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2024年富士ヒル DNF雑記(13)

2023年初参加時のボロボロ雑記に引き続き、2024年「まさかのDNF」をしてしまった人の、ダラダラ雑記です。

◆正式にリタイア

(1)Aさんと偶然出会う

約16.5km地点で
続行不能と判断して、リタイアすることを決めたものの、
正式なリタイアの方法がわからず、
ひとまず大沢駐車場までトボトボと歩いた。

サイコンを見ると16.94kmでは09:48

ようやく、
大沢駐車場へと続く左カーブ、
そう、4月。
土砂が流入して一時通行止め → 片側通行
となっていた、例のカーブへとさしかかる。
急なカーブということもあり、
ここは特に、他の参加者さんの邪魔にならないように
気をつかいながら歩く必要がありそうだった。

そう、この地点、
5月GW明けに試走した時は、
仮で、片側だけ道が開通していただけで、
片側の交互通行だった。

2024年05月GW明け頃

当時で既に、
6/2の富士ヒルまで1か月を切っており、
そして、ガッツリと、
反対車線のど真ん中に防護壁が設置されていたため、
「富士ヒルまでに、2車線復旧は間に合わないのね」
と勝手に思い込んでいたのだが、
なんのなんの、綺麗な道路が出来上がっていた。

丁度17kmくらいの地点

「更に左側を削って道路にするとは。
 なるほどねー!」

今考えると、
当初からその計画であったのだろうと思う。
普通に関心した。

二車線で開通していた旨
事前情報で知ってはいたが、
実際に目にしたのはその時が初めてだった。

「へぇー。
 こんな感じになったんだー。
 すごいなぁ。」

そんなことを思いつつ歩き、
いよいよカーブにさしかかった
という時、
ふいに後ろから名前を呼ばれた。

「せにょさーん!
 どうしたんですかー!」

「え!?」

振り返ると、
後続のグループからスタートしており、
富士ヒルの試走を一緒にしたAさんだった!
思いがけず嬉しい再会である。

後日聞いた話では、
私の自転車はわりと個性的なフレームカラーのため、
押し歩きをしているのを見かけて、
すぐに私だとわかったという。

思えば前日、
私が雨にビビッて
早々にホテルへ移動してしまったため、
Aさんとは会えずじまいであったが、
ようやく会えたのがこんな場所で、
しかも、こんなシチュエーションだなんて
Aさんも、さぞかし驚いたことだろう。

先行して走っているはずの私が、
押し歩きをしていたのを見かけて
声をかけてくれたのだった。

「私はもうダメっす!」 (せにょ)

とっさの事だったこともあり、
メカトラブルだなんだと、
その場で詳しく伝えられても、
Aさんも困るだろうと思い
自分はもうダメだということだけを伝えた。
Aさんは、

「自分も既にタイムが○○くらいかかっています。
 ダメダメです!」

みたいなことを(たしか)言っていたので、

「いやいや、まだまだいけるいける!
 ガンバレー!!」


やや大きな声を出して、Aさんを見送った。
大きな声でエールを送る方も、
若干気恥ずかしかったし、
送られる方も同じだったかも知れないが、
もはや、私に出来る精一杯がそれだった。

ちなみにAさんは
目標タイムへは届かなかったものの無事完走され、
「来年は二人でブロンズを取りましょう!」
と慰めてくださいました。


(2)スタッフさんに相談

土砂流入箇所の急カーブを越えると、
左前方に「おなじみ」の(?)大沢駐車場が見えてきた。

当日、その場で写真を撮れていなかったため、
google map ストリートビューから拝借して、
配置がわかりやすいように、ざっくり記載。

Google mapより。人の位置を多少わかりやすく記載。無理矢理感が凄い。

上記は後から用意したものなので写ってはいないが、
辺りを見ると、
下山バスだと思われるバスが止まっており、
自転車を運搬してくれると思われるトラックも見えたので、
大沢駐車場まで歩いてきて正解だったんだな
と思った。
(たまたま近かったんだけど)

駐車場の入口付近に
スタッフの方らしき人がいたので、
声をかけようとしたら、
歩いている私を見て、逆に声をかけられた。

「あと7kmくらい!もう一息頑張って!」

と、激励してくれた。

「あの、、、それが、、、
 リタイアしたいのですが、どうしたら良いでしょうか?」

と相談すると

「もうちょい!もうちょい!
 給水もあるし、ゆっくり休憩していけばいいから!」

と、さらに激励してくれた。

参加案内のコースマップより引用①

拡大。

拡大。参加案内のコースマップより引用②


地図によると、約17.2kmくらいの地点らしく、
確かに、
丁度、体力的にも精神的にも
しんどくなってきている人も多いかと思う。

最後まで 希望を捨てちゃぁいかん。
諦めたら そこでヒルクライム終了だよ。

「リタイアしたい」と心くじけそうな人を
励まして鼓舞する。
大沢駐車場の安西先生か。
駐車場入口の案内係の人かと思ったが、
なかなかどうして、頭が下がる。
(もしかして、そういう役割の人なのだろうか?)

