踊りの表現〜心が身体をつくる〜

日本舞踊で面白いと思うのは、男踊りと女踊りがあることです。
歌舞伎舞踊から始まる日本舞踊は、役柄で踊り方(動き方)が違うんですね。
確かに豪傑な男とお姫様では絶対違うぞ、ということは、どなたでもわかると思います(笑)
歌舞伎役者は男性だけなので、女役も勿論男性が演じるわけですが、日本舞踊も、強いて言えば創作日舞の私でも男女問わず、どんな役も踊ってもらっています。
創作日舞の場合でも、三味線曲はともかく、現代曲でも、曲調でこれは女踊りに、これは男踊りにと感覚的ではありますが、区別したりしています。

まだ踊りを始めて間もない人では、三味線曲を教えることが多いのですが、それは歌詞が情景や気持ちを表していることが多く、踊りをイメージしやすいというのも理由のひとつです。
基本技術を修得することも重要ですが、情景がわかると動き方がかわってくるんですよね。

傘をさして大川端(隅田川)を歩いています。
回転して次の振りは同じく傘を持って歩くんですが、これは好きな人に向かって傘を差し掛けている場面。
そのあと傘を左手から右手に持ち替え、好きな人と背中合わせに。
一通り振りを覚えたあと、こんな説明をしながら踊ると、お弟子さんの動きも明らかに変わります。
上手下手関係なく、動きがとても色っぽくなる🤭
男性でも、ですよ。
とっても興味深いですね。

バレエ、ダンスなど動きを意識している人たちの筋肉のつき方は、とても美しい、と感じます。
決して優劣を言っているのではないのですが、スポーツなどで同じ筋肉のトレーニングをしている箇所をくらべても、鍛えることではなく美しく動くことを意識しているダンサーの方が、明らかに美しいと私は思います。
精神は身体に影響を及ぼす、と信じています。

かなり前ですが、友達が踊りを見にきてくれた時のこと。
私をいじめている(笑)先輩が踊るのを見て、「あなた、いじめられてない？私あの人(先輩のこと)嫌い」と漏らしたことがあります。
伝わるんですね。
ごまかしは効かない。
この時私は、踊りに対して誠意を持って向き合うと誓いました。
身体の動きを見られるお仕事ですから、肝に銘じなければいけない、と思います。

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