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推しでない展示カケル自分の化学反応

 お昼に投稿した呟き投稿、あれでどうやら99日連続投稿だったそうで…あれ?100日連続投稿のエックスデイは2月28日じゃなかったのか?

 Siriくん、見損なったぞ…。

あまり興味が無い×ちょっと興味がある


 さて、見出し画像にしている展覧会を見に、美術館に行ってきました。

 正直言って、美術はそれほど興味は無いんです。
 一方考古学は少しだけ興味があって。とはいえ歴史が好きだからといって考古学が好きというのも、厳密にいうと違うじゃないですか。

 そもそも私は日本史や地理はあまり得意分野ではなかったので、「自分の地域周辺の」という枕詞が無ければ、多分来なかった展覧会だったと思います。

 普段行く展覧会って漫画やアニメなど、自分が大好きなものばかりだったので、いつだって前のめりだったんです。

 しかしちょっと興味がある、暇だし。というその姿勢が功を奏して、意外にも楽しかったというお話。

 写真撮影も可だったので、結構パシャパシャしてきました。
 極力小さな音で撮影したつもりでしたが、気になられた方すみません🙏

北国の冬は寒いのに暖かさを感じる

小島丹漾 無題
小島丹漾 北国の春信

 一枚目も2枚目も、描かれている人々の格好を見るに、比較的寒い時期の絵だと思うんです。

 だけど春を感じてしまうのは、田畑と思しきところに渡り鳥(白鳥)が餌を啄みに来て、暖かくなった北国に向かう為の帰り支度をしている様子が伺えるから。

そう、こんな感じに

 今日散歩して、同じような風景を撮影してきました。
 白鳥が飛来する県にお住まいの方なら常識なのですが、白鳥たちが田んぼの餌を食べに来れるのは、雪が積もっていない時、すなわち雪解けが進む今自分という事がわかり、春が近いことを知らせてくれるのです。

 2枚目はタイトルからも分かりますが、人々が待ち望んでいた春を迎え入れるように、水芭蕉?と他にも花を持っていますよね。
 水芭蕉も桜より先に春を感じさせてくれる素敵な花ですよね。私は春に咲く花で一番好きなのが水芭蕉です。

 こういう絵を何というのか分かりませんが、描かれている風景?人物や、展示されていた文章を拝見するに、作者は新潟の季節を切り取る事が得意だったのだそう。

 上手く表現はできないですが、少し宗教的なモノを感じるのは私だけでしょうか? 
 寒い北国で懸命に春を待つその姿に、超常的な何かを期待しているように私には映りました。
 人物は暗い色なのに、花や鳥が明るい色で描かれているからでしょうか。

古代の人々の死生観

 北海道や北日本を中心に出土している例が多いという子供の足型。

 縄文時代の平均寿命は30歳前後ですが、皆が30歳で亡くなっていたわけではありませんよね。

 こういうのは得てして上限や下限が平均を大きくズラしているものです。
 この場合は下限の方です。身籠った子供を大切に大切に、生かそうと一族どころか集落総出であたっていた様子が窺い知れます。労働力は貴重ですからね。

 ただこうした副葬品が出土するという事は、子供をただの労働力と見なしていなかった事も伺いしれます。
 機能美の中にも子供を慈しむ心は昔からあったという事です。

 しかし…残念ながら労働力になりきれないまま、この世を去る子も多かったのでしょう。
 常に生と死が隣り合わせだった時代であるからこそ、生を大切にしていたことが伝わってきます。

「あの日」が芸術家に与えた影響

猪爪彦一 風景(2017)

皆さんはこの絵をパッと見た時、どんな事を思いますか?

古代、中世、城塞都市、近未来、タマゴ…etc

私はこの作品の右側に大きな違和感を覚えました。そして、とある光景がフラッシュバックしました。

上の絵画の右側。建物から煙が立ち上り、生物は死んでいる。空も左側より明らかに暗い

3.11 気仙沼市

 あの日、濁流が川を逆流していく様にも物凄い恐怖を覚えましたし、衝撃が走りました。

 それと比較するのもどうかと思いますが、私にとっては知識があまりに無さすぎた原子力発電所の行方と、地震発生後初めての夜を迎える気仙沼を上空から捉えていた映像が、今でも鮮明に思い出されます。

 あの光景は忘れる事は出来ない。当事者ではないけれど、あの当時生きていた日本国民なら誰しもが、大小あれど当事者だったと思うのです。

 君の名は〜すずめの戸締まりまでを描いた新海誠監督も、あの日に捕らえられて作品作りをしていますよね。
 とらえられてという言い方は違うのかな。今しか伝えられないものがある、と監督は使命感のようなものを持って作品を作っておられましたものね。

 何となくですが、その光景を思い出したのです。

猪爪彦一 祖父のたまご(1999)

 上の絵より遡る事約20年前、作者はこんな絵も描いています。

 ちょっと意図は分かりませんが、少なくとも悲壮的なモノを描いたようには私の眼には映らなかったです。でも巨大なたまごの下に描かれている建物たちの原型は、20年前と最近とでそれほど違いは感じません。

 それが20年の時を経て、死を匂わせる世界へと変貌している。

作品群の真ん中に置かれた、猪爪氏のスケッチブック

 このスケッチブックが、私にとっては答え合わせのように感じられました。

美術館裏手にある、古墳群。

考古学的な出土品は基本、見に徹した

 写真に撮ったところで、それほど他地域と明確に差があるような出土品があるわけでもなかったので、撮影をしてもそれが伝わるかというと微妙だなと思って、ほとんど撮影はせずに見に徹していました。

 一方で絵画よりも集中力をもって見る事は出来たと思うので、頭に残っているのは意外と考古学の方だったり。

 結構新発見があって面白かったんです。

 この美術館がある地域は金津地域と呼ばれるところなのですが、その昔製鉄所があったそうなんです。

 もののけ姫でいうタタラバですね。(オタク要素ぶっこみ)

 鉄を作る場所、という意味が込められているそうで。それで「かなづ(かな読み)」かー!と周辺地域のルーツ知る事が出来た瞬間でもありました。

 もう一つは草水(くそうず)、この地域は日本でも有数の石油産出地だったんです。
 石油のことを昔の人は臭い水と呼んでいたそうです。
臭い水→臭水→くそうず→草水 となったそうです。
 未だに石油が沸く井戸なんかもあったりして、地味に面白スポットなんですわね。

 ちなみにこの草水は流石に知っていました。

一歩引く

 多分普段良く見に行く漫画やアニメなど、自分が大好きと呼べるコンテンツの展示よりかは、自分と作品との間に明確に線があって、一歩引いた目線でフラットに対峙できた展覧会だったと思うのです。

 だからこそ新しい発見があって、自分自身にとっても新しい刺激になったのだと思います。

 一見興味を惹かれないと思っている世界でも、飛び込んでみると意外と面白かった。そんな感じの99日目投稿日でございました。

山にはまた雪が降ったけれど、春は近い感じもしました

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