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2024年富士ヒル DNF雑記(17)

2023年初参加時のボロボロ雑記に引き続き、2024年「まさかのDNF」をしてしまった人の、ダラダラ雑記です。


◆寒さとの闘い

(1)道端でうずくまる人を見た

まだ五合目での自転車積み込み作業が、
順次継続されている中、
第二関門(大沢駐車場)でのリタイア組と、
五合目からの下山合流組 数名を乗せたバスは、
先行して五合目を下山・出発した。

下りの序盤はややスムーズであった。
ようやくバスが下山を開始したという安堵感の中、
お隣に乗り合わせた方と会話をさせてもらっていた。

「雨の中、大丈夫でしたか?
 いや、大丈夫じゃないですよね・・・。」

聞けば、
しっかり目のレインウェアを準備されていたようで
浸水に関しては免れていたそうなのだが、
とにかく、雨の中外にずっといたことで、
身体の芯が冷えてしまった気がする、
とのことだった。

そんな中、雨にも打たれず、
始めからバスの中で待機していた私が、
毛布を使用しているのも気が引けたので、

「この毛布使いますか?」

と私が借用していた毛布を手に尋ねると、

「いえ、バスの中に入ってきただけで、
 だいぶマシになったので大丈夫です。」

「でも、、、」

「本当、お気持ちだけで。
   ありがとうございます。」

と、固辞なさった。
実際に、バスに乗車して車内に入ったことで、
ご本人も、外にいた時より幾分かマシに感じられていたのかも知れない。
聞けば、関西方面からグループで参加されたとのことであったが、
物腰もやわらかく、
真面目なお人柄の方だな、という印象を受けた。

その後も、
余計なおせっかいであったかも知れないが、

ただただ沈黙していると、
気分までいっそう冷え込んでしまうのでは?

話していれば幾分か気がまぎれるかな?

と思い、富士ヒルの参加経験や、
私のリタイア話、
お互いの乗っている自転車の話など、
たわいもない会話をいくらかさせてもらった。

聞けば、私と同じ昨年の第19回大会からの参加とのこと。
人の事は言えないが、
「平均斜度が緩めで、初心者でも参加しやすい」
という情報がどこからともなく流れてくるので、
富士ヒルは、
近年になって参加し始めた人が多いのかもな、
と話を聞きながら思った。


そうこうしているうちに、
バスは平坦区間を通過し、
四合目 から 大沢駐車場あたりへ向かっていた、
その時である。

具体的な場所は失念してしまったが、
右前方、道路から外れた林の入口らへんに何やら人影が見えた。

「人だ!人がうずくまっている!
 低体温症か何かで動けなくなってしまったのか!?」
 (私の心の声デス)

我々のバスの前方を走行していた、
運営さんの車が停車し、
すぐさま、スタッフの方が駆け寄っていった。

その間、後続である我々のバスも一旦停車し、
緊張と、心配な気持ちでその様子を見守った。

一瞬、
この場面も写真に、そして記録に残す必要があるのでは?
それが出来るのは、
この場に居合わせた、ごく限られた人間だけなのではないか

という思いが脳裏をよぎったのだが、
隣の座席には、
つい先ほどまで、この雨の中
外にいてしんどい思いをされていた方も座っている。

「第二関門リタイア組は、今までも
 バスの中からそんな風に野次馬していたのか」


と、誤解を生み
嫌な気持ちにさせてしまうしまうかも知れないな、
それはなんとも申し訳ない、、、
というような思いが勝ち、
やはり撮影するのはやめておいた。

いやはや、
それにしても我ながら、
苦笑いの、謎のジャーナリズム精神である。


手がかじかんでしまい、
ブレーキ操作がままならない。
このままだと危ない。

そういったギリギリの人が
居てもおかしくない天候、気温だったが、
道端でうずくまっているとなると、
話はもう一段、いや数段階まずそうな気はした。
どう見ても、このまま放っておくと危ない。

しばらくして、
前の車のスタッフさんたちがそのまま、
救護なり搬送なりを行うようで、
我々のバスは先に進むことになったようだ。

そうしてバスは先に進んだ。
なんとも緊迫した場面であった。


バスは我々が元居た大沢駐車場(第二関門)を通過。
その通過した際に一瞬見ただけなのでうろ覚えだが、
売店、トイレの軒先や、
仮設テントの中に一時避難している
自走下山中の人が多数いたような気がする。

