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【女湯事件ボ24】忘れ物は、微笑んで。

練馬区のとある銭湯。

湯上りに縁側の窓ガラスが
思い切り開いており、そよ風が気持ちいい。
コロナ禍、億劫なことも多いけど、
夏の銭湯は いつも以上に風が通る。
私はそこに小さな幸せを感じる。
お風呂屋さんは砂埃などで
掃除が大変だろうけども。。

縁側を向きながら、髪の毛を拭いていたら、
背後から 視線を感じる。
ご婦人がお釜ドライヤーから、
私を見て ニコニコしてらっしゃる。
会釈とニコニコ返しをして、、
なんか良い事あったのかな、なんて。

銭湯忘れもの02

でも、ちょいと腰を浮かしているから、
何か話がある気配を感じた。。

と、、
あなた?
はい!

あなたのじゃあ、なぁい?

指さすは、麦わら帽子。

銭湯忘れもの01

あ、私のではないんです。
あら、かわいいからあなたかと笑。
ですよね、欲しいくらいです。

うふふ。

そっか。おばあちゃんは私に、
麦わら帽子のことを言おうとして
私を見ていたんだ。

それだけのことなんだけど、
ちょっとくすぐったくて
微笑ましくって。

忘れ物を知らせるとは、
電車でも、飲食店でも、
どこかくすぐったさがつきまとうが、
意を決して声をかけてくれたおばあちゃんの
あたたかい目線を込めたニコニコ、、
忘れられないなぁ。

、、、ふと故郷のおばあちゃんを思い出した。
そっと、そのあたたかさを仕舞い込み、
私は暖簾をくぐった。


やすこ。

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