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【定期記事】今年の振り返り&来年の目標


0 はじめに

 毎年のように「一年が経つのは早い」と言っている気がするのですが、今年はそこに「無念」の情が乗っかって、「この一年、わたしはもっと頑張れたのではないか」という気持ちでいます。

 しかし「成した」ことは少なからずありました。今回の記事では、それらをピックアップした上で、反省点を洗い出し、来年の目標を記していきたいと思っています。

 つまりこの記事には、私事ばかりが書かれているのですが、作家を目指している若者の一人が、どういう風に「もがいて」いるのかということの一端を、お伝えすることはできるかと思います。

 この記事は、次のような順序で進んでいきます。

 まずは、わたしがこの一年をどのような年として捉えていたのかということを説明させていただきます。そしてそれを踏まえて、どのような成果を残したのか、そして、逃したのかということを記していきます。

 最後に、なぜ自分に「無念」という気持ちが生まれてしまうのかを、自分の「弱さ」の観点から検討し、それを念頭に置きながら、来年はどのような一年にしたいのかを書いていきます。

 そしてこの記事は、一年間を通して書き続けた「定期記事」の年内最後のものとなります。

1 「勝負の年」としての1年

 わたしは、今年の春まで大学院に在籍していたのですが、家庭の事情もあり、博士課程に進むことは断念せざるをえませんでした。研究者になるという夢は潰えてしまったのですが、そんなわたしの掌には「創作」が残ってくれました。

 あるイラストレーターの方のイラストに感動して、自分も誰かのこころを揺すぶって前向きな気持ちにすることのできる作品を作りたいと思い、創作を再開し同人活動を始めたのは、およそ3年前のことです。そして次第に、いつかその方と一緒にお仕事をしたいという夢を持つようになりました。

 そうして、大学院で研究を深めながら小説を書くという「二刀流」の生活が始まったのですが、いま思えば、全力を出し切ることなく創作に取り組んでいたと思います。連載は途中で休止することが多々ありましたし、長篇小説を書こうと考えながらも構想止まりになっていました。

 掌篇小説ばかり発表し、世に出した同人誌も、いま思えば納得できないところが目に付きます。全力を出し切れていないまま、瞬く間に2年が過ぎていき、「このままじゃダメだ」という気持ちが強くなりました。

 今年の初めに、一篇の私小説を書きました。それはコンテストに応募するための短篇だったのですが、わたしはそこで、自分が創作を再開するきっかけとなった、イラストレーターの方との出会いについて記しました。自分の原点を再確認するためです。

 その一篇を執筆するうちに、こんな風に思うようになりました。

今年を勝負の年にしよう。なんの手応えも掴めない一年になったとしたら、もう創作を止めてしまおう

 わたしは今年を「勝負の年」と位置付け、この一年のほとんどを創作に捧げてきました。その結果、いくつかの成果(手応え)を残すことができました。夢を叶えるための「兆し」みたいなものが、少しだけ見えるようになったのです。次に、その成果について書いていきたいと思います。

2 初めて中篇・長篇小説を書き切る

 先ほど、長篇小説は構想だけで終わり、掌篇小説ばかりを濫作してきたということを書きました。かといって、掌篇小説を下に見ているわけでも、書いてきたものがくだらないというわけでもありません。短いものばかりしか作ることのできない自分に嫌気が差していたのです。

 だからこそ、まずは中篇小説を書くことを目標としました。今年5月に東京で開催された「文学フリマ」に持っていく新刊として、中篇小説の執筆を開始しました。そしてそれは、『惜敗と夏』という作品となりました。

 イラストレーターの姉と受験生の弟の一夏の交流を描いたこの一篇は、わたしにとって特別な一作です。はじめて中篇小説を書き切ったことに、満足を覚えましたし、次は長篇小説に取り組もうという気持ちになりました。

 そしてそれは『2年4組のエイリアン』という、冴えない男の子と学校一の美しさを誇る転校生の女の子が、文化祭で漫才を披露するまでの道程を描いた長篇小説として日の目を見ることとなりました。初めて長篇小説を書き切ったのです。

 さらに『2年4組のエイリアン』は、現在続篇も執筆中です。本作の主人公が、ピン芸人の日本一を決める大会にエントリーするというお話になります。本作に関しては、大学での落研のお話であったり、プロの芸人になってからの軌跡であったり、長期的に続けていく予定でいます。

 そして1シリーズが終わるごとに、加筆修正をして同人誌として刊行しようと考えています。それくらいに、思い入れの深い一作です。

 さらに、ある文学賞に応募する原稿用紙190枚分の小説も完成し、自分だって長い小説を書くことができるのだという自信が生まれました。これは、わたしの創作人生において、大きな成果になったと思います。

(本項のURLは全て、2023年12月27日に最終閲覧)

3 コンテストの受賞

 今年はもうひとつ、大きな成果がありました。コンテストで受賞をしたことです。

 こちらのコンテストで「入賞」を受賞しました。嬉しいことに「選評」もいただき、創作活動に対して前向きな気持ちになることができました。

 実は、今年はかなりの数のコンテストに応募しており、中には自信作も相当数あったのですが、ことごとく落選していました。自分の才能のなさに落胆すると同時に、審査員の方々に評価していただけない状況に、作家になりたいという目標が閉ざされていくようにも感じていました。

 そんな中で「入賞」に選出していただけたことは、あまりにも嬉しいことですし、夢の扉が完全に閉まっていないことを確認することができました。もしこのコンテストの受賞を逃していたとしたら、どれほど暗澹たる気持ちになっていたか分かりません。