後日SNSで見かけた話では、
その後、一向に止む気配のない雨の中、
タイミングを見て、
果敢にも自走での下山にチャレンジした
ディスクブレーキ車の猛者もいたようだが、
極寒の中、リムブレーキ車であったり、
諸般の事情で、
下山困難となった人が多数居て、
最終的には、
運営側が追加で下山バスを出してくれて、
なんとか下山となったようであった。

雨対策、寒さ対策装備の良し悪しも
幾分かあったこととは思うが、
もはや、気合いや根性の問題ではなく、
物理的に下山困難となってしまった人が
多数発生することになってしまったのが、
「第20回大会の雨」だったのだと思った。


(2)一緒に入りましょう!

大沢駐車場を通過したものの、
バスはややゆっくりと下っていく。

時折、道の左側を
安全に、安全に、
かなりのスローペースで下山している、
参加者さんを何人か見かけた。

基本的には、
下山グループにて集団で下山することになっているはずだが、
そこからもはぐれてしまったのだろう。
身の危険を感じて、周りを巻きこまないように、
一旦ストップすることは、個人的には仕方のないことだと思う。

このバスが回収するのかな?

都度、そうも思ったが、
参加者さんから、ヘルプの合図も特になく、
仮にあったとて、
人を乗せるバスとは別に、
自転車の車体を回収するトラックが、
セットで必要であるだろうからか、
無情にもバスは、
それらの下山者さんたちの横を、
ゆっくりとパスしていったのだった。

「なにとぞ、ご無事で、、、」

そう願うのが精一杯であった。


どのくらい下ってきただろうか。
バスは変わらず、ゆっくりと下っている。
隣の紳士との会話も、しばらくなくなっていた。
すると突然、

「あの、、この毛布はどうされたんでしょうか?」

と、尋ねられた。

「あ、これはですね、
 もともと、 そこに積んであったものを借用したんです。」

そう言いながら、
私が指差した先には、
何枚かの毛布が束になり、
ビニールに覆われた状態で置いてあった。

おそらく、
クリーニングから戻ってきたもの
なのだろうなと思ったが、
言ってみれば、
誰かがビニールを開封しない限りは
 借用出来ない状態」
であった。


もとから、ビニールに入っていない、
端数のみがその束の上に積んであったため、
私や他の方はそれを、
ひょいと借用出来たわけだ。

毛布、欲しいよね。。。

なるほど。
外見にはパッと見わからないが、
「本当に身体の芯から冷えてしまう」
というのは、
こういうことなんだな、と思った。
少し暖かいバス内に入ってきたとしても、
すぐにぬくぬく、というわけにはいかないようだった。

「やっぱり、この毛布使ってください」

正直、雨に濡れていない
私ですら幾分か肌寒さを感じていたので、
(そもそも、それで毛布を借りていたわけだが)
バス車内の暖房は、
雨の富士山の寒さに負け気味だったのかも知れない。

私の申し出に対し、

「いや、
 それはさすがに申し訳ないので。。。」

と、またもや固辞された。
だが、続けて、

「このビニールは破ってしまっても良いのでしょうか・・・」

と。
いやいや、これはよっぽどだなと。
ビニールについては、私には判断出来ないし、
運転中の運転手さんに大声で尋ねることも出来ない。

されとて、毛布を渡そうにも
私に遠慮されているし、
正直、
私自身も、毛布があった方がありがたい。

「じゃぁ一緒に入りましょう!
 この毛布、そこそこ大きいですし」

そうして、その折衷案でおさまり、
毛布を横に広げ、
二人して一つの毛布に入った。


最初はお互いに膝からお腹にかけて毛布をかけていて、
だいたい半々づつ使っていたが、
次第に寒さが増してきてしまったようで、
毛布はお腹から胸へ、
そして肩へと上がっていき、
結果的に、徐々に毛布を彼に明け渡していったのだが、
もはや、遠慮してくれている場合ではない。

そうして毛布をかぶっていても、
小さな震えが止まらないようであった。

その時、他の人はどうだったのだろう?