が、
今の私の場合、メカトラブルのため、
続行したくてもできないもどかしさよ。

「いや、それが、
 自転車が故障してしまいまして・・・」

と、続けたいのはやまやまなんですが感
かもし出しつつ伝えると、

「そう・・・
 ひとまず、この先のあの人に声かけて
 リタイアしたい旨、伝えてください」

と別の係の人を案内された。


役割があるのか、
それとも、
今の人はボランティアの方で、運営の人とは違うのかな?
そんなことを考えながら、
トボトボと歩き、
別のスタッフさんにお声がけする。

「あの、リタイアしたいのですが・・・」

そう伝えると、

え!?リタイアですか!?
 勿体ない!あともう一息!」

と、ここでも激励された。
ここらへん、
方針が一貫しているのだろうか。

「それが、、、
 自転車が故障してしまいまして・・・」

そう伝えると、

「故障!!
 パンク修理なら、いくらか物ありますよ」

と、助け舟を出してくれた。
この全体を通して
「なんとしても続行、ゴールを目指そうぜ」
の推進力をとても感じた。
(個人の感想ですけれど)

ちなみに、具体的に何の物があるかは
聞かなかったのでわからなかったが、
なんとなくあの感じだと
少なくともパンクの修理パッチくらいは
貰えそうな感じがした。
併せて、空気入れとかもあるのかも?
(どれもこれも未確認デス)


「いや、自分の場合パンクではなくて、
 自転車自体が故障したといいますか・・・」

↓ ↓ ↓

「でも、もうちょっとだから・・・」


そんなやりとりが、2、3回あった気がする。
とにかく、
ポジティブに、
「なんとか頑張って行こうよ!」
という流れで
なかなか
「リタイアするにはどうしたら良いか」
という方に話が流れていかなかった。

流石に、ここまで一貫してプッシュしてもらうと、
一瞬、

このまま歩いてでもゴールしようかな

という気にもなった。

そうだ。
そもそも、体力自体は残っているのだ。
残り時間に関しても、
大沢駐車場に到着した時点での時刻が
だいたい10:00頃だったので、
おそらくゴールまで
あと2時間くらいの猶予がある。

オマケに普段からビンディングはSPD派のため、
シューズも比較的歩きやすいとされている、
SPDシューズを履いていた。

条件はそれなりに揃っており、
残りの7km程度、歩こうと思えば、
歩いてゴール出来る気はした。

時は来た!
やらいでか!

やってみるか!?
そう思い、

「あの、、このまま、
 ゴールまで歩いて行っても良いものでしょうか?」

ふいに口をついて、そんな質問してしまった。
すると、スタッフの方は、
流石に「歩いてゴールを目指す」
というのは想定外だったようで、

「うーん。それはなんとも・・・」

と。
そりゃそうか。
何も言われなきゃ、スルーできようなものの

「白か?黒か?」

と問われてしまうと、
それが出来なくなってしまう。
我ながら、愚問であったと思う。
(すんません・・・)

実際、諸般の事情で結果的に
いくらか歩いてゴールすることになった人はいるのだとと思う。
例えば、

途中で足が痛くなって仕方なく、
ちょいちょい歩きながら様子を見ることになった

とか

残り1~2km地点でメカトラブルが発生。
残り数kmだし、歩くしかないか。

みたいなのだったら普通にありそう。
ただ、今回の私の場合はどうだろう?

全長24kmのヒルクライムのうち、
大沢駐車場まで歩いてきた距離も合わせて、
その間の約8kmもの距離を歩いてゴールってどうなのよ?
自分的に、富士ヒルを完走したと言えるのだろうか。。。

そんなことも考えてしまった。
仮に五合目まで到達出来たとしても、
自転車があんなままでは、安全に下山できるとも思えないので、
「最終的には下山バスのお世話にならざるを得ない」
というのは同じであろうし。

むむう。
どうすんべ。
おしゃまんべ。

・7kmというのは歩けない距離ではないが、やや長いか。。。
・私みたいなケースで歩くのは邪魔だろうし、他の人に迷惑をかけそうだな
・変な質問をしてしまったし、何かあったら係の人にも迷惑をかけてしまうもな

そんなことが思い浮かび、
悔しいが仕方がない。
やはりここは
「勇気をもってリタイアするしかない」
そう思ったのだった。


(3)第二関門リタイア第一号

しばし考え、
「申し訳ないのですが、
やはりリタイアさせてもらいたいと思います」
とあらためて伝えたところ、
「ちなみに、何処が故障したちゃったの?」
と。

さきほどのやりとりから、
自転車に詳しい人ではないんだろうな
とは思っていたが、
ひとまず説明してみる。

「後輪のギアというか、
ハブの部分、
多分ラチェットだと思うんですが、
そこがおかしくなって、
ペダルを回しても、
トルクがかからなくて空転してしまうんです。」

そう伝えると、

「なるほど、後輪の。。。?」

まぁ、そういうリアクションになるわな。
とはいえ、
事務的にならず、
親身になっていろいろ聞いてくれるのは、
ありがたい話である。

おそらく、
「なるべくなら、なんとか自力で完走させてあげたい」
という親心一番、
そして、
「下山バスや回収トラックにも限度があるので、こんな早い時間帯にやたらリタイア者が増えてもらっても困る」
という、
実務制約上の理由も、
もしかするとあるのかもなぁと
私が勝手に邪推したところである。

でもね、
きっと一番目の親心がほとんどを占めるんだと思う。
だって、
参加者も、その家族も、運営の方々も、スタッフさん、ボランティアさん、道路を整備してくれた方々、その他いろいろな方々、
みんなそれぞれ、きっと頑張ってきたんだもの。
良いイベント、楽しい思い出にしたい
という気持ちは皆、同じ方向を向いていたハズ。

私のような邪推者はダメね。(汗)

私から更に話を聞いて、

・頑張ればなんとかレース復帰できるのか
・もう本当に打つ手無しなのか

をジャッジしてくれようとしていたのだと思う。

「ペダル回しても
どうしても空転してしまうので、
もうダメなんだと思います」

そう伝えたタイミングで、
同じく、
何やらトラブルだという、
ベテランさんと思われる参加者さんが近くに居て
一緒に私の話を聞いてくれていて、

「それはもうやめた方がいい。
このまま続行したら逆に危険だと思います」

と援護射撃してくれこともあり、
嬉しくも悲しいかな、
ようやく話はリタイアする方向へと進展していったのだった。

(ちなみにそのベテランさんは
確か、チューブラーでのパンクだったような、、、
その後、少なくとも第二関門発の下山バスではお会いしなかった気がするので、
無事、なんとかレース復帰出来たのだと思う)


さてリタイア。
まずは、簡単に説明をしてくれた。
記憶があいまいな点もあるが、以下にメモする。

・正式にリタイアすると、もうレース復帰は出来ない。
・計測タグはこの場で回収となる。
・自転車は運搬用のトラックで運び、スタート地点の富士北麓公園にて返却になる。
・自転車は簡易的な保護材を間に挟むだけなので、キズなど何かあった際の保証は出来ない。
・ここは第二関門なので、11:30以降にここに到達した人を順次回収する予定。
・その後バスは一度五合目まで登り、五合目からの下山者がいたらその人達を追加で乗せる。
・そのため、最終的にスタート地点に戻れるのはかなり遅い時間となる。
・下山バスが出発するまでは、自由にしてOK。
・バスに乗っていてもいいし、トイレも売店もあるから休憩してもらってOK。
・時間が来たら点呼など取らずに出発してしまう可能性があるので、その点気をつけて欲しい。

(要点を箇条書きしたので、無機質な感じがするが、
 実際はもっとやわらかい会話でした)

そんな感じで、
自転車回収車(トラック)に自転車を預けるため、
紙の先に細い針金がついた札(よくあるやつ)を渡された。
そこに、私のゼッケン番号を書き入れてもらい、
自分で自転車にくくりつけた。

「貴重品は自転車から外して、個人で管理してくださいね」

と言われたので、
ツールボトルを持ち歩くのは大変だなと思い、

「貴重品じゃないものは、
 荷物になるので、つけっぱなしにしたも良いでしょうか?」

と念のため聞くと、

「自己責任になりますけど、そのままでかまいません」

とのことだったので、
サイコンと、ドリンクのボトルだけ外して、
ツールケース(ボトル)はそのままにした。


トラックの前へ行くと、
なんと、中はスッカラカンではないか!

そう。
この第二関門こと
大沢駐車場でのリタイア回収第一号は、
なんと私だったー!

ギャース!

ってか、
時間にしてAM10:00すぎ。
下手したら、全体を通した
リタイア第一号だった可能性すらある。
なんてこったい!

それもそうか。
おそらく、この関門での回収バスは、
時間制限で惜しくも間に合わなかった人を
ピックアップするのが主目的なのだろう。
私が逆にイレギュラーだったようだ。

さて、
自分でトラックの荷台へ持ち上げ、
その後は、係の方がやってくれた。

許可を得て撮影したのがこれ。

奥の方に転がしていきーの
養生用のパネルにたてかけーの
プチプチかけーる

という流れだった。
が、
これは単にリタイア者が
まだ他にいないタイミングだったから
時間や資材、そして作業的余裕もあり、
より丁寧にやってくださった、
特別待遇のような気がしてならない。
(ありがたい話である)

実際、
この後、突然の強い雨に見舞われたこともあり、
なんだかんだで
最後はそれどころではなく、
どんどんと積み込み作業を行ったのではないかと、
推測するところである。(あくまで私の推測ね)

こうして、
リタイアの手続きを終え
身軽になった私

あらためて、あたりを見回してみる。

多少雲がかかったりはしていたものの
空は晴れ、青く、
そして、なお五合目を目指す皆を応援する太鼓が、
リズミカルに鳴り響いていた。


ーーーつづくーーー




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