 現在も、結果待ちのコンテストがあるのですが、どれかひとつでも良い結果が待っていることを祈っています。やはり、目に見えた結果を得ることができると、大きな自信になりますし、どんどん作品を作っていこうという気持ちになります。

(本項のURLは全て、2023年12月27日に最終閲覧)

4 知り合いの「物書き」の方々へのコンプレックス

 3年前、創作活動を再開するのを機に、「Twitter」(現「X」)で、自作の宣伝用のアカウントを作りました。そのアカウントは、昨年の5月に削除したのですが、運用していた間にたくさんの「物書き」の方々と出会いました。

 それはわたしにとって貴重な体験ではあったのですが、毎日のようにたくさんの作品がタイムラインに流れてきて、それをお互いに評価し合っている光景を目の当たりにしていると、だんだんと焦りが募ってきました。卑屈な気分にもなりました。

 そうしたストレスから逃れるために、アカウントを削除したのが、昨年のことです(もちろん削除の理由は、他にもあります)。

 こうした懊悩から逃れるためには、「自分は自分であり、他の人と比べるべきではない」という気持ちになることが一番だと思い、今年は、そうした心構えを確固たるものにするために、自分のことを見つめ直した私小説をいくつも書きました。

 しかし、そうした焦燥や羨望からは逃れられないものです。そこでわたしは、いままでで一番、自分の「弱さ」をさらけ出した私小説を書くことにしました。今年の初めに書いた「再起」のための私小説とは別の意味合いの私小説を、今年と来年の初めにかけて丁寧に書いていこうと思っています。

 わたしの今年の目標――「再起」は、「自分のことだけに集中する」という意味でもありました。しかし、それに失敗してしまいました。中篇・長篇小説を完成させ、コンテストに受賞しても、この目標の「失敗」は、わたしに「無念」の情を抱かせるに充分すぎるものでした。

 そのためこの目標は、来年に持ち越したいと思っています。そして早い段階に、「自分のことだけに集中する」という心構えを確立したいと考えています。

 そして来年に向けて、ふたつの大きな目標を掲げることにしました。最後にその「目標」を記して、本記事を結びたいと思います。

5 来年の目標

 わたしの欠点は、前述した「弱さ」にあると同時に、せめてもの抵抗として「濫作」をなしていることだと思います。ようは、周りの人たちから遅れを取りたくないという焦りからくる「濫作」です。言い換えるなら、丁寧さを欠いているということです。

 例を挙げるとするならば、わたしは、来年3月、4月に締切りのある5つの文学賞に応募することを目指していました。それは、早く作家になりたいという焦りからくるものですし、自分の成長を実感したい・誇示したいという気持ちからくるものです。

 しかし応募しようと考えていた作品を読み直してみると、ひとつひとつが粗っぽくなっていることに気付きます。これでは「全敗」は避けられないでしょう。丁寧さを欠いた作品づくりは、今年のわたしの顕著な特徴だったと思います。

 そこで、ふたつの文学賞に絞って応募作をつくり上げていくべきではないかと思うようになりました。具体的には、「新潮文学賞」と「電撃小説大賞」のふたつです。前回の定期記事では、自信ありげに5つの賞に応募すると意気込んでいましたが、それではダメだと思うようになりました。

 このふたつのうち、「新潮文学賞」に応募する作品は出来上がっています。「電撃小説大賞」への応募作も完成への見取図ができています。そのため、このふたつの賞への応募作を徹底的に研磨していくことが、現実的な選択のように思います。

 わたしの来年の目標は、このふたつの賞に応募することです。そしてそれは、丁寧な作品づくりをするということでもありますし、自分の「弱さ」を克服することにも繋がってくると思います。

 最後に、もうひとつの目標について記しておきたいと思います。

 わたしは創作活動において、「回路」というものを大事にしてきました。紫鳥コウとその作品にアクセスできる「回路」を、あちこちに張り巡らせるということです。来年は、それをより全面に押し出した活動をしていきたいと考えています。

 わたしの同人活動の中心は「文学フリマ」への出店です。いままで、大阪に1回、東京に3回の計4回、サークル参加をしています。関東在住ということもあり、東京開催に申し込むことが多くなっています。

 来年1月には、京都で開催される「文学フリマ」に初めてサークル参加いたします。また、岩手開催の「文フリ」にも申し込みました。そして、募集が開始されたら、初開催となる香川での「文フリ」にも出店したいと考えています。

 様々な地域に足を伸ばして、たくさんの方々と出会い、自分の同人誌を手に取っていただくというのが、来年のわたしの目標となります。また、いままで参加したことのないイベントにも、サークル参加してみたいと意気込んでいます。

 こうしたイベントへの参加はもちろん、投稿サイトに小説を掲載する頻度も増やしたいですし、コンテストにも積極的に応募していきたいです。もちろん、たくさんの方々に読んでいただける小説を発表し続けたいですし、受賞できるような作品を作りたいです。つまり、丁寧さを大事にしたいです。

6 おわりに

 来年はまず、自分の「弱さ」と徹底的に向き合いたいと思います。一方で、様々な「場」に自分の作品を送り出すことにも努力していきたいです。このふたつの大きな目標を念頭に置きつつ、積極的な姿勢をもって、プロの作家になることを目指していきます。

 今年を振り返ってみると、反省ばかりが目に付きますが、その中でもいくつもの収穫があり、わたしにとっては、意義の大きい一年でした。来年こそは、前向きなことばかりを並べた「振り返り」の記事を書くことができるように、一生懸命に創作活動をがんばっていきたいと思っております。

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