波よ聞いてくれがドラマ化されているらしい

 

作品の魅力はミナレの魅力に紐づいている

 波よ聞いてくれは、月刊アフタヌーンで連載されている青年漫画。

 こんな女いてたまるか、と思う一方で、こんな女がいてくれたらなあと思わせる魅惑の女性主人公、ミナレ。

 私は普段異性を女とは称しませんが、ミナレは女と称するのが相応しい女です。

 端的に表すならばやさぐれ系女子。だけど魅力的。

 大袈裟でなく、この漫画はミナレの魅力=作品の魅力といって過言ではありません。

 勿論他の登場人物も良いキャラしているし、ストーリー自体もとてもしっかりしていますが、それでもヤベー女ミナレの魅力には敵わない。

波よ聞いてくれにみる、地方ラジオ局運営の過酷さと公共サービスとしての必然性

 この作品の舞台は北海道。中でもラジオ局が舞台となっています。

 ひょんなことから深夜の短な放送枠のパーソナリティを任されることとなった本作の主人公ミナレ。

 基本的に即興劇というか、その場で考えた嘘話をさも起こった出来事のように話すクソ度胸と謎の語彙力を持ったミナレ。

 とはいっても放送回を重ねるごとにネタは尽きるわけで、ネタ探しの為に色々な事にミナレやその周辺人物が挑戦していく、というのが本作の面白いところです。

 あとは各登場人物の関係性が複雑なようで分かりやすい。
 登場人物を絞っているからこそ出来る分かりやすさ。ここら辺は作者のワザですよね。

 で、ラジオなわけです。

 北海道胆振東部地震を作中でも描いているのですが、これが素直に見事という他ない。

 本作に登場するキャラクターは、ミナレをはじめとして、奇人変人が多いんです。

 そんな作風で震災を描ききる取材力と作者の脚本力に脱帽なんです。

 ネタバレはしたくない人間なのでどう描かれたのかは書きませんが、ラジオがあったことで当時救われた方が沢山おられたのだなと感じずにはいられない作品だったのでした。

 新潟でも、数年前にFMラジオの1つが停波しました。
 理由は経営継続が困難である為。

 きっと地方は、こうした事が加速度的に進んでいきます。

 だけどテレビの視聴率が落ちる中、新聞の購読数も減っていく中、ラジオも勿論聴取率は下がり続けているのでしょう。

 それでも災害があれば私はNHKをつけるし、テレビの無い家庭ではラジオをつける。

 テレビが映らない環境も起こりうるんです。

 私にはラジオを娯楽として嗜む才能は無かったけれど、必要とする人に必要なサービスを残し続ける。

 ラジオは勿論公共サービスではないけれど、各自治体が支援する必要のある、大切なインフラだと思います。

 tacicaがつとめるオープニングもとても素敵なので、是非。

 アニメも原作の部分部分カットが入ったりしますが、面白いのでオススメですよ。

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