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尼僧の懺悔0

私は今から10年ほど前、尼僧を辞めた。
直接の原因は適応障害になって、心身共にその生活を維持できなかったからだ。

精神の修養がすべてのような出家において、適応障害発症で還俗という結末は、救いようもない自分を表しているようで、あまり笑えない。
笑えないけど、だからといって黒歴史ではない。

死を選びたくなるほどの煩悶と葛藤と愛憎を味わったことは、何にも代えがたい財産であり、後の私を少なからず変えた。
そこを越えずして、今の私はないのだから、周りには随分迷惑をかけたと反省はしても、恥だとは思っていない。

そもそも出家してから、世の中の概念がぶっ壊れたような気もしている。
一度枠を出てしまうと、収まっていた枠の意味が希薄になり、普通の暮らしに戻っても一度薄れた枠はもう元には戻らないのだ。

修行が進めば、ぶっ壊れた概念を枠に戻す方法も教えてもらえるのだが、私は途中でドロップアウトしたため生兵法でぶっ壊れたままである。

最後の数年、色々ぶっ壊れたまま走り続けた私の、懺悔をしようかと思う。

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