 角膜移植後の予後はあまり良くない。
■予後
 緑内障や白内障が続発すると視覚障害が悪化するため定期検査が必要である。

無虹彩症(Aniridia)

■概要
 指定難病329。生まれつき虹彩(カメラでは絞りに相当する光量を調節する部分)が十分に形成されない遺伝性疾病。
■患者数
 1,200人程度
■症状
 虹彩欠損により羞明が起こる。また、黄班(網膜の中心部)も形成されないため0.2前後の低視力となる。生まれつき視力が悪いため眼振斜視があることが多い。また緑内障も合併しやすい。
■治療
 虹彩欠損による羞明に対しては遮光眼鏡や虹彩付きコンタクトレンズを使用する。黄班低形成対しては根本的な治療法はない。
■予後
 成人期以降には緑内障のリスクが高いため定期検査が必要である。

膠様滴状角膜ジストロフィー(GDLD: Gelatinous Drop-Like corneal Dystrophy)

■概要
 指定難病332。遺伝子異常が原因で起こる進行性の疾患。黒目部分にある角膜にアミロイドが沈着して濁る。
■患者数
 400人程度
■症状
 羞明、流涙、異物感、視力低下
■治療
 遮光眼鏡によって羞明が軽減するケースがある。
■予後
 進行によって視力が低下する。さらに進行すると眼痛や見た目の問題も発生する。

参考サイト

難病情報センター


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