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2024年富士ヒル DNF雑記(12)

2023年初参加時のボロボロ雑記に引き続き、2024年「まさかのDNF」をしてしまった人の、ダラダラ雑記です。

◆無念のDNF決断

(1)原因がわからない

サドルの上下角度固定がバカになり、
シッティングでペダリングしていると、

サドルがオイラのケツに追随してくる

という、
奇妙な状況に陥った。

「ある意味これはこれで凄いんじゃね!?
 自由自在じゃん!」

と、
一瞬は思ったものの、
尻をサドルから離して
激しくダンシングでもしたら
一体どうなってしまうのか?

という不安が頭をかすめる。

サドルが吹っ飛んでいって
後続に迷惑をかけた上で、

サドル無しで
ずっとダンシングで登っている奴がいた

という伝説を残せる可能性はある。

ほほーう

いやややや!
そんな伝説はいらねぇ。

ってか、
サドル無しなんて、
普通に怒られるやつじゃなかろうか。

「駐輪場でサドルだけ盗まれました」

って言い訳したら通じるだろうか。
(普通に「は!?」と返されるだけか)

そういえば学生の頃、
気の毒にも、
友人が駅前でサドルだけ盗られていたのだが、
無言で自転車を押し歩きして現れた時の、
あの、
怒りと悲しみが混ざり合った後、
一周回って達観したような、
なんとも言えない顔
をした、
友人の姿は今でも忘れられない。。。

「ムムム。
 こりゃもう、仕切り直しすしかねぇ」

そんなこんなで、
仕方なく2合目手前付近で、
まわりを見つつ左端に停車したのだった。

ひとまず、
サドルを固定すべく、
ささっと
買い替えたばかりのツールボトルを開ける。

もともとR250赤色ファスナー
ボトル型ツールケースを愛用していたのだが、
春頃、ファスナーがイカれてしまい、
ペンチで何度もはめ直して使ってたら、
結局、スライダー
金属疲労だかでバカになってしまい御陀仏。

ぶっ壊れた 旧ツールケース

しばらくは、ゴムでとめたり
ラップを巻いて開かないようにしたりと、
貧乏くさいことをやっていたのだが、
富士ヒル本番に向けて、
ケチくさいこと言ってられないなと
買い直しておいて本当に良かった。


さて、サドル再固定。
工具は持っていたっけ?

富士ヒル会場に向かう道中、
前日に引き続き、
またサドルの角度を修正するかも知れない

そう考えていたため、
ツールケースには、
サドル固定用のサイズに合ったHEX、
単独で1本だけ、しのばせてあった。
(2024年富士ヒル DNF雑記(9)用の記事用に
 後から撮った写真には入れ忘れてた)

というわけで、携行していた
HEXレンチはミニツールでもないので、
扱いづらいこともなく、
サドルの再固定作業には
さほど時間はかからなかった。

問題はトルク抜けの方である。

この時はまだ、
「原因は、視認出来ないレベルの
 フロント側の一瞬のチェーン落ちか!?」

みたいにすっかり思い込んでいたため、
主にフロントディレイラーを中心に見てみたが、
変わったところは見られなかった。
リアディレイラーやクランクも見てみたがよくわからない。

後輪を持ち上げて、
クランクを手で回してみると、
普通にトルクはかかっている。

むむぅ。
わからねぇ・・・

結局、ちょろっと見てみても
「明らかにこれが原因だわ!」
というわけにはいかず、
原因はわからんちん。

一瞬悩んだが、
サドルの再固定はできたし、
このままずっと止まっているわけにもいかないので、
再出発することに。
結局、止まっていた時間は、
1分そこらだっただろうか。


さて、後ろに注意しながら再出発。
すると、
サドルのグラつきが無くなり、
しっくりきた上に、
仕方なくサドルを再固定していた
たかだか1分そこらが、
なんだか休憩のようになったようで、
体感で、
「明らかに、まだまだ走れる感じ」
に、ちょい回復した感があった。

