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エシカル消費って何?

●エシカル消費って何?

 エシカル消費とは英語のEthical Consumptionの訳語で、直訳すると「倫理的消費」という意味になります。倫理的という言葉で非常に難しいイメージを持たれるかもしれませんが、内容としては決して難しいことではないです。ではエシカル消費が何かというと、環境や社会的問題の解決に貢献できる商品を自ら選択して購入する消費活動のことです。もっとかみ砕いて言うと、多くの商品が陳列されている中で、オーガニック、天然由来、フェアトレード品等の地球環境に優しく、適正な労働条件で生産された製品を消費者である私たちが選んで、そして購入することです。

●なぜエシカル消費が大切なの?

 企業や生産者は利益を上げることが重要です。そのためには売れる製品を作っていかなくてはなりません。売れる製品とは多くの消費者に選ばれて購入される製品です。例えば安価であればあるほど売れるTシャツがあったとした場合、企業としては何としても利益を確保するために原価を安く安くするように努力していきます。間違えてはいけないのは原価を低く抑える動きが悪いということではありません。その過程で企業や生産者が地球環境に負荷のかかる原料や製法を用いること、人権を無視した過酷な労働環境での生産を強いること、特定の健康被害を及ぼす可能性のある薬品や材料を用いること、等の行動で価格を安く抑えている製品を、私たちが知らぬ間に購入してその動きを加速させていることが問題なのです。
 消費活動とは一種の投資です。私たちが自分たちで「倫理的に」考えて、地球に優しい製品を選ぶことで、そこに投資をしていると考えれば誰もが今日、明日から少しでも世界の抱える大きな問題へ立ち向かっているヒーローになれるのです。

●本当に問題のあった製品ってあるの?

 2013年4月、バングラデシュの縫製工場が入るビル「ラナプラザ」の崩壊事故がありました。およそ1,100人以上の生産者がこの事故で犠牲になりました。この工場で何を生産していたのかと言うと、私たち先進国の消費者が好んで購入しているファストファッションや有名ブランドの商品が作られていました。
 2014年には日本の有名アパレルブランドが中国の下請け工場に対して労働法規への明らかな違反や労働者に対する極めて過酷な労働環境を強いていたことがNGO団体の告発で発覚しました。この工場で労働者は室温が38-42℃に達するような環境下で、最低レベルの賃金給与で月134時間の時間外労働を強いられていました。日本では時間外労働が月80時間を超えると過労死ラインと呼ばれています。
 これらはあくまでも氷山の一角です。私たちはチョコレートを買います。でもその原料となるカカオの多くは発展途上国から輸入されており、それらがどのような環境下で生産され、そして先進国へ輸出されているのかを私たち消費者は知りません。もしかしたら日本では義務教育を受けているような年代の子どもたちが働いているかもしれないのです。

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ラナプラザの崩壊事故 / The Guardian : View of ultracheap clothes: costly to society

●企業や生産者も変わろうとしているの?

 近年、中国共産党によるウイグル族への人権侵害が世界的に注目を集めています。実はウイグル族の住む新疆ウイグル自治区は綿花の一大産地として知られています。そのため多くの有名ブランドはこの綿花を原材料に使用して製品を生産していました。しかし、2021年、H&MやPatagonia等の有名ブランドが相次いで新疆で生産された綿花の使用を停止すると発表しました。これは中国という巨大なマーケットを敵に回すことにもなりかねない声明ではあるものの、「倫理的に」正しいかという観点で下された英断です。
 また、日本でも大手スーパーのイオンが「フェアトレードを活用して、イオンの店舗をより多くの人が気軽に国際貢献に参加できる場にしてもらえませんか?」というたった一人の主婦の声からフェアトレード商品を扱うようになり、2021年現在ではフェアトレード商品を販売するリーディングカンパニーになっています。

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収穫時期を迎えた新疆ウイグル自治区での綿花 / SankeiBiz

●私たちに何ができるの?

 多くの人によって今日、明日から購入する全ての物をエシカルに変えることは難しいと思います。それでも、例えばTシャツを5枚買うのであれば1枚は天然染料や天然コットン100%を購入するなどして少しでも地球環境に優しい選択を取り続けることはできます。そんな些細な気持ちの違いでも個々人が心がけることで地球はより良い方向へ進んでいくと考えています。

●最後に

 ボランティアに参加することや環境問題に対する活動を行っていくのにはハードルが高いイメージがあります。そしてとても意識の高い人が行うことのようにも思われがちです。でもいつものお買い物で、どのような背景で生産された製品なのかを自分で理解して、多くの選択肢がある中でそれを選び取ることはまさにエシカル消費であり、その小さな選択の積み重ねが大きな意味を持っています。先ずは誰にでもできる社会貢献として「エシカル」を意識して明日はお買い物に行ってみましょう!

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