わざわざバス車内の後ろを振り返って、
見ることは出来なかったが、
五合目からの合流組の皆さんは、
(今から思えば)
大なり小なり、
おそらく似たような状況だったのではなかろうか。


やっぱり、雨は危ない。
危ないよ。

富士ヒルは、毎年梅雨時期に開催されているが、
こうして、タイミングの悪い雨など、
悪条件が重なると、とても危険な状況になるのが、
今年も、まじまじとわかった気がする。
(確か、2019年第16回大会もヤバイ雨だったんじゃなかったっけ。。。)

本音を言えば、
20回も梅雨時期に大会開催実績を重ねてきているんだし、
運営側にも、もっと対策やノウハウがあっても良いものなのでは?
と思ったりもするが、
こういうことは、
「ただの外野」だから言えることなのであろう。
(さーせん)

さて。
そんな震えの中、
2合目、1合目とバスはじわじわと下っていき、
ついには、わかりやすいランドマークである料金所を通過。
バスの中の皆、安堵したことと思う。

そうして、
我々を乗せたバスが、
ついに富士北麓公園 駐車場へ到着したのは、
13:50頃のことであったと思われる。


(3)下山完了

順次バスから降りていく。
私は、序盤に話し相手になってくださったり、
たいへんお世話になったので、
運転手さんに、特にお礼を言ってバスを降りた。

外に出ると、
雨はまだ降っていたものの、
ザーザー降りほどひどくはなかった。

五合目で下山用荷物を受け取ることが出来なかった
我々、第二関門リタイア組は、
この富士北麓公園で受け取れることになっていたはずだが、
ゲゲゲ!
下山荷物の到着が遅れているとのこと。

私はたまたま上着だけレインウェアを持参して出走していたので、
途中からそれを着用することが出来、幾分かマシであったが、
人によっては、下山荷物到着までは濡れ鼠であり、気の毒であった。
雨がザーザー降りではなかったのがせめてもの救いだが。
(運営さんのテントにでも避難出来ただろうか)

さあ。
有難いことに、なんとか下山させてもらうことは出来た。
次だ次。
私には次に「急ぎやること」があった。

メカニックブースへの相談

である。
そもそも、私がDNFを決めた理由は、
自転車が、自走不能状態に陥ったからだ。
そして困ったことに、
この後、富士北麓公園から高速バスのバス停まで、
きっちりと自走区間があるのだ。

多くの参加者さんは、とっくに解散して帰路についているような、
もう遅い時間帯
果たしてメカニックブースはまだやっているのだろうか、、、

近くでは、バス下山組の自転車の返却が始まっていた。
自転車を見てもらって相談したいので、
自転車が手元に返却されてからでないと話にならないのだが、
第二関門リタイア第一号である、
私の自転車はトラック荷台の一番奥にあるはずなので、
返却されるのも一番最後のはず。

Oh・・・。Time is money.

ひとまず、自転車の受け取りの順番はもう少し先だろうと判断して、
総合案内まで走る。
・そもそもレース後、メカニックブースが存在していたのか、
 そして、
・今、まだなんとか見てもらえる時間なのか、
について尋ねてみると、

「一応、ブース自体はあったが、
 もうこの時間だから終わってしまっているかも知れない。
 行くだけ行って直接確認してみて欲しい」

とのことであった。
ぎゃー!
なんてこった。
無理もないが、、、困った。
困った、困った、こまどり姉妹。。。

いややや。
とにかく、なんとか無事に家にたどり着きたい。。。

そうこうしている間にも、
みな次から次へと、帰路へとついていく。
うー!
困った!
困った、困った、こまどり・・・

ちぇ~い!
やきもきしながら自転車の返却を待ち、
そして、ようやく私の番になり、返却を受けることができた。

「ありがとうございます!」

そういいつつ、
いそいでメカニックブースがあるであろう、
競技場側へ自転車を転がしながら走る。
急げー!

もしや?
今だけ自転車、直ってたりしないかな?

と思い、一度自転車に乗ってみたが、
あっさりと、トルク抜けが発生し、やはりダメなままであった。
(当たり前か)

確か、前日の受付日の時は、
この辺がメカニックブースだったような・・・

あった。
ここかな、、、?

それらしき場所へ到着した時には、
すでに閉店・店じまい状態だった。

うむむむむ。
背に腹はかえられない。
「こんなタイミングでスンマセン・・・」
そう、申し訳なく思いつつも、
メカニックブースであったであろう
その場所にいるスタッフさんに、
ダメ元でお声がけしてみたのだった。


ーーーつづくーーー



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