怪我の功名

まさにそんな感じ。

前年のmapより引用

二合目を通過し、
そうこうしていると、
サイコンから10km通過のアラート表示。
タイムは・・・

00:41:06

トップチューブに貼った
参考タイムを見ると「00:38:44」
よく見かける5km毎のタイムだと「00:38:38」
とのこと。

2分半くらいの遅れか。
なんていうか、

「プチ休憩もできたし、
 もしかして、まだイケるんじゃね!?」

そう思える感じだった。
散々口にしていたワード

あわよくばブロンズ

プチトラブルを抱えつつも、
まだ、希望はつながっていた。

参加者の皆が、
思い思いで走っていた10km地点。

昨年の私みたいに、
すでに身体が悲鳴をあげていて、
「まだ半分以上もあんの!?」
と思っていた人もあろう。

はたまた、
「これから、後半戦に向けて
 猛チャージを開始するぜ!」

という、
すこぶる元気者もいたことだろう。

私はといえば、
一度はあきらめかけたブロンズ。

「もうけもうけ!
 身体は大丈夫!
 まだイケる。イケるぜセニョール!」

そう思いながら、
やや気持ち前のめり
三合目へと向かったのだった。


(2)無念の決断

一度は諦めたものの、
思いがけず拾い直したブロンズへの希望。
三合目へ向けてひた走っていた時、
ポタポタと腕に水がかかった。

「ん?雨か?」

違うな。
天気はまだ大丈夫そう。

ふと気がつくと、
腕にかかったのは、
私がかぶっていたサイクルキャップから
したたり落ちた自分の汗だった。

これには少し驚いた。
普段のライドで、
汗をかくことはしょっちゅうあるが、
サイクルキャップから
汗がしたたり落ちてくることは、そうそうない。

それだけ温まっている。
全開で走れているということか?
それともオーバーヒート気味ということか?

そんな汗をかくくらいだったから、
汗冷えという心配はあるものの、
自分の中で動きやすい、
「服装は半袖、半ビブで正解だった。
 やったぜ!」
と、
心の中でガッツポーズをした。


「来てるよ!
 流れは来てるよー!」

このままの流れで20km地点まで維持して、
平坦区間まで持ち込めれば、
これは、
本当に「あわよくば」のチャレンジが
できるのではないだろうか。

そう思いながら
上げ気味に進んでいたのだが、、、
その流れは「アイツ」によって、
またプツリと途切れることになった。

イヒヒのヒー!

「スコッ」

例のトルク抜けである。
そう。
なんだかんだで、
この症状は消えてくれてはいなかった。
12km手前地点くらいからだろうか。
その事象の発生する間隔が、
徐々に狭まってきた感があった。

「おいおい、
 ちょっと待ってくれよー!
 今いいところなんだから!」

そう愚痴りたくもなる感じだった。

「チクショー!
 オイラァ、負けねーぞ!」


なんのなんの13km。
いやいやイキマス14km。
トビますトビます15km。

気が付けばなんとか三合目も通過出来ていたが、
いよいよ、
トルク抜けの発生頻度がひどくなってきた。

うがー!
先ほどまでの良い流れは急転。
「あわよくばチャレンジ」
どころか、
「おいおい、これ完走大丈夫なのか!?」
という感じすらしてきた。

げげげのげ。

普通に進んでいく皆さんが羨ましい

急転直下
トルク抜けの連続にやられ、
気持ちの中では、
ブロンズチャレンジなんてものは、
とっくに諦めモードになった。

まだまだ元気な身体とは裏腹に、
回しても時に空振るクランクに振り回され、
仕方なく、まわりを見ながら左端に寄って
何度か足つきをしながら
都度、バイクの状態を確かめるしかなかった。


そうして、
なんとか15km地点を通過した。
タイムは、

1:06:45

であった。
もはやブロンズ目安タイムとは
10分近くも離れてしまっている。

考えようによっては、
「これだけ止まって、時間ロスしていても
 まだ10分遅れなんだなー」

なんて考えも出来るが、
もはや、
そんなことはどうでも良い話であった。

なんだかなぁー

序盤は無縁だった一番左のゆっくり走行ライン。
今となっては、
何かあったら、せめて
更に左側にコースアウト出来るように
一番左の走行ライン以外は、
走れないような状況に陥ってしまった。

「目標は完走デス」

あれ?
デジャヴ?
これ、去年の途中からと一緒じゃね?

そしていよいよ迎えた、
運命の16km過ぎ地点
トルク抜けが発生しては、またトルクが戻り、
今まで騙し騙し進んできていたのだが、
そのトルク抜けの発生頻度がいよいよ激しくなり、
そしてとうとう、
トルクが全然かからなくなった。

がちょーん。
そんなことってある!?

チェーン交換とか、チェーン清掃とかで、
チェーンを完全に外した状態
クランクを回した経験はあるだろうか?

ノー負荷なので、
クランクが、
クルクルクルクル~~~~~!
クルクルランド。

ってくらい、死ぬほど回るのだが、
ハイ、それです。
コレ。
ニアリー。

はたから見たら、本当

この人、こんなとこで、
何ふざけてんの?

と思われかねない。
小野田坂道くんもビックリの、
超ハイケイデンス クライムですよ。
(登れてないけど)

ふざけてるを通り越して、もはや危険なんですよね。
申し訳ない。。。

「なんだかなー!もう!」

やさぐれながら、
道の左端にコースアウトし足つき。
どうしたものかと、
バイクを見てみていると、
ふと、ここで、

「あ、これ
 フロントディレイラーが
 チェーン落ちしたがっているんじゃなくて、
 リアハブのフリーんとこが空転してんのか!」

「よ・う・や・く」ここで気付く。
(遅っ!)

「うわー。
 そんなのもうお手上げじゃん。。。」

リアハブ、、、
ラチェットか。。。
もうダメじゃね?これ。

一応、最後のダメ元チャレンジで、
後輪を付け直してみるか。。。

そう思い、
おもむろに自転車を逆さにした・・・
そう。
その画ずらがこちら。

ご町内の皆様、お騒がせ致しております
(良い子のみんなはマネしないでね!)

これで、
カッチリとリアホイールを付け直してみて
それでもだめなら、もう本当にダメだ。
腹をくくるしかない。


今までだって、
変な挙動をしてしまい、
既に周りの皆様に迷惑を
かけてしまっていたに違いない。

申し訳ない。。。
さすがに、これ以上のご迷惑はかけられまい。

スプロケも念のため内側に押し込んでみる

「ええいままよ!
 南無三!
 エロイムエッサイム
 エロイムエッサイム・・・」

謎の念と、
渾身のスルーアクスル締め込みを経て、
いざ、実走!

さーこい!
さーーこい!
さーー・・・

「スッコォーーーン!」

はい、抜けたー!

まぁ、そうなるわな。
締め直してはみたものの、
まったく改善される根拠なんてなかったもんな。。

「リタイア・・・
 かぁ・・・。」

身体はまだまだ元気なだけに、
いまいち実感がわかないが、
こればっかりは、致し方ない。

苦渋の決断。
すこぶる不完全燃焼で悔しさがだいぶ残るが、
リタイアすることを決め、
ここで、私の今年の富士ヒルは終わったのだった。

ちなみに後日、このリアホイールについては、
ホイール購入ショップさんにて迅速に確認・対応頂く事が出来ました。
(感謝)

本メモ(DNF雑記)の主題としては、
 ・DNFすることになった今回の件を通して私が感じたこと
 ・たいていの人はほぼ乗せて頂く機会のない、
  下山バスに乗り下山した際のことなど
を記載したいと思っております。
(って、そんなたいそうなものでもないですが)

ショップさん自体は非常に信頼のおける対応で、
私個人としては、
(通常ではそう簡単に起こり得るものではないそうで)
「私の運用方法の積み重ねが遠因になったのかも、、、」
と想像するところですが、
詳細記載は控えさせて頂きます。(わからないですし)

(結局、きっと私が何かしら、
 やらかしてしまっていたんだろうなぁ、、、ぎゃふん。)


(3)大沢駐車場へ向かう

昨年のmapより引用

「ふぅ~」

ため息にも似た息を吐き、
あたりを眺めてみる。
場所は16kmを越えたあたりの地点。
既に道程の半分を過ぎており、
人によっては、
そこそこ、しんどくなり始めている頃かと思う。

それでも、
皆、五合目のゴールを目指し、
前へ前へとペダルを回している。

つらそうな顔をしている人、
ゼーゼー息をしている人、
まだまだ速度を上げて登っていく人。
いろんな顔が見える。

富士ヒルクライム。

つい先ほどまで、
自分もその真っただ中にいたというのに、
「リタイアする」と決めたとたん、
一人だけポツンと取り残されたような感覚に陥る。

例えるなら、
皆はしっかりと色がついたフルカラー
で、
自分一人だけがセピア色にでもなったような、
そんな虚脱感。

いや、ほんとよ。
こんな感じ。
悲しい。
悲しいぜ。。。

そういえば、
昨年、一番しんどかったのも
16km過ぎあたりだったなような。



ん?
なんだ?
ちょっと待てーい。

こんな感じの景色は、、、

ふと、あたりを見ると、
なんとなく見覚えがあるような景色だった。

まさかね、、、

ちょこっと手前で撮った写真がこちら

ぎゃーん。
昨年の、身体攣(つ)りまくり!
で強制的に足つきする羽目になった、
あの場所と、ほぼほぼ同じ地点ではないか。
(おそらく200m違いくらい)

なんてこった。
16.5km地点近辺鬼門か。
何の因果かマッポの手先・・・
いや、
何の因果か、昨年とほぼ同じ場所で
最大の山場を迎えることになるとは。


さて。
どうすんべ。

リタイアすると決めたはいいものの、
もともと、リタイアするなんて、
頭の片隅にもないというか、
これーーーーーっぽっちも
考えたこともなかったので、

そもそも、リタイア(DNF)の仕方がわからない・・・

うっすらと、
開催案内か何かに書いてあったのを見たような気もするが、
詳しくは全然覚えていなかった。

参考までに、後から調べてみたら「参加案内」に書いてあった。

リタイアについて/バスで下山される方へ
走行中、何らかのトラブルによりコース途中でリタイアする場合は、
コース上のスタッフに申し出てく ださい。
リタイア時は、収容車に乗り換えて五合目まで上がり、
収容車で下山となります。

※下車および自転車の返却は、富士北麓公園内の大駐車場となります。

第20回 Mt.富士ヒルクライム 参加のご案内 より抜粋

詳しいことは当時知らなかったものの
とりあえず、スタッフの人に声をかければ良いんだろうな、
とは考えた。
ひとまず、キョロキョロしながら歩き始めてみる。

こうしてみると、
たまたまだろうか、
思いのほか、運営スタッフの人が見当たらない。
そりゃそうか。
そんなにやたらめったら道端に居るわけないもんな。。。

時折、運営のバイクらしき人が通っていくが、
私自身、
まったく身動きが取れないわけでもないため、
わざわざ呼び止めてアピールすることもためらわれた。

(再掲)昨年のmapより引用

うーむ。
仕方ない。
今の位置がどの辺なのか、
なんとなくの場所はわかっているし、

ひとまず、大沢駐車場まで
歩いて行けばなんとかなるか

と思い、
そのまま大沢駐車場を目指して歩いてみることにした。

みんなオイラの分まで頑張れー!

こうして後から写真で見てみると、
道の左側を押し歩きするだけでも、
実は、結構邪魔だったりするのかもな、、、
と思った。
重ね重ね、サーセン。

幸か不幸か、
大沢駐車場まで、
距離にして1kmそこらだと、
なんとなくはわかっていたものの、
この押し歩きしていた距離や時間は、
とてつもなく長く
それはそれは、なが~~~~く
感じた。


ガンバルンバ!

昨年、体中が攣(つ)りまくって、
足つきして悶絶していた時は、
他の参加者さんが、

「がんばれー!」

と声援をくれて、
とても勇気づけられたものだったが、
不思議と今回、
大沢駐車場へ向かって押し歩きしていた際には、
そういったお声がけは無かったように思う。

いや、もしかすると、
あまりの出来事に、記憶が飛んでいるのかも知れないけど。

今考えてみると、おそらく、
傍から見ても、きっと私は元気そうに見えたんだろうな、
と。
決して、足取りが軽かったわけではないが、
きっと普通な感じで歩いていたのであろう。

こんなに天気良いのになー

場所は既に三合目を過ぎている。
しばらく歩いていると、身体が冷えてきた。
ヤバイヤバイ。

「ああ、そうか。
 もう、着ちゃってもいっか」

一度立ち止まり、
スタート前にジャージの腰らへん
内側にホールドさせておいた、
レインウェア(上)を着た。

不思議なものである。
このレインウェアを着た時に、

ああ、本当に終わったんだなぁ

と、妙な実感がわいた
そう、このタイミングだった。


さて、更に歩く。
長い、そして永い数百メートルだった。

ようやく、
大沢駐車場手前の、
例の、今年土砂崩れがあったカーブが見えてきた。
景気の良い太鼓の音も聞こえてくる。

「もう一息だな」

土砂崩れがあった付近だからか、
それとも、復旧作業の影響か、
写真でも写っているが、
白線の左側には小石が沢山散らばっており、
歩きにくかった。

ただ、
急な左カーブも近づいてきていたので、
なるべく、走行中の皆さんの邪魔にならないように、
気をつかいながら、
ジャリジャリと音を立てて歩を進めたのであった。


ーーーつづくーーー





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