(4)駐輪場で無施錠のクロスバイクを見かけた話

◆鍵かかってないぜセニョール！

とある日、
いつものように駅の駐輪場(有人)に自転車を止めようと、
ホテホテと自転車を押して歩いていた。

一般車、シティサイクルであふれる中、
クロスバイク、ロードバイクを出している
いわゆる「メーカー品」(死語か)を見かけると、

おっ！

と反応してしまうのは、
自転車を趣味とする者のサガ、
もはや生体反応と言っても良い。(良くないか)

その日も、
ふと目にとまった自転車が、
某有名メーカーのクロスバイクであった。

私は普段から、
こういう有名メーカーのクロスバイクなり、
ロードバイクを駐輪場で見かけるたびに、

施錠方法はどうしてるんだろう？
鍵はどんなものを使っているんだろう？

と、興味から見てしまう癖がある。
かつて見かけたとあるクロスバイクは
イカつい重たい鉄製のU字ロックをしていた。

「ああ、ロングライドとかではなく
  普段使いだから、
  別に鍵とか重たくてもかまわないか。
  フムフム。」

とか、

「そんな、細いワイヤー錠じゃ、ヤバくない？
  盗まれても良いくらい自転車沢山持ってんのかもな、、、」

とか、
いろいろお勉強しているわけです。
(ただの野次馬根性)

さて、話を戻して
見かけた有名メーカーのクロスバイク。

その日も何気なく眺めると、
どうもおかしい。
なんかおかしい。

あ、鍵かかってねぇ。。。
。
。
。
鍵かかってねぇよ！兄さん！

よくみると、
やや太めのワイヤー錠が、
ハンドルにくくりつけたままになっていたのだった。

◆管理人さんに言おうと思ったがやめた

いやややや！
有名メーカーのだよ。
ダメでしょ！
盗まれちゃうっしょ。

鍵がハンドル部分にあるということは、

①短時間で戻ってくるから、敢えて施錠しないで行った
②電車への時間がなくて、のっぴきならない事情で施錠を諦めてでもダッシュした
③単に鍵かけ忘れた

のどれかあたりだろうか。

私の予想では、
止めてあった駐輪場内の場所からいって、
①はないなと思った。
たぶん③なんだろうなとも思ったが、
微々たる可能性として②もゼロではない。

②でも③でも、
このまま盗まれてしまうのはなんとも気の毒である。
同じ、スポーツサイクル愛好家として、
放ってはおけないと思ったわけよ。

幸い、そこの駐輪場には
管理人さんが複数人いて、
一時利用で、その日のうちに撤収できず、
次の日にも置きっぱなしになっている自転車から
駐輪した日数分の追加料金を徴収するためか、
ワイヤー錠が用意されていることを私は知っていた。

盗難にあう危険性が、より高い自転車であれば
知らせれば、何かしら対策をとってくれるのではなかろうか。

私も時間に余裕がなかったが、明日は我が身。
管理人さんに言いにいってあげよう
と思ったのだか、
ふとそのクロスバイクのチェーンに目がいって、

「ああ、やめとこ」

と、あっという間に気がかわった。
何故か。

チェーンがサッビサビで、粉吹いてたから。

あ、この人は
スポーツサイクル愛好家でもなんでもねぇなと。

ただ錆びてるだけならまだしも
粉吹いてる状態ってなんやねん。
無知は罪なり。

買っておしまいのヤツはブラザーじゃねぇ。
スポーツサイクル舐めんなよ。
こういうやつが、平気で信号無視とかして
やれスポーツサイクルはマナーが悪いとか
評判を落としているに違いない。

と、まで
勝手に想像を膨らましてしまえるほど、
なんか、
むなしい光景でした。

そんなこんなで、
私は、
何事もなかったかのように、駅へと向かったのでした。
夜、見てみたらそのクロスバイクは
もうそこにはありませんでしたが、
はてさて、
盗まれたのかどうかは、わからないのでした。

おしまい